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活動紹介

残業代計算ソフト(エクセルシート)「給与第一」

第0 著作権の表示と免責条項、利用基準

エクセルシート「給与第一」(以下「このソフト」等といいます)の著作権は京都第一事務所の弁護士渡辺輝人に帰属します。このソフトを利用される際は、以下の免責条項、利用基準に同意した上でお使い下さい。

当事務所でこのソフトを用いて解決した賃金請求事件については「残業代請求事件の「給与第一」による解決事例」をご参照下さい。

(著作権者の表示)

京都第一法律事務所 弁護士 渡辺 輝人
電話075-211-4411 ファックス075-255-2507
電子メール:mail@daiichi.gr.jp

(免責条項)

このソフトは、労働者の権利を擁護するため無償で頒布しますが、内容について、著作者は使用上のいかなる責任も負担致しかねます。使用される方は、各自の責任においてご使用下さい。

(利用基準)

  1. このソフトは、残業代等を請求するご本人、労働者を支援する労働組合においては大いに使って頂きたく存じます。ただし、実際の訴訟手続等のために計算結果を弁護士等に持ち込む際には下記2、3の基準に該当する日本労働弁護団または自由法曹団に所属する弁護士に持ち込むようにしてください。所属弁護士をご存じない場合は各地の所属弁護士を(もちろん無料で)紹介できますので、京都第一法律事務所宛にお問い合わせ下さい。なお、日本労働弁護団の各地の相談窓口については日本労働弁護団のホームページをご参照下さい。
  2. 当面、実務家による事務処理のための本ソフトの使用は日本労働弁護団または自由法曹団に所属する弁護士に限定させていただきます。労働事件の成果は他の事案にも反映するため、「労働弁護士」としての自覚を持った方に使っていただきたいからです。
  3. 日本労働弁護団または自由法曹団に所属しない法律家・士業(弁護士、司法書士、行政書士、社会保険労務士)の方、残業代等を請求する当事者・労働組合以外の方が書面作成代理等を含む事務処理のために本ソフトを利用することは固くお断りいたします。個別事案によっては許可する場合もありますので、希望される方は使用したい事案の都度、京都第一法律事務所宛にご連絡を頂きますよう、お願いいたします。
  4. 日本労働弁護団または自由法曹団に所属しない法律家・士業の方、残業代等を請求するご本人と労働者を支援する労働組合以外の方がこのソフトを無断使用した場合は、損害金を請求することがあります。
  5. 1項、2項に基づき使用できる方についてはソフトの内容の改変をして頂いても構いませんが、改変の際には、改変点について京都第一法律事務所宛にご連絡を頂きますよう、お願いいたします。今後の利便性の向上のためにも、よろしくお願いいたします。
  6. 内容を改変したソフトの再頒布は固くお断りいたします。このソフトを改変したソフトが流通した場合は損害賠償を請求いたします。
給与第一の更新情報
  • 2011年12月26日 2012年版Ver0.3を公開
    • 基礎時給計算書を労働基準法施行規則にそった形にして使い勝手を向上させました。
  • 2011年 1月28日 2011年版Ver0.2 を公開
    • 全体的に使用者の自由度を上げ、見やすくしました。
    • 深夜早朝時間の計算で早朝から深夜まで勤務したときに発生する不具合を修正しました。
    • 月60時間超の時間外労働の割増賃金に対応しました。
    • 新たに「各月既払金計算書」を作り既払金の計算を容易にしました。
    • 遅延損害金(利息)について年利5%と6%を選択できるようにしました。
  • 2010年12月 3日 Ver0.12(15日締め版)を公開
  • 2010年 6月25日 Ver0.12 を公開
    • セルの保護範囲を縮小し、書式等の変更ができるよう修正しました。
    • (20日締め版)当月21日以降末日までの基礎時給額が正しく参照されない不具合を修正しました。
  • 2010年 4月20日 Ver0.11 を公開
    • 2010年以降の金額が正しく計算されない不具合を修正しました。
    • その他の表示を一部修正しました。
  • 2010年 2月 1日 Ver0.1を公開

第1 基本的な考え方

1.開発意図

このソフトは、労働基準法(以下単に「法」といいます)に定められた労働者の権利である1日8時間超、週40時間超、月60時間超の過勤務手当、深夜早朝勤務手当(以下まとめて「残業代等」とします)を計算して請求するためのものです。

ネット上を検索すると使用者の立場から給与管理をするためのソフトは存在しますが、労働者の立場から未払残業代等を請求する立場に立ったものは少なく、特に週40時間超、月60時間超の残業代を計算するものはほとんどないのが現状です。このソフトは残業代等を正確に算出し、訴訟で請求する遅延損害金や付加金(制裁金)の計算を容易にし、かつ計算結果をそのまま訴訟資料として使えることを目的として開発しました。

2.3つの版の違い

このソフトは毎月の給与締め日の違いによっていくつかの版が作成されています。末日締め版、20日締め版、15日締め版です。職場によっては給与の締め日が他の日になるところもあると思います。その場合は別途開発する必要があるので、ご要望を頂ければと思います。

3.ソフト内容の概説

このソフトは「各月基礎時給計算書」「時間外・深夜早朝手当計算書」「各月既払金計算書」「未払賃金と遅延損害金計算書」の4枚のエクセルシートからなっています。作業手順は以下の通りです。

  1. 1枚目のシートである「各月基礎時給計算書」に各月の給与額等を入力します。具体的な入力方法は第2の1を参照して下さい。
    すると、勤務時間1時間当たりの給与額(労働基準法37条1項の「通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額」。以下「基礎時給」とします)が算出されます。計算結果は自動的に「時間外・深夜早朝手当計算書」に反映されます。
  2. 2枚目のシートである「時間外・深夜早朝手当計算書」に各日の出勤時刻、退勤時刻、休憩時間を入力します。具体的な入力方法は第2の2を参照して下さい。
    すると、各日の労働時間の内、1日8時間超分(法32条2項、37条1項)、週40時間超分(法32条1項、37条1項。週の起点は日曜日に固定しています。)、月60時間超時間外労働時間分(法37条1項但し書き)、深夜・早朝の勤務分(法37条3項)に該当する時間が自動的に算出されます。なお、月60時間超分については適用の有無を選択できます。
    これらの時間と1の基礎時給と1.25(月60時間超分、深夜・早朝勤務については0.25)を掛けることで各日の未払賃金額が自動的に算出されます。また「T 調整欄」にその他計算の難しい手当(休日出勤手当等)を記入するとそれも反映されます。
    さらに月ごとの未払賃金の合計額が自動的に算出され、この結果が「未払賃金と遅延損害金計算書」に反映されます。
    職場で一日8時間、週40時間よりも短い所定労働時間が定められているときは、それに対応することも可能です。具体的な入力方法は第2の2を参照して下さい。
  3. 3枚目のシートである「各月既払金計算書」に各月の既払金(例えば残業代の一部が「営業手当」の形で支払われている場合や、不完全ながら残業代が支給されている場合)を記入して下さい。
  4. 4枚目のシートである「未払賃金と遅延損害金計算書」に各月の給与支給日、遅延損害金計算基準日(すでに退職している場合は最後の給与支給日。在職中なら請求日ないし提訴日)、を入力します。また、付加金の計算も出来ます。付加金を請求できるのは提訴日から2年以内に支払日があるもののみです。具体的な入力方法は第2の3を参照して下さい。
    また、遅延損害金(延滞利息)の利率を選択できるようになりました。勤め先が会社または商人の場合は年利6%、それ以外の場合は5%を選択して下さい。
    すると、未払賃金について遅延損害金計算基準日までに発生する遅延利息を年利5%または6%(1年366日計算)で算出します。遅延損害金計算基準日以降の遅延損害金は在職中と退職以後で異なる上(※1)、訴訟上は「~%の利息を支払え」と記載すれば足りるのでこのソフトでは計算しません。
    ※1 すでに退職している場合、賃金の支払の確保等に関する法律6条1項により、少なくとも最終給与支給日以降(厳密に言うと退職日前に支給日が到来している分は退職日以降ですが退職日以降に給与支払日が来る方もいるので一律に計算できるようにしました)については年利14.6%の遅延損害金を請求できます。
    完成させた各シートはプリントアウトしてそのまま訴訟資料として使えるようにしてあります。

4.今後の課題

気付いた範囲での課題は以下の通りです。

  • 時間表記について勤務中に日付が変わった場合に「25:00」等とそのまま積算していくことの是非。
  • 給与計算の締め日の違いをソフト的に認識せず、締め日ごとにシートを作る必要があること。
  • 今のところ、1日の間に始業時刻が2回来るような事例(例えば0:00から17:00まで働き、一度帰宅して、再度、23:00から働き始めるような場合)への対応が不十分であること。
  • 遅延損害金の計算について閏年を考慮した計算式の導入。
  • 法定休日の特定。休日出勤になると3割5分増し賃金ですが、適用があるのは法定休日の0:00~24:00であり、週8時間、40時間超の2割5分増は適用されないなど、計算が難しいので、それを含めた計算式の構築。当面は「調整欄」で対応することとした。
  • 深夜早朝勤務手当について0:00~5:00、22:00~29:00(=翌日の5:00)を深夜早朝勤務として認識するが、終業時刻が46:00(翌日22:00)以降になるような事例には対応していないこと。
  • 変形労働時間制への未対応。もっとも、賃金不払いをするような職場では口では「変形労働時間制」と言っていても、法律上は無効なことが多く、原則通り請求すれば足りる場合も多いと思います。

第2 具体的な入力方法

1.「各月基礎時給計算書」による「基礎時給」(割増計算の基礎になる賃金の時間単価)の算出

(1)始めに

まず「各月基礎時給計算書」を入力します。原理的には「基礎時給」=月の給与額(分子)÷月所定労働時間(分母)です。 月給制の方は(2)を、時給制の方は(3)を参照して下さい。

(2)月給制の場合
ア 所定労働時間の入力
  • (ア)職場の所定労働時間が不明または定めがない場合
    所定労働時間については初期状態では月173.81時間(平年。計算式は週40時間÷一週間7日×365日÷12ヶ月)または174.29時間(閏年。計算式は週40時間÷一週間7日×366日÷12ヶ月)があらかじめ記入されています。
  • (イ)職場の所定労働時間が(ア)よりも短い場合
    職場でこれよりも低い所定労働時間が定められている場合は、「C 所定労働時間<時間>」の列に月ごとの所定労働時間を記入して下さい。所定労働時間の計算の仕方については下記労基法施行規則19条4号の通り「月によつて所定労働時間数が異る場合には、一年間における一月平均所定労働時間数」を記入することになります。
    労働基準法施行規則
    第十九条  法第三十七条第一項の規定による通常の労働時間又は通常の労働日の賃金の計算額は、次の各号の金額に法第三十三条若しくは法第三十六条第一項の規定によつて延長した労働時間数若しくは休日の労働時間数又は午後十時から午前五時(厚生労働大臣が必要であると認める場合には、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時)までの労働時間数を乗じた金額とする。
    • 一 時間によつて定められた賃金については、その金額
    • 二 日によつて定められた賃金については、その金額を一日の所定労働時間数(日によつて所定労働時間数が異る場合には、一週間における一日平均所定労働時間数)で除した金額
    • 三 週によつて定められた賃金については、その金額を週における所定労働時間数(週によつて所定労働時間数が異る場合には、四週間における一週平均所定労働時間数)で除した金額
    • 四 月によつて定められた賃金については、その金額を月における所定労働時間数(月によつて所定労働時間数が異る場合には、一年間における一月平均所定労働時間数)で除した金額
    • 五 月、週以外の一定の期間によつて定められた賃金については、前各号に準じて算定した金額
    • 六 出来高払制その他の請負制によつて定められた賃金については、その賃金算定期間(賃金締切日がある場合には、賃金締切期間、以下同じ)において出来高払制その他の請負制によつて計算された賃金の総額を当該賃金算定期間における、総労働時間数で除した金額
    • 七 労働者の受ける賃金が前各号の二以上の賃金よりなる場合には、その部分について各号によつてそれぞれ算定した金額の合計額
    • ○2 休日手当その他前項各号に含まれない賃金は、前項の計算においては、これを月によつて定められた賃金とみなす。
  • (ウ)職場の所定労働時間が(ア)を越える場合
    変形労働時間制が採用されている事例以外ではあり得ないので、(ア)のままにして下さい。このソフトは変形労働時間制に対応しませんが、賃金不払いをするような職場では口では「変形労働時間制」と言っていても、法律上は無効なことが多く、原則通り請求すれば足りる場合も多いと思います。

イ 給与額の入力
  • (ア)原則
    次に時間単価算出の分子となる給与額を算出します。D~H列の各月に基本給、諸手当等を入力して下さい。列が足りない場合は一つの列にいくつかの手当の額を合算したものを入力して構いません。
  • (イ)入力しない手当(除外賃金)
    ただし、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(法施行規則21条)については入力しないで下さい(※)。
    使用者が残業代の先払いとして定額の手当を支払っている場合があります。「時間外勤務手当」が毎月固定額の場合、「営業手当」が時間外手当である旨が就業規則に明示されている場合等です。これも入力しません。
    ここで入力しなかった手当は逆に3で説明する「各月既払金計算書」に記入して残業代等の請求から控除されることになる場合もあるので注意が必要です。使用者の言い分を鵜呑みにせず、本当に入力しないのが妥当なのかよく検討して下さい。
さらに詳細には「家族手当」と称していても家族の有無や数に関係なく支給されている場合や住宅手当といいつつローンの額や家賃額に関わりなく定額を支給している場合は除外賃金になりません。この場合は入力して下さい。

ウ 完成

上記各作業をすると、各月の基礎時給が算出され、かつ、次に説明する「時間外・深夜早朝勤務手当計算書」に反映されます。

(3)日給制の場合

H欄に一日の所定労働時間、I欄に日給額を記入してください。なお、一日の所定労働時間は初期値が8時間になっています。また、一日の所定労働時間が日によって違うときは上記労基法施行規則19条2号を参照してください。基本的に日給制だけど「精勤手当」等一部月ごとに支払われる賃金があるときは、その賃金は月給の欄に記入してください。

(4)時給制の場合

J列「基礎時給」の欄に月々の時給額を入力して下さい。時給額が月の途中で変わっている場合は「時間外・深夜早朝手当計算書」のP列に直接時給額を入力して下さい。時給制ではあるが「精勤手当」等給与の一部に月給制の部分があるときは、その賃金は月給の欄に記入してください。

各月基礎時給計算書説明図

「時間外深夜早朝勤務手当計算書」への具体的な入力方法

(1)計算と時間入力のルール
  • 1週間の始まりは日曜日としました。旧労働省の通達に基づきます。
  • 時間については24時間法を採りつつ、終業時刻が24時を越えるときは25時、26時とそのまま累積していくようにしました。
  • 分については1分単位で計算するようにしました。
  • 時間は「5:25」、「24:37」、「29:46」等と入力して下さい。
  • 労働時間については始業する時刻が属する日の労働時間と考えました。例えば、4月1日の「23:30」から4月2日の「29:00(5:00)」まで働いた場合はすべてが4月1日の労働時間として認識されます。
(2)このソフトが計算の対象としないもの

今のところ、1日の間に始業時刻が2回来るような事例(例えば0:00から17:00まで働き、一度帰宅して、再度、23:00から働き始めるような場合)には対応できていません。その場合はT列「調整欄」を用いて記載しきれない分の賃金を記入する等して対処してください。

休日出勤の割増手当の計算についても、今のところ対応していません。理由としては、法定休日(月4日)の特定がソフト上困難なこと、計算方法が非情に複雑であること、法定休日の出勤は割と少ないと思われること等があります。休日出勤手当を計算したい場合は、T列「調整欄」に割増賃金を直接入力する等して対処して下さい。

(3)具体的な入力方法

「各月基礎時給計算書」を完成させてから「時間外・深夜早朝勤務手当計算書」を見ると、P列「基礎時給」に当該月の基礎時給がすでに入力された状態になっています。
まず、各日のF列「出勤時刻」に出勤した時刻を入力します。「8:55」「22:00」の例で、半角で入力して下さい。
次にG列「退勤時刻」に退勤した時刻を入力します。
さらにH列「休憩時間(5:00~22:00)」に朝5時から夜22時までの間にとった休憩の時間(「時刻」ではなく幅を持った「時間」です)を入力して下さい。出退勤の時刻とは考え方が違うので注意が必要です。休憩時間が45分であれば「0:45」と記入します。
最後にH列「休憩時間(0:00~5:00 or 22:00~29:00)」に朝0時から5時まで、夜22時から29時までの間にとった休憩時間(時刻ではない)を入力して下さい。
この作業が一番骨の折れる作業だと思いますが、上記が終われば、各月において本来支払われるべき残業代等がすべて自動的に計算されます。

時間外・深夜早朝手当計算書説明図

(4)所定労働時間の変更について

バージョン0.2からは所定労働時間を変更できるようになりました。シートの一番上にある「日所定労働時間」「週所定労働時間」の時間を変更することで、時間外勤務手当が発生する時間帯を変更することが出来ます。

(5)月60時間超時間外労働時間の適用の有無

適用のある職場にお勤めの方はシート上方の「60時間超時間外労働50%増適用の場合は「1」を記入」と書いてある欄の下に「1」を記入して下さい。月60時間超の5割増の時間外勤務手当を請求できるのは「当面の間」、以下のいずれにも該当しない場合のみです(法138条)。

  • 資本金3億円以下(小売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については五千万円、卸売業を主たる事業とする事業主については一億円)の事業主
  • 常時使用する労働者の数が三百人(小売業を主たる事業とする事業主については五十人、卸売業又はサービス業 を主たる事業とする事業主については百人)の事業

実際には、かなりの大企業以外には適用されない事になります。

3.「各月既払金計算書」への既払金の入力

ここに記入するのはすでに支払われた時間外勤務手当、深夜早朝勤務手当ないしそれに該当する賃金です。すでに述べたことですが「営業手当」等の名前がついていても、それが時間外勤務手当であることが就業規則等で明示されている場合などについても、その額をここに記入することになります。ただ時間外勤務手当としての実態が無い場合などは記入する必要はなく、逆に「各月基礎時給計算書」に計算して基礎時給の基礎とされますので、注意して下さい。具体的には、C~G列に既払金の金額を記入すると合計額が自動計算されます。

各月既払残業代等計算書

4.「未払賃金と遅延損害金計算書」による未払残業代等、遅延損害金、付加金の算出

(1)F列「遅延損害金起算日」について

上記3項までの作業を行うと、すでに各月の未払金の額が計算された状態になります。

次に各月の給与支給日を入力して下さい。通常、支給日が日曜日等の場合は、その前に支払われることになっている場合が多いと思いますが、それを調べるのが面倒な場合は「2010年1月15日」「2010年2月15日」というように本来の支給日を一律に入力して結構です。
入力は、例えば2010年1月15日の場合は「2010/1/15」と、西暦で数字は半角にして入力して下さい。

(2)G列「遅延損害金計算基準日」について

すでに退職されている方は最後の給与支給日を入力して下さい。まだ在職されている方は提訴日等、区切りとなる日を適当に選んで入力して下さい。

遅延損害金は各月の給与支給日から基準日(例えば提訴日)まで366日計算の年利5%または6%で計算します。366日にしているのは通常年よりも閏年の方が1日あたりの利息が僅かに少ないので、閏年に利息を過分に計算しないためです。裁判所は少なく請求する分には問題にしませんが、過剰請求すると1円単位でも訂正を求めてくるので、内側に引くことにしました。閏年だけ利率を変える機能をどなたか開発して頂けると幸いです。

具体的な入力例は(1)と同様です。

また、労働者が退職している場合、使用者は少なくとも最後の給与支給日以降については未払賃金全額について年利14.6%の遅延損害金を負担する義務があります。これについては、このソフトでは計算しません。具体的な金額が必要であれば、未払賃金額×未払日数÷365(閏年は366)×14.6%の式で別途計算して下さい。

賃金の支払の確保等に関する法律第6条1項
事業主は、その事業を退職した労働者に係る賃金(退職手当を除く。以下この条において同じ。)の全部又は一部をその退職の日(退職の日後に支払期日が到来する賃金にあつては、当該支払期日。以下この条において同じ。)までに支払わなかつた場合には、当該労働者に対し、当該退職の日の翌日からその支払をする日までの期間について、その日数に応じ、当該退職の日の経過後まだ支払われていない賃金の額に年十四・六パーセントを超えない範囲内で政令で定める率を乗じて得た金額を遅延利息として支払わなければならない。
(3)遅延損害金

遅延損害金(延滞利息)については、右上のボックスで年利5%と年利6%のどちらかを選択できるようにしました。勤務先が会社または商人である場合は年利6%、それ以外の場合は年利5%を選択して下さい。

(4)付加金について

訴訟を提起する場合に賃金不払いの制裁金として請求できる付加金(法114条)については、時効がなく、2年間の出訴期間があります。請求できる範囲は提訴日から2年以内に支払日がある未払賃金のみです。事例により異なるため自動計算が不可能です。訴訟提起日から遡って2年以内に支払日がある未払賃金額を自分で足し算して計算して下さい。

未払賃金と遅延損害金計算書