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債権回収

時効だと言われた時の対応

相談  請負代金を払わないまま行方不明になっていた注文主が3年ぶりに見つかったので請負代金を請求したところ、「そんな古い話はもう時効だ」と言われてしまいました。代金の回収はできないのでしょうか。

回答  時効制度は大きく分けて2種類あります。「取得時効=永く権利者らしく振る舞うと権利を取得する場合」と「消滅時効=長期間権利の不行使があると権利が消滅する場合」です。あなたが言われているのは請負代金の消滅時効ですね。

 時効にかかって(後で説明する「時効の中断」事由がないまま一定の期間が経過すること。)、相手から「時効だ」と言われると(「時効の援用」と言います。)請求する権利がなくなってしまいます。

 消滅時効の期間は原則10年ですが、商売上の債権は5年で、その他にも特別の短期消滅時効が意外にたくさん定められています。

 3年……医者の治療費、工事の設計・請負代金や不法行為(交通事故等)に基づく損害賠償債権

 2年……生産者、卸売商人及び小売商人の売却したる産物及び商品の代価や労働債権
       (ex.)電気料金・建具屋の代金・給料など

 あなたが請求したい権利は本当に法律上の「請負代金」でしょうか。それなら消滅時効は3年ですが、実は売却代金だったり給料債権だったりするときがありますから一度専門家に相談することをお勧めします。

 期間内であれば取り合えず内容証明郵便を出しておけば(「催告」と言います。)時効の完成を半年間延ばすことができます。その上で、仮差押えや訴訟をするか少しでも払ってもらえれば時効が中断します。

 一言に時効と言っても、法律上、いろいろ工夫が可能なケースもあり、あきらめずに弁護士にご相談ください。

弁護士 藤澤 眞美

債権の差押え

相談  取引先の業者(A社)に対する売掛金30万円がありますが支払ってくれません。A社にめぼしい財産はありませんが、先日、A社は別の業者が請け負った住宅の工事現場で下請業者になっていることが分かりました。この工事現場の下請代金から返して貰う方法はないでしょうか。

回答  A社が元請業者に対して持っている下請代金債権を差押することが考えられます。その前提として差押をできる状態にする必要があります。

 今回の場合、裁判所の「支払督促」の手続を使うか、簡易裁判所に「少額訴訟」を提起する方法が考えられます。支払督促の場合、相手方に送達された後、2週間以内に異議が出なければ、それから30日以内に「仮執行宣言」の申立をでき、裁判所から仮執行宣言が付されると強制執行が出来ます。少額訴訟は、原則1回の審理で終了する訴訟で、債権額が60万円以下の場合にのみ利用できます。判決が出たり、A社が和解の条件を破った場合は強制執行が出来ます。

 強制執行では、元請業者が誰なのか、よく確認してから手続を行う必要があります。差押の手続を独力で行うのは難しいと思いますので、弁護士にご相談下さい。

弁護士 渡辺 輝人

元請業者に対する債権回収

相談  息子Xが自営業で空調機械の取付工事の下請をしています。元請業者Aからの工事代金の支払は翌月払いになっているのですが、最近、元請業者の経営状況が急激に悪化し、先月の工事代金を支払期になっても払ってくれません。元請業者と交渉をしたところ、元請業者が工事の発注元の量販店Yに対して有している請負代金債権を譲ってもよいという返事が来ました。どうしたらよいでしょうか。

回答  ご質問のように、AがYに対して請求する権利がある請負代金債権をXに譲り渡すことを「債権譲渡」と言い、適法に行うためのルールが民法で定められています。具体的には、元請業者であり、旧債権者であるA自身が、新しい債権者であるXに対して、請負代金請求権を譲渡した旨を記した文書(債権譲渡通知書)を作成した上で、これを配達証明付き内容証明郵便にて発注元であるYに通知する必要があります。配達証明付きの内容証明郵便とするのは、Yに債権譲渡通知書が到達した日付(確定日付)が重要だからです。

 しかし、いくらAが債権譲渡を約束してくれても、内容証明郵便を自分で提出するところまでやってくれる保証はありません。そこで、Xの側で債権譲渡通知書を作成した上でAに押印してもらい、Xが代理して郵便局に提出するのがよいと思います。

 また、Aが後日になって「そのような債権譲渡の事実はない」と言い出す可能性も否定できません。そこで、AとXの間では、債権譲渡をした証拠となる契約書を作成するのがよいでしょう。

 これらの書類については、弁護士に相談しながら、場合によっては弁護士に作成を依頼して進めていくのがよいと思います。

 また、このように元請業者Aの経営状況が悪化している状況だと、他の債権者と債権譲渡の競争になったり、税務署が滞納税金の回収のために請負代金を差し押さえをしてくる可能性もあります。この場合は債権譲渡通知書や税務署の差し押さえ通知書がYの元に届いた先後関係(確定日付の先後関係)で、より早く身動きを取った人だけが救済される仕組みになっています。万一の場合は、いち早く行動を起こすことをおすすめします。

弁護士 渡辺 輝人

請負契約の注文者の破産

相談  建築業を営んでいます。建物の建築を請け負って工事を進めていたのですが、注文主が破産すると聞きました。請負契約を解除することはできますか?また、請負代金は支払ってもらえるのでしょうか?

回答  請負契約において、請負人は請け負った仕事を完成させる義務を負っています。しかし、注文者が破産して代金支払いの見通しが暗い場合でも、請負人が仕事を続けなければならないというのは請負人にあまりに酷です。そこで、民法は、注文者が破産した場合に、請負人は、請負契約を解除することができると定めています(642条1項前段)。
 問題は請負代金をどのように回収するかです。破産した注文主側(その破産管財人)から回収する方法と、それ以外から回収する方法を説明します。

(1)破産者から回収する方法

 契約を解除すると、あなたは、すでに完成済の建物部分についての請負代金債権を有することになります。破産手続においてこの債権に対する配当を受けるためには、定められた期間内に裁判所に債権を届け出る必要があります。届出をすると、配当の限度で支払いを受けることができますが(民法642条1項後段)、破産者は大幅な債務超過に陥っていますので、配当があるかはケースバイケースです。なお、建物の既に完成している部分をあなたが占有している場合は、「請負代金を支払うまでは完成済部分の引渡しを拒否する」と主張する方法も考えられます(商事留置権)。

(2)破産者以外から回収する方法

 建物が完成に近い状態にあれば、建物の所有権保存登記をした上で、適当な買主を見つけて建物を売却する方法があります。もっともこれは建築中の建物の所有権が請負人にあることが前提です。

 所有権がどちらにあるのかの判断はケースバイケースですし、破産の対応の仕方は状況に応じて様々ありますので、弁護士にご相談ください。

弁護士 森川 明