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第4回「市民のための法律セミナー」

第4回「市民のための法律セミナー」レジュメ もし交通事故にあったら

~あなたが被害者になった場合~

荒川 英幸弁護士  荒川 英幸

第1 事故が発生した時

  1. 加入する保険に連絡する
    相手方の保険を確認する
  2. 直ちに治療を受ける
    治療を怠ると賠償に不利益
  3. 物件や現場を保存する
    物件や現場が変化するおそれ

第2 治療費

  1. 自由診療と保険診療
    • 交通事故でも健保・国保使用可
    • 自賠責の傷害枠
    • 過失相殺あるときの自由診療の不利益
  2. 健保・国保使用時の権利関係(代位と求償)

第3 保険制度

1  自賠責(物損と加害車加入者除外)
  • 保険枠 傷害120万円、死亡3000万円、後遺障害75~4000万円
  • 独自の査定基準
  • 自賠責先行でないと損をする
    • ア  過失減額
    • イ  裁判による手続停止、判決に同調
    • ウ  後遺障害認定の実務
  • 複数の加害車関与は、その台数の倍額保障(2台→2倍、3台→3倍)
  • 自賠責無保険車・ひき逃げは、政府保障事業
2  任意保険
  • 対人
    • ア  自賠責の上乗せ分しか支払われない
      損害5000万円、自賠責枠3000万円、自賠責無保険なら任意保険は2000万円しか払わない
    • イ  無免許、飲酒運転でも適用あり
    • ウ  父母、配偶者、子の除外
  • 対物
    「無制限」に加入すること トレーラー事故など2000万円超過
  • 相手方無保険車の事故
    無保険車傷害、人身傷害
    自分だけでなく、家族(対象は要確認)の保険でも払われる
  • 海に転落
    搭乗者傷害、人身傷害、自損事故
  • 人身傷害
    自損事故や当方過失100%でも適用、過失相殺事例では人身傷害の使用を検討、他人の車に乗っているときや歩行中でも適用、家族(対象は要確認)にも適用、保険枠・査定あり、
  • 搭乗者傷害
    加害者から100%の支払あったときでも使用できる(二重取得可能)、限度枠あり
  • 他車運転危険担保特約
    この特約のあるAがB車を運転して事故→Aの保険、B車の保険を選択的に利用できる、家族(対象は要確認)にも適用
  • 弁護士費用保険
    限度額300万円、家族(対象は要確認)が被害者になった時も使用できる

第4 自賠責の後遺障害認定

  • 事前認定・一括請求(払い)と被害者請求の関係
  • × 事前認定にまかせる
    ○ 被害者請求と異議申立活用
  • 後遺障害についての基本的知識
    ア 系列の意味
    イ 関節機能(運動)障害について
    • 主要運動原則
    • 他動原則
    • 同一面運動合計原則
    • 健側との比較と参考可動域
  • 後遺障害診断書
    ア 医師と弁護士の認識の差
    イ 所見を確認して、どの後遺障害に該当するかを検討
    ウ テクニカルタームをおさえる(「器質的変化」など)
    エ 最初から詰めすぎない
  • 検査1つで500万円の違いが出た例
    14級と12級の差
  • 被害者の顔を見せる
    陳述書の活用

第5 任意保険の示談代行の実情と裁判所の活用

  • 慰謝料基準は、任意保険基準よりはるかに高い
  • 自賠責を尊重する実務
  • 骨折部が痛ければ14級
  • 労働能力喪失率は固定的ではない
  • 遅延損害金の充当と最高裁判決
  • 和解にも遅延損害金を一部計上する実務

~あなたが加害者になった場合~

浅野 則明弁護士  浅野 則明

第1 交通事故加害者としての責任

  1. 民事責任-損害賠償請求
  2. 刑事責任-刑事罰(懲役、禁固、罰金)
  3. 行政責任-免許の取消、停止

第2 加害者として行うべき基本的事項

1 警察への届出(道路交通法72条)
  • 人身、物損を問わない
  • 交通事故証明書が発行されない不利益
2 任意保険会社への連絡
  • 示談代行付き保険(SAP、PAP)
  • 保険会社に相談なく賠償金を支払わない
3 安易に自分の落ち度や責任を認めない
  • 被害者やその家族ら
  • 警察や検察庁での取調べ
4 被害者に対するお見舞い
  • 見舞いと謝罪の区別
  • 見舞金、回数

第3 民事責任

詳細は荒川英幸弁護士のレジメ参照

1 任意保険会社との連携
  • (1) 示談代行付き保険の場合
    基本的に保険会社の事故担当者に任せる(保険の本来的役割)
    被害者が保険会社との交渉を拒否した場合は
  • (2) 示談代行のない保険の場合
    建前は加害者自身が示談を行うことになるが、実際には保険会社が加害者の了解を得て示談代行している
2 被害者に暴力団等がついたとき
  • 直ちに保険会社に連絡→弁護士にバトンタッチ
  • 保険無加入の場合→自費で弁護士依頼

第4 刑事責任

1 自動車運転過失致死傷罪(刑法211条2項)

7年以下の懲役もしくは禁固または100万円以下の罰金
(平成19年改正により新設された規定-従前は業務上過失致死傷罪)

2 危険運転致死傷罪(刑法208条の2)
  • (1) 酩酊運転(アルコールや薬物)
  • (2) 高速度運転・未熟運転
  • (3) 妨害運転(割込、幅寄せ、あおり)
  • (4) 信号無視運転
    • 結果が致傷・・・懲役15年以下
    • 致死・・・1年以上の有期懲役
    • *有期懲役は20年以下であるが、併合罪の場合には30年以下になる可能性がある
3 道路交通法違反
  • (1) 酒気帯び運転  3年以下の懲役または50万円以下の罰金
  • (2) 酒酔い運転   5年以下の懲役または100万円以下の罰金
  • (3) 無免許運転   1年以下の懲役または30万円以下の罰金
  • (4) 最高速度違反  6月以下の懲役または10万円以下の罰金
  • (5) 過労等運転違反 3年以下の懲役または50万円以下の罰金
  • (6) 報告義務違反  3月以下の懲役または5万円以下の罰金
  • (7) 救護義務違反  10年以下の懲役または100万円以下の罰金

第5 行政責任等

1 免許に対する行政処分
  • (1) 基礎点数
  • (2) 付加点数
  • (3) 免許の停止・取消
    聴聞手続-取消および90日以上の停止の場合
2 懲戒処分等
  • (1) 公務員の場合
     1) 起訴休職
     2) 当然失職(禁固以上の刑に処せられた場合)
     3) 懲戒免職、停職、減給、戒告
  • (2) 民間の場合
     懲戒処分(解雇、停職、減給、戒告)

第6 自転車事故(自転車で加害者になった場合)

1 責任は自動車の場合と同じ

平成20年の自転車関連の事故は16万2525件で全交通事故の約20%。特に自転車対歩行者の事故は10年前の4.5倍になっている。

(1) 事故当時68歳の老女が交差点歩道上で信号待ちをしていたところ、前方不注視の自転車に乗った事故当時17歳未成年が衝突し、老女が転倒し、大腿骨を骨折し、後遺障害8級の障害を残した事例で、老女の損害として、約1800万円を認容(平成10年大阪地裁)。

(2) 事故当時54歳の看護師女性が、市道を歩行中、事故当時16歳女子高生が、無灯火の上、携帯電話を操作しながら片手運転していた自転車に追突された。被害者女性は、手足に痺れが残って歩行困難になり、職も失った事例で、約5000万円の支払を命じた(平成17年横浜地裁)。

2 ファミリー交通傷害保険(家族タイプ)に加入する
  • 賠償保険+傷害保険になっている
  • 同一生計であれば別居の子であっても被保険者として補償対象となる
  • 別生計の子は補償対象外
    (詳細は保険会社によって異なることがある)
3 TS(Traffic Safety)マーク

TSマークは、財団法人日本交通管理技術協会が取り入れているもので、自転車安全整備士がタイヤやブレーキなどを点検した証明になっている。保険も兼ねており、最高100万円の傷害補償のほか、事故を起こして相手にけがをさせるなどした場合、限度額2000万円の補償を受けることができる。有効期限は点検から1年間で更新できる。手数料は第1種500円、第2種1000円。

【保険の内容】
  • 第1種(青色)
    死亡または重度障害に対し 一律30万円
    入院加療15日以上の傷害に対し1万円
    賠償責任保険限度額500万円
  • 第2種(赤色)
    死亡または重度障害に対し 一律100万円
    入院加療15日以上の傷害に対し10万円
    賠償責任保険限度額1000万円