活動紹介

「憲法を活かす講演の集い」を開催しました!

「憲法を活かす講演の集い」を開催しました!

2015年7月6日、京都精華大学の白井聡先生をお招きし、「戦後70年、歴史の分岐点に何をすべきか」と題して、ご講演いただきました。

1.「きちんと」敗戦していない日本

冒頭、白井先生は、戦後の日本政府が、ポツダム宣言を受諾して「日本は変わるのだ」と対外的に約束する一方、対内的には「敗戦をしても国体(国の根本的なあり方)は護持する」と宣言したことに触れ、侵略戦争をした日本は敗戦しても変わらないと表明したのも同然であると指摘しました。

敗戦をしても変わらないという姿勢は、結局のところ敗戦を「否認」する、すなわち敗戦したことを知りつつ現実として認めないというものです。敗戦を認めないということは、戦争に対する反省もなければ、誰かが責任をとるということも必要ない。このように、敗戦のプロセスが終わっていない日本の「戦後70年」を、白井先生は「永続敗戦後70年」と呼びます。

2.なぜ永続敗戦が可能だったのか

白井先生は、永続敗戦が可能となった背景として、本土決戦がなかったことや、(沖縄を除いて)冷戦の最前線でなかったことを挙げます。アメリカ軍の拠点として占領されることなく、いち早く戦後復興に取り組み、高度経済成長を遂げたことが、日本から敗戦を風化させ、否認させました。しかし、このことが、日本の侵略戦争によって犠牲になった東アジアの国々との間に亀裂を生むことは目に見えています。

一方、アメリカとの関係は違いました。日本はアメリカから戦後賠償について寛大な扱いを受けたことにより、アメリカに頭が上がらないのだと白井先生は指摘します。日本は、アメリカとの関係では、まさに敗戦国。日本政府は、アメリカの要請に逆らうことができずにきたのです。そして、戦争することで身を守る積極的平和主義をとってきたアメリカと共に軍事的な行動をするためには、戦に強い日本でなければならない。だから、戦争法制が必要だということで、日本政府は今、躍起になっています。

3.政治を突き動かすのは不合理な動機

戦争法制によって作り出されるシステムは、単に日米の軍需産業の利益のためのシステムだと白井先生は言います。アメリカは、日本がアメリカにとって都合のいい存在であり続けるよう、親米保守を支持します。すると親米保守は、国内において支持を取り付けるため、中国脅威論を煽ります。しかし、そこでは当然、中国と経済的に深く結びついているアメリカが対中戦争などあり得ないと考えていることは語られません。

また、戦後の日本政府は敗戦を否認していますので、「戦に強い一人前の大国に戻りたい」と必死です。しかし、戦争法制は対米従属を強化するだけで、日本政府の望む「一人前」とは逆行することになります。

4.安倍政権打倒のために、とにかく行動を!

今、学生たちが、「就職や世間体が気になる」と言いつつ、勇気を出してデモに参加しています。しかし、そんなことを気にしなければならない世の中になっているということは、由々しき事態です。社会運動が大きくなると、風当りも強くなる。その風を、世間が強めてはなりません。白井さんは、アベ政治を許さないという声をどんどん広げていけるよう、行動したいと思っていますと締めくくりました。

当事務所の弁護士が所属する日本弁護士連合会ならびに京都弁護士会でも、戦争法制に反対する会長声明を出しています。さらに、京都弁護士会の歴代会長有志も、同様の声明を出しました(当事務所出身の弁護士が多数名前を連ねています)。毎週のように、京都マルイ前で街頭宣伝もしています。憲法違反の戦争法制は、「絶対にとめる」。主権者である国民が一致団結して、暴走政治にストップをかけましょう。