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仕事のない部署への配転を無効とした判決 ~ブラック企業の「追い出し部屋」も違法に!~

仕事のない部署への配転を無効とした判決 ~ブラック企業の「追い出し部屋」も違法に!~

2017年2月22日
弁護士 奥村 一彦

1 闘うことで要求は実現できる!

2017年2月20日、京都地方裁判所で、配転後の業務の過小性を理由に、使用者による労働者への配転命令を違法・無効とする判決を勝ち取りました。

もともと1月26日に予定されていた言渡し期日が1ヶ月近く延期された中での判決、私たちも大きな期待と不安を抱えていただけに、とてもうれしく思います。組合をあげて支援したJMITU(日本金属製造情報通信労働組合)や京都総評の粘り強い運動、なにより当事者として何年もの間、闘いを続けた原告お二人の力があったからこその画期的成果。闘えば要求は実現するのだということを再認識させる結果となりました。

閑職に左遷して仕事を与えないという手法はブラック企業にもよく見られますが、そのような手法は「違法」と明確に認められたのです。

(勝利判決を手に喜ぶ原告ら(中央2名)と支援者、弁護団)

2 会社の組合つぶしと「追い出し部屋」への左遷

原告らは打錠機の製造販売で有名な会社で設計業務を担当していましたが、2011年4月27日、他の5名とあわせて、会社から「新しく設置する部署に異動するように」と辞令を受けました。しかし実際の業務を行なわないまま1年後に同部は廃止され、同名の課が設立もすぐに廃止されるなどの迷走の末、2012年10月19日、再び同名の部が設置されましたが、今回は原告ら2名のみが配転命令を受けることになりました。

その間、仕事を与えられず、必要な会議への出席も拒否されたことから、原告らは、2012年10月4日、JMITUと相談の上で組合を結成します。組合を通じて元の職場に戻すよう申し入れるものの一向に対応されず、それどころか与えられた部屋は他の従業員から丸見え状態。その後も仕事はほとんど与えられず、必要な図面等の入手すら妨げられるほどでした。正に「追い出し部屋」のような状態です。

3 始まった闘い -京都府労働委員会を経て京都地方裁判所へ-

こうした現状に、二人は闘いを決意します。まず、京都府労働委員会に、会社が団体交渉に誠実に応じていないとして救済申立を行いました。これについては、2015年5月20日、「会社はいまだ必要な説明を尽くしたとは言い難い」「今後組合から団体交渉の申入れがあった場合には、会社もこれに応じる必要がある」との判断を得ました(結論としては申立を棄却)。

併せて2014年、配転命令が違法・無効であることの確認と慰謝料の支払いを求め、京都地方裁判所に訴訟を提起しました。その審理の中で明らかになってきたのは、会社が原告らを元の職場に戻さない理由が「原告のミス」や「元の部署の人員が反対している」点であるということでしたが、いずれも具体性はありません。他方、原告らにほとんど業務を与えていないことはよりはっきりとしていき、弁護団は追及を強めました。

4 勝ち取った判決

判決は、配転先の部署では「余りにも業務が過小であった」、「被告において、その担当業務について想定するものをほとんど用意していなかったと見るほかない」とし、「原告らだけが元の部署に戻ることができず、担当業務にも乏しい状況に置かれたことからすると、本件配転命令は、人事上の裁量権を逸脱したものというべきであり、配転命令権の濫用として無効」と判示しました。原告ら2名だけを狙い撃ちにしてまともな仕事を与えないことの不当性を追及してきたことが、功を奏したかたちです。

また、慰謝料についても、「担当業務が乏しい中での就業を強いられたことにより、精神的苦痛を受けた」として各15万円を認めました。このような配転事案で慰謝料まで認められるのは画期的といえるでしょう。

5 今回の判決の意義

大企業による「追い出し部屋」にも注目が集まっていますが、閑職に左遷して仕事をほとんど与えないということは、労働者を退職に追い込むためにブラック企業がよく取る手法の1つです。配転後の業務の内容や指示の程度などに着目し、仕事をほとんど与えていないということをもって配転命令を違法・無効と判断した今回の判決は、ブラック企業と闘う上でも大きな意義があると思います。

もっとも、まだ地裁の判決が出たばかり。これからも闘いは続きますが、今後とも弁護団として原告・支援者と一致団結して闘い抜きます。ご支持・ご支援をよろしくお願い致します。

(弁護団は、奥村一彦、谷文彰、寺本憲治、高木野衣)
以上