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学生を狙った「マルチ」にご用心!~マルチ被害対策弁護団で提訴しました~

学生を狙った「マルチ」にご用心!~マルチ被害対策弁護団で提訴しました~

2015年8月13日
弁護士 谷 文彰

1 「マルチ商法」「ねずみ講」で会社を提訴

2015年6月22日、京都や大阪の大学生ら12人が、インターネット関連会社に対して合計約1000万円の損害賠償を求めて京都地方裁判所に提訴しました。その会社の勧誘方法が法律で禁止される「マルチ商法」ないし「ねずみ講」にあたり、違法であることを理由とするものです。

学生を狙った集団被害ということでマスコミにも注目され、提訴の様子がテレビで流れるなど大きく報道されました。弁護団は京都弁士会の有志16名です。

2 「マルチ商法」「ねずみ講」とは

「マルチ商法」というのは、「商品を販売しながら会員を勧誘するとリベートが得られるとして、消費者を販売員にして、会員を増やしながら商品を販売していく商法」(警視庁ホームページより)で、考えたほど会員を勧誘することができなくて商品が大量に余ってしまったといった問題が生じやすいため、特定商取引に関する法律により「連鎖販売取引」として厳しく規制されています。

他方、「ねずみ講」というのは、無限連鎖講の防止に関する法律によって禁止される「犯罪」です。大まかにいえば、金品を支払う参加者が無限に増加するという前提で、どんどんと増える下位会員から徴収した金品を上位会員に分配することで上位会員がもうけを得ようとする団体を指しています。「参加者が無限に増加する」という前提は、人口が有限である以上絶対に成り立つことがなく、ねずみ講は必ずどこかで破綻してしまうのです。

この2つはよく似ていますが、単にお金のやり取りが目的になっているかどうか、法律で禁止されているかどうかという違いがあります。

3 「学生の街」で繰り返されるマルチ被害

大学がたくさんある「学生の街」京都では、実はこのように大学生を狙ったマルチ商法やねずみ講の被害が後を絶ちません。私自身も、2010年に同じような手口で学生を中心に被害を引き起こした会社に対する裁判の弁護団に加わったことがあります。その事件では警察との連携もうまくいき、会社の代表者などが逮捕されました。そして裁判の結果、ほとんどのお金を取り戻すことができたのです。

さらにその前、2005年にも同じように裁判になった事件がありました。もちろんこれ以外にも被害は発生しており、京都大学なども含め、学生が被害に遭うケースが繰り返し発生しています。

警察や弁護団が対応して被害を根絶しても、ほとぼりの冷めたころにまた新しい会社が動き出します。そしてそれが新たな被害を発生させる、ということが繰り返されているのが現状です。京都に住む人の10人に1人は大学生ともいわれています。それだけ学生が狙われやすく、被害に遭いやすいといえるかもしれません。

4 特徴的な手口 ~「夢」を語る、卒業アルバムを使わせる、サラ金から借入れさせる~

マルチ商法の特徴的な手口の1つに、「夢を語る」というものがあります。「あなたに夢はあるか」「どんな夢か」「そんな小さいことでいいのか」などと煽った上で、自分たちの会社の例を挙げ、「こんなに成功することができる」「どうせやるなら大きなことをしてみないか」などとさももっともらしく「夢」を熱く語るのです。そうして心を動かされてしまうと、被害に遭うことになってしまいます。

また、マルチ商法は新しい人を次々と勧誘していかなくては成り立ちません。そこで、中学や高校の卒業アルバムを持って来させて同級生に当たらせることも多くあります。その結果、同じ学校の卒業生の間で被害が広まりやすいという特徴も持っています。

さらに、学生は通常、何十万円ものお金をすぐに用意はできません。そこでどうするかというと、サラ金から借りさせるのです。しかもその際には、「借入の理由は冠婚葬祭とするように」「職業は正社員と書きなさい」などと具体的な方法を教えることも少なくありません。特定のサラ金を紹介する場合さえあります。

5 被害を防ぐために

悪徳業者は判断能力が必ずしも十分ではない学生を狙って繰り返し被害を発生させてきました。熱く「夢」を語ったり、儲け話を持ちかけられたりしても、決して耳を貸さず、冷静に考え、周囲に相談してください。そうすればきっと被害を防ぐことができます。

当事務所では長年消費者事件に取り組んでいます。マルチのことに限らず、「何かおかしいな?」と思われたらお気軽にご相談ください。

(提訴した会社が使っていた契約書や説明資料など)