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STOP THE 原発再稼働!!

STOP THE 原発再稼働!!
大飯原発差止裁判第1回口頭弁論報告

秋山 健司2013年9月17日
弁護士 秋山 健司

近畿など17都府県の1107人が国と関西電力を相手に福井県の大飯原子力発電所(1~4号機)の稼働差止を求めて2012年11月29日京都地裁に提訴しました(当事務所からは飯田、浅野、岩橋、奥村、大河原、大島、秋山、渡辺(輝)、谷、尾崎の各弁護士が弁護団員として参加しています。)。この裁判の第1回口頭弁論が、7月2日、京都地裁(第6民事部大島眞一裁判長)101号法廷で開かれました。廷内には原告と弁護団52人、被告代理人19人。満席の傍聴者80人、報道関係者が見守るなか、午後2時から4時まで、原告や原告代理人弁護士が次々立って、「地震大国」に設置された原発の危険性を指摘、福島第一原子力発電所の事故原因も究明されず収束のめども立っていない、家族、コミュニティが破壊されたまま、大飯原発を再稼働させ、住民を危険に陥れている、国や関西電力の責任を追及、稼働の差止を強く訴えました。

地震国に原発は無理

最初に証言席で陳述した竹本修三原告団長(固体地球物理学、京都大学名誉教授)は、パワーポイントの日本地図にほぼ帯状につらなる地震発生地点を示しながら、太平洋プレートとフィリピンプレートがせめぎ合う上にあるのが日本列島、南海トラフ地震は若狭周辺への影響もある、この地震国日本に原発は無理、と指摘しました。

水素爆発にことば失う外国テレビ

当事務所の渡辺輝人弁護士(弁護団事務局長)は、地震は予知できず、日本では、いつどこで巨大地震が発生してもおかしくない、というのが科学的知見、として、電力会社が宣伝してきた安全神話を批判。裁判所も安全神話にお墨付きを与えてくみしてきた、と述べ、こうしたなかで福島第一原発の事故が発生したと、パワーポイントで第一号機、第三号機の水素爆発の動画を示しました。第一号機は「水蒸気を抜いたもの」という東電や学者の音声、第三号機の爆発にことばを失う海外テレビ局のアナウンサーの姿も写しました。

過酷な事故直後の避難

弁護団は引き続き、事故直後の避難状況について陳述しました。海洋、陸上に放射能汚染がひろがる動画、ヨウ化カリウムを飲む写真、被曝検査を受ける写真も示して、情報も届かず、避難の移動は適切にはなされず、3月末までに重病患者など60人が死亡したこと、自衛隊搬送中にも21人が搬送中かその直後に亡くなっていると指摘しました。

圏内は遺体も野ざらし

続いて弁護団は、2011年8月29日時点で避難者は14万6520人にのぼり、これはチェルノブイリ原発の1年以内の避難者に匹敵すると述べ、無人となった双葉町の映像、防護服姿で捜索をする警察官の写真も示し、津波によって死亡した遺体が発見されても放射能に汚染されているため放置されたままになっている、火葬、埋葬すらしてもらえない、と悲惨な有様を訴え、弁論の前半を締めくくりました。

京都に避難してきた原告として

つづいて福島県南相馬市から避難してきた原告の福島敦子さん、福島市から避難してきたAさんが被災と避難の実態をそれぞれ次のように陳述(要旨)しました。

「放射線量の高い福島市に避難したり、戻ろうとしたら警察署員がバリケードを設置していて行けず、避難所で遊べない子どもや周囲への気遣い、テレビで見た水素爆発に死を覚悟した人もいた。娘2人を連れ、ごみ袋3つに衣服と貴重品を詰めて三度目の避難先、京都へやってきた。貴重品以上に大事なものが『スクーリニング済証』で、これなしでは病院へも入れず、避難所移動もできない。外部被曝だけでなく内部被曝の危険もありこの状況はわからない。娘は名前が福島なので『フクシマゲンパツ』とあだ名をつけられたこともあったが、気遣ってくださる先生方、たくさんの気の合う友達に恵まれ、持ち前の明るさで乗り切った。バラバラになった南相馬の友達にはテレビのニュースで姿を見つけて元気をもらっているようだった。あれから800日、福島第一原発の事故は収束せず放射能は放出しつづけ、事故原因の解明もされず、誰ひとり責任もとらず被災者は生活に疲弊し、家族の崩壊と向かい合っていかなければならなくなった。避難指示が解除されても帰れない。孤独死、自殺も耳にする。そんな折の大飯原発の再稼働に優遇される根拠は見当たらない。日本国民の懸念の声を無視した人権侵害であり、日本最大級の公害だ。この民意に司法はどれほどの人が苦しめば真剣に向き合ってくれるのか。子どもたちを守ることに必死な、懸命な母親たちをどうか救ってください。子どもたちに少しでも明るい未来をどうか託してあげてください。大飯原発の再稼働は、現在の日本では必要ないと断罪してください。」

さらに、福島市から避難してきた原告のAさんは、事故により人生が大きく変わってしまったと次のように述べました。

「子どもたちは福島の自然豊かな春の息吹を感じながら爽快に自転車をこいで登下校することが叶わなくなった。放射能汚染で制限された生活よりも、自由に外で活動しのびのびと普通の生活を送る環境に移る方が幸せではないかと考え、家族で何度も相談して避難を決意した。子ども2人と京都へきた。だが、子どもたちは新しい環境に適応できないでいる。父親と離れ、気心の知れた幼いころからの友達と離れ、子どもの喪失感、疎外感は大きい。なにも楽しいことがなくなったという。ひんぱんに家族に怒りを爆発させる。残った夫は家事と親の介護、雑事に追われ、息子とのコミュニケーションは成り立たない。子どもたちは福島へ戻る気力もやり直す気力もなくしてしまった。もう戻れない。避難が裏目に出てしまった。どうするのが最善なのか毎日自問自答している。もし、こちらでも大飯原発で事故が起これば、子どもに二重被曝をさせてしまう。放射能汚染によって失われるのは形あるものだけではない。心を病み人間関係が崩れる。多くの人の人生がくるってしまう原発は必要ない。大飯原発の運転は一刻も早く止めてください。」

変わらぬ安全神話で再稼働

福島原発事故を経験した原告本人の陳述を受け、当事務所の大島麻子弁護士が、それでも相も変わらず安全神話の亡霊に取り憑かれた勢力によって再稼働が決定されたという事実を告発しました。「国会の事故調査委員会の報告は公表もされず、国がホームページで公表した暫定基準はA4判用紙でわずか12ページ、たった三つの安全基準が加わっただけ、これを徹底的な事故検証から得られた知見の集大成と自画自賛して国は大飯原発3号機、4号機の再起動を決定した。国も電力会社の安全神話のなかにどっぷりつかっていて事故を直視できないでいる。」と厳しく指摘しました。

裁判所は『力ある正義を』

この期日では、玄海原発差止訴訟弁護団の共同代表でもある板井勝弁護士も応援の弁論を展開されました。「九州では、佐賀の玄海原発の差止を求めて6097人、鹿児島の川内原発差止は2000人の原告が裁判を起こしている。福島第一原発の事故の被害は半永久的、壊滅的。同じような事故を繰り返してはならない。もう一度起これば日本は壊滅する。この国にはジェット気流は西から東に流れていて、福島はその終点、九州は始発点、放射能汚染は全土に飛散する。原発は国の政策で推進されている。原発を廃炉にするため国も被告とした。国に『安全基準』はなく、あるのは『操業基準』。水俣病、カネミ・ライスオイル事件も国の『基準』はクリアしたが被害は発生した。福島もそうだ。原発事故をおこすのは、地震だけではない。人為ミス、隕石落下、航空機墜落、テロ(ミサイルによるテロも)も考えられる。原発がつくられたのは戦後、70年もたっていない。その間に、スリーマイル島、チェルノブイリ、福島と人類は3回も大事故を体験した。裁判所は、二度と原発事故を起こさない歴史的判決を下し、『力ある正義』をつくりだしてほしい」と締めくくりました。

人類の存在をおびやかす事故直視を

最後に、本件訴訟の弁護団長を務める、元裁判官の出口治男弁護士が裁判所の立脚点について次のように訴えました。「従来裁判所は、自動車、飛行機、などの交通、医薬品など科学技術を利用した機械、装置の事故について絶対安全というものではなく、常に危険をともなっていて、その危険性が社会通念上容認できる水準以下で、危険性が相当程度人間によって管理できる場合に、危険性と科学技術によって得られる利益とを比較する、という考え方で、原子炉の安全性もみてきた。しかし、福島の事故は、原発の危険性が人間によって管理できないことを白日にさらし、この見方が誤っていたことを明らかにした。福島の事故原因も解明せず、多くの人々の苦難を放置して、関電、国は次なる原発事故の可能性を生じさせようとしている。人を人とも思わない構造がここにあらわれている。福島第一原発の事故が示した事実は、自動車事故や航空機事故などとは全く違う異次元の、人類の存在を根底からおびやかすものであることを直視し、司法の役割を誠実に、そして勇気をもってはたしていただきたい。」

法廷内を圧倒した弁論。とりわけ、福島さんやAさんの陳述にはすすり泣きの声も。拍手も沸き起こりました。裁判官も顔を紅潮させて聞き入り、被告席(国、関電側)にも目を潤ませる姿がありました。

次回第2回口頭弁論は、12月3日(火)午後2時からです!是非沢山の原告の皆さんのご参加をお願い致します!傍聴を希望される方も是非お越し下さい!(詳しくは当事務所担当事務の小針までお尋ね下さい。)

パレードで市民アピールも

この裁判に先立ち、午前11時からは70人の参加で脱原発を訴えるパレ―ドが裁判所周辺で行われました(下の写真をご覧ください)。

脱原発を訴えるパレ―ド

12時15分からの京都御苑富小路グランドでの傍聴券の抽選には、110人が集まり、抽選に外れた人などを集めた京都弁護士会館の解説用の「模擬法廷」には、94人が参加して弁論の内容を見守りました。

また、裁判終了後の弁護士会館での報告集会でも裁判内容の報告や解説、陳述した福島さんやAさんの感想、質問なども出され活発な意見交換をしました。

なお、訴訟は第二次提訴を準備していて、弁護団は原告参加を募集(申し込み料5,000円)しています。当事務所でも大募集中です!まだ原告になっておられない方は是非この機会にお申し込み下さい!

原発が廃炉になるその時まで、共に闘い続けましょう!!

大飯原発差止訴訟参加申込書