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従業員をめぐる問題

従業員のミスによる損害は誰が負担するのか

相談  当社の従業員が建築作業中に、誤って重い資材を隣家の車の上に落としてしまい、車の修理費50万円を当社が弁償しました。従業員に半分でも請求できますか。

回答  これは、会社の業務中の事故ですから、会社は民法715条1項の使用者責任により、車の所有者に賠償する義務を従業員とともに負います。会社が賠償した場合、同条3項は、従業員に請求すること(求償)を妨げないとしています。しかし、全額を請求できるのではなく、最高裁は、損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度に制限されるという基準を示しています。その解説では、会社は従業員を使って利益を得ているのだからリスクも負担すべきである、従業員はリスクを全額負担できるほどの給料をもらっていない、会社は保険加入で相当のリスクを回避できるなどの理由があげられています。

 従業員が自損事故で会社の車を壊すなどして、会社に直接の損害を与えた場合も、同じように扱われています。

 具体的にいくら請求できるかについて、最高裁は、使用者の事業の性格、規模、施設の状況、従業員の業務内容、労働条件、勤務態度、加害行為の態様、加害行為の予防もしくは損失の分散についての使用者の配慮の程度などを考慮して決めるとしていますが、明確ではありません。最高裁の判決のケースでは、25%を限度とする請求が認められましたが、下級審の判例では5%~50%と相当の幅があります。過去の判例を参考に、個別ケースごとに考えていくことになるでしょう。

弁護士 荒川 英幸

従業員の残業代計算

相談  当社では、出勤時間を午前8時、退勤時間を午後6時、12時から午後1時までをお昼の休憩時間と定めています。入社してくる従業員にもそのことを話して了解してもらった上で勤務時間をそのようにしていますし、そのことを前提に基本給も決めています。ところが、退勤時間を過ぎて働いた場合でなくても残業代を支払わなければならないのではないかとの指摘を受けています。はたしてそうなのでしょうか?

回答  この会社の場合、通常の勤務時間(所定労働時間)はお昼休憩を除いても9時間となっています。労働基準法では、1日の労働時間は8時間までと定められており、原則として、1日8時間を超えて労働者を働かせることはできません。また、例外的に1日8時間を超えて労働者を働かせる場合は、割増賃金(残業代)を支払わなければならないとされています。

 この会社のように、1日の所定労働時間がそもそも8時間を超えている場合であっても例外ではなく、8時間を超えた分の労働については残業代を支払わなければなりません。8時間を超えた分(この会社で言えば1時間分)も基本給に含まれているので残業代を支払わなくてもよいと誤解されている方もいますが、給与明細書等で、通常の労働時間(8時間分)の賃金に当たる部分と、残業代に当たる部分とが、はっきりと区別できるような形で支給されているような場合でなければ、別途、残業代を支払わなくてはなりません。なお、残業代を含む賃金請求権の消滅時効が成立する期間は2年間ですので、2年分さかのぼって請求を受ける可能性もあります。

弁護士 大河原 壽貴