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自民党新憲法草案を読む

自民党新憲法草案を読む

村井 豊明弁護士 村井 豊明

自民党は、2005年10月28日に新憲法草案を発表したが、その内容と狙いを読むキーワードを3つ紹介する。

「立憲主義」の崩壊

立憲主義は、平たく言えば「国家がしてはならぬこと」を定めた権力制限ルールを定めることをいう(樋口陽一東大名誉教授)。憲法は、この立憲主義の基本を定めた国家の最高法規である。もっと平たく言えば、憲法は、国民と世界に対し「国家がしてはならぬこと」を定めた基本的な約束事と言える。

ところが、自民党の新憲法草案は、この立憲主義を崩壊させ(「国家がしてはならぬこと」を定めた権力制限ルールを緩め)、逆に、「国民がしてはならぬこと」を定めようとしている。

9条2項の削除

日本国憲法9条2項は、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と定めている。自民党の憲法改正の基本的な狙いは、この9条2項を削除することにある。日本政府は、自衛隊を創設し、増強し、海外へ派兵してきたが、それでも「専守防衛」であると説明し、自衛隊が海外で直接の武力行使をすることができないでいた。9条2項は、自衛隊が海外武力行使をできないようにするための歯止めとなっている。

ところが、自民党の新憲法草案は、この歯止めを取っ払い、自衛隊が海外で武力行使できるようにしている。これまでの政府の説明によれば、自衛隊を憲法で認知するだけなら、わざわざ9条2項を削除する必要がない。自民党が何が何でも9条2項を削除しようとする狙いは、自衛隊が海外で武力行使できるようにすることに他ならない。

アメリカと日本財界の要求

自民党は、なぜ、誰のために憲法9条2項を削除しようとしているのか。その答えは2つ。1つは、アメリカの強い要求であり、もう1つは、日本の財界の強い要求である。

アメリカは、「防衛のための先制攻撃」と称してイラクに対し武力攻撃(戦争)を行い、現在も占領下に置いているが、日本の自衛隊にもアメリカ軍と一体となってこのような武力行使(戦争)に直接参加させることを求めている。現在、自衛隊はイラクへ派兵されているが、武力行使はできず、他国の軍隊に守られている。これを異常な状態だとして「普通の国」になるように、すなわちアメリカ軍と一体となって世界各地で武力行使ができるようにせよ、というのがアメリカの強い要求である。

また、日本の大企業は、安い労働力を求めて、また、安い原材料を求めて、世界各地へ進出している。日本の財界は、海外の日本企業の施設や人材、権益を守るためには、自衛隊が日本企業と同じように海外に出かけていって、武力行使してでも日本の企業を守ってもらいたいと要求している。

自民党は、このアメリカと日本財界の要求に応えて、憲法9条2項を削除しようとしているのである。