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賃貸借をめぐるトラブル

賃貸アパートの賃借人に立ち退きを求めたい

相談  私は賃貸用のアパートを所有していますが、そこに住んでいる賃借人が先月から賃料を支払ってくれません。その賃借人に出ていってもらうことはできるでしょうか。また、そのアパートは築30年が経過し、だいぶ古くなっており、建てかえを計画していますが、賃借人に立ち退いてもらうことはできるでしょうか。

回答  賃貸アパートには借地借家法が適用されることになりますので、賃貸借契約書に、賃料の支払いを2か月以上怠った場合には、催告なしで賃貸借契約を解除できる旨の条項があっても、それだけでは賃貸借契約の解除はできません。賃貸借契約の解除には「正当事由」が必要になります。1か月や2か月程度の賃料の滞納では、他の事情(無断で他人を住まわせる、アパートを勝手に改造するなど)がない限り、催告なく解除することは難しいでしょう。

 数ヶ月の滞納があった場合でも、事前に賃料の支払いを催告して、それでも支払わない場合に賃貸借契約を解除するようにした方が確実です。事前の催告がある場合、3か月程度の賃料滞納でも解除が有効とされているケースもあります。

 また、アパートの老朽化による立ち退きの場合、建物が朽廃したと言えれば賃貸借契約は終了して立ち退きを求められますが、よほどひどい状態でなければ建物が朽廃したとは言えず、他方、賃貸人には建物の修繕義務がありますので、賃貸借が終了したとは簡単には言えません。ここでも、賃貸借契約を解約して、賃借人に立ち退きを求めるためには「正当事由」が必要になりますが、賃貸人側の建てかえのためという事情だけでは、賃借人側のそこに住み続ける必要性以上の「正当事由」が認められることは多くありません。そこで、賃借人に立退料を提供して「正当事由」を補うことが考えられます。  具体的な「正当事由」の有無や立退料の金額については、ケースバイケースですので、弁護士に相談してアドバイスを受けるのがよいでしょう。

弁護士 大河原 壽貴

賃借事務所のエアコンの修理費用の負担は?家主か借主か

相談  賃借している事務所のエアコンの暖房が入らなくなって、家主に修理を申し入れたところ、そちらの負担で修理をして欲しいと言われました。
 業務用なので、修理には十万円以上はかかります。このエアコンは、入居した当初から設置してあり、普通に使用していただけです。契約書には「付帯設備の維持保全に必要な修理を行う義務を負うのは家主である」と明記されています。
 家主の負担で修理してもらえないのでしょうか

回答  1.賃借している事務所のエアコンの故障について、その修理費用を家主が負担すべきか、借主が負担すべきかの問題です。エアコンはもともとから設置してあるもので、賃貸借契約書には、付帯設備の維持保全に必要な修理は家主の負担でおこなうことが、明記されているとのことです。

 2.借主が付帯設備のエアコンを通常の用法に従って使用していたか否かがまず問題になりますが、ご質問の場合は、通常の用法に従って使用していたものと認められます。

 そうすると、契約内容では維持保全に必要な費用は家主が負担すると定められていますので、家主の費用で修理してもらうことができると考えます。

 3.家主が納得しない場合には、契約書の内容を示して、理解してもらうように十分話しあってください。それでもどうしても家主が費用を負担しないのであれば、民法608条は「借り主が、家主が負担すべき必要費を支出したときには、直ちに家主に対して、その費用の償還を求めることができる」と定めていますので、借主の側で一旦費用を出して修理したうえ、家主に請求することになります。

 この場合、後日のトラブルを避けるため、修理費用の見積もりをとった段階で、家主に対し、配達証明付内容証明郵便で金額と、借主の費用で修理をした場合にはその費用を請求することを伝えておく必要があります。修理後、期間を定めて文書で費用を請求し、それでも支払われない場合には、賃料と相殺(支払うべき賃料から差し引くこと)することもできます。

弁護士 飯田 昭

ビルテナントの賃貸借契約と看板設置

相談  長年ビルの地下階テナントを賃貸して飲食店を経営しており、ビル所有者の了解を得て一階の入口付近に看板を置かせてもらっていましたが、ビル所有者が変わり、新たな所有者から突然看板の撤去を求められました。納得いきませんが、法律的にはどうなるのでしょうか。
 家主の負担で修理してもらえないのでしょうか

回答  ビルテナントの賃貸借契約は、建物の賃貸借契約として借地借家法の適用を受けるため、新たにビルの所有者となった者との間には、これまでどおりの契約内容で賃貸借契約が引き継がれることになります。他方、土地や建物以外の賃貸借については、新たな所有者に対して賃借権の主張が原則としてできません。

 ご相談の看板が建物の一部であれば建物賃貸借の一部であるとして賃借権の主張ができたでしょうが、看板を置いていただけであれば、同様に考えうるか問題が出てきます。

 では、ご相談のテナントの看板についてどのように考えるか、今年の4月9日に最高裁が判決を出しています。最高裁の判決では、看板が建物の一部となっていないため原則として撤去に応じなければならないという賃借人に厳しい考え方を前提としながら、ご相談のような事案については、例外的に、看板が営業と一体のものとして利用されており、看板を撤去すると営業の明示が著しく困難となること、新所有者が旧所有者の承諾があることを知りえたこと、看板の設置がビルの管理上支障を生じないことなどを理由に、新所有者からの撤去の請求は権利の濫用に当たり撤去に応じる必要がないと、結論的には妥当な判断をしました。

 この最高裁の判断は当該ケースについての事例判断です。事案によって解決への道筋は異なりますので、賃貸借を巡る様々な紛争は弁護士に相談ください。

弁護士 藤井 豊

雨漏りのする借店舗を修繕する際の注意点!

相談  長借店舗でスポーツ用品店を営んでいます。この度、雨漏りが発生し、これを機会に内装の模様替えを行いたいと考えていますが、難しい家主のため、認めて貰えない可能性があります。何とかならないでしょうか。

回答  まず、雨漏りしているとの事実は、そのまま放置すれば建物の汚損、老朽化に繋がるため、修繕することを必要とする状態となっていることを意味します。このような場合、貴方は、借り主として、速やかに家主にその雨漏りの事実を通知する義務があります(民法615条)。

 次に、賃貸借契約書等で、修繕義務を借り主に負わせる合意が無い限り、賃貸建物の修繕義務は家主が負います(民法606条1項)。従って、貴方は家主に雨漏り箇所の修繕を要求することが出来ます。

 仮に、貴方からの修繕の要求を家主が断った場合は、貴方の方で修繕工事を施工し、その後、必要費を支出したとして、その費用を家主に請求することができます(民法608条1項)。

 その上で、内装の模様替えという工事方法が、賃借建物自体に取り外し等の工作を加えるというのであれば、無断増改築の禁止との約定に違反し、契約解除の恐れがある、と一応言わなければなりません。そのような場合でも、工事内容などによっては「信頼関係の破壊」がないとして家主からの契約解除は認められない可能性があります。建物自体に手を加えない場合は、家主の了解なしに模様替えすることは可能でしょう。しかし、いずれの場合も、工事図面を事前に家主に開示し、出来るだけ了解を得る努力をする方が無難です。

弁護士 森川 明