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憲法9条の行方

憲法9条の行方

藤澤 眞美弁護士 藤澤 眞美

昨年11月の総選挙後、憲法の「改正」へ向けた動きが加速しています。小泉首相は、2005年までに憲法改正案を出すと言い、民主党もすでに「創憲」の作業に入り、公明党も時期を見て「改正」案を発表すると表明しています。これらの改憲への動きの最大の目的は一体何でしょうか。

「いまの日本国憲法を見ておりますと、あまりにも個人が優先しすぎて、公ということがないがしろになってきている。個人優先、家族を無視する、そして、地域社会、国家というものを考えない日本人になってきていることを非常に憂えている。・・・私は徴兵制というところまでは申し上げないが、少なくとも、国防の義務とか奉仕活動の義務を若い人達に義務づけられるような国にしていかなければならない。」今年3月に開催された自民党憲法調査会プロジェクトチームの会合における議論の一部です。この日のテーマは、「国民の権利及び義務について」でしたが、「基本的人権の尊重」をうたう現行憲法を評価し発展させる方向の発言はまったくなく、「戦争をする国」「権利より義務が重視される国」ばかりが強調されました。

改憲の動きが、「平和に生きる権利」をうたった憲法前文と、「戦争はしない」「軍備はもたない」と決めた第9条を標的にしていることは明白です。

一方、多くの国民の中に、何としても9条を「改定」して自衛隊の海外派兵や日米共同作戦を合憲化しようという強い要求はありません。だからこそ、今日の改憲論は、(1)環境権やプライバシー権、首相公選制、国会一院制、憲法裁判所などさまざまなテーマを付け加え、(2)「古くなった」「押しつけられた」というイメージキャンペーンを先行させ、(3)自衛隊の海外派兵や有事法体制の強行など憲法違反の既成事実を作り出すことで「改憲も仕方ない」雰囲気を作り出そうとしているのだと思います。

しかし、「改憲も仕方ない」の先にあるものは何でしょうか。戦争の最大のブレーキ、憲法9条を失うならば、日本はアメリカとともに「戦争をする国」へともっと加速するでしょう。さらに、その先には、徴兵制も出てくるでしょう。

戦争の放棄と戦力の不保持を定めた憲法9条を手放してはならないと思います。それを堅持することで、「戦争をする国」への流れをくい止め、アジアと国際社会における平和構築に積極的な役割を果たしていくべきです。憲法「改正」を阻止することで、そうした壮大で誇り高い道への第一歩を踏み出していきましょう。

憲法記念春のつどい