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「年越し派遣村」に支援に行ってきました

「年越し派遣村」に支援に行ってきました

藤井 豊弁護士 藤井 豊

参加の経緯

元日、2日と、日比谷公園の「年越し派遣村」に支援に行ってきました。

実は、当初は「年末年始くらいはゆっくり休まなければ」とも思っていました。しかし、NHKの討論番組で「反貧困ネットワーク」の事務局長である湯浅誠氏が「役所が閉まる年末年始は、生存に関わる問題だ」との話しているのを聞き、自分の感覚の鈍さを反省し、東京の弁護士仲間を通じて、参加を申し込みました。

年越し派遣村の藤井弁護士

相談活動

派遣村では、仮設テント内での法律相談・生活相談を担当しました。

典型的な輸出不振による派遣切りや雇い止めの人もいましたが、建築不況の中で仕事のない日雇労働者も多くおられました。また、住居はもちろんなく、所持金は1000円に満たない人がほとんどでした。時々所持金が数千円ある人がいると、私の方も「当面なんとかなるだろう」と思ってしまう、段々とこちらの金銭感覚が狂ってくるような状況でした。

相談では、住居がなければ安定した仕事にも就けないので、生活保護を受給して住居と生活費を確保し、生活を安定させてから就職活動をしたらどうかと、5日の生活保護一斉申請に向けて、アドバイスをしていました。就労支援と並行する生活支援は、生活再建のためには必須です。

派遣村全体では、半数程度が生活保護申請を行うことになったようですが、残りの半数が生活保護の要件を満たしていないわけではありません。私の担当した相談者の中にも、なかなか生活保護を希望しない人がいました。家もなく、所持金も数百円という状態でも、「それでも自分一人でなんとかするべきだ」という過剰な自己責任の考えがあるように思いました。非正規雇用を増大させた規制緩和の背景には、競争原理と自己責任論が存在していますが、これを推進し莫大な利益を得た大企業と、これにより安く働かされ、さらに今回職を奪われた労働者とが、自己責任論という点で奇妙な一致を見せていました。しかし、生活再建に必要な支援を受けることと、「甘える」ということとは違います。

生活保護申請を希望する方でも、一番の不安は、受給決定までの間の寝場所でした。先日報道にあったとおり、その後都内に場所を確保したということで、私も安心したところです。

派遣村の意義を振り返って考えると

第一の意義は、やはり年末年始の彼らの生存を守ったということです。

第二の意義は、問題の大きさを、誰の目にも明らかになるように「可視化」させ、政府に緊急対策を取らせる政治的情勢を作ることにもあったと思います。

派遣村に集まったのは、約500人です。当然、都内、国内にはもっとたくさんの経済難民がいますが、もし、派遣村がなければ、厚生労働省が野宿者たちを省内の講堂に入れることもなかったし、その後の様々な支援策もなかったと思います。

第三の意義は、経済危機を「災害」と同じように捉える社会状況を作り、かつての阪神大震災のときのように、多くの人たちの良心を動かし始めていることです。

近年、殺伐とした社会状況が続いていたので、「助け合って、お互いの生活を守ろう」という雰囲気が生まれつつあることは、労働のあり方、社会保障のあり方を巡る今後の議論の中で、重要であると思います。

最後に

京都でも、派遣切り、雇い止めがあることは報道されているところですが、実際どの程度の方が、職を失い、住居を追われることになるのか、十分には把握できていません。今後、実態の把握と、労働相談や生活相談などの活動に取り組みたいと思います。

またこれを読まれていて、生活保護を受け住居を確保し、就職活動をして生活を再建したい、という方がおられましたら、いつでも当事務所までご相談ください。