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ドイツ・スイス調査旅行の巻

ドイツ・スイス調査旅行の巻

大島 麻子
弁護士 大島 麻子

今年の春まで約1年間、英国にて生活していました。ネットが発達したとはいえ、「極東」と呼ばれる日本とヨーロッパは、やはり遠い。帰国の際には、次にヨーロッパに来るのはいつになるのか、とちょっと感傷的になりました。が、意外にもそのときは早くやってきました。この8月下旬、私が所属する自由法曹団という弁護士団体の京都支部が、創立50周年を迎える記念に、ドイツ・スイスへの調査旅行を企画したのです。私の半端な英語力でも役に立つかも、と理由をこじつけ、参加を決めました。

参加者は、20代から60代まで、「海外旅行は初めて」から「ジュネーブは3回目、いや4回目かな?」という強者までの多様さ。ドイツでは脱原発の実情調査、ジュネーブではILOへの訪問が主目的ですが、調査以外の時間は観光にあてることも可能です。こういう場合の常で、オンとオフのバランスがどちらに振れるかは、責任者及び声の大きい参加者次第。今回は、それぞれ思惑はあったようですが、最終的には、「ノートパソコンを必ず持参せよ。その場で各自メモを作成し、夜メールで回覧・共有化せよ。」という企画責任者の指令により、オンに重点決定となりました。

さて、ここまで読まれて、なぜ弁護士が海外調査?と思われるかもしれません。弁護士は裁判をする人、と考えるのが普通でしょうし、それはその通りです。が、個別の事件活動にとどまらず、冒頭で書いた自由法曹団のような団体に参加して、広く人権に関する社会的な活動を行うこともあります。海外調査も、こうした社会的な活動のひとつです。

実は、訪問先でも、様々な活動を行う弁護士に会いました。まず、ドイツで訪れた環境団体では、気候変動防止・エネルギー転換の担当部長は、弁護士が担っていました。連邦議会に議員を要する緑の党では、弁護士が議員のアドバイザーになっていました。なお、当方も弁護士ということで、ヒアリングでは業界的な裏話も飛び出すおまけつき。

ILOでは、同組織で働く日本人女性にお世話になったのですが、なんと彼女は私と同期の弁護士でした。日本で弁護士をした後、専門的な国際法の知識を学び直し、ILO職員になったとのこと。自分も若くして弁護士になっていれば、いろいろな可能性があったのかもしれないなあ、と一瞬遠い目になりました。可能性の実現には、相応の努力と実力が必要という点に思い至って、我に返りましたが。

ところで、海外ではついハメを外しがちですが、早朝にジョギングするとか、毎日一万歩以上歩くとか、毎晩大酒を飲むとか、普段の習慣を堅持しておられる方もいました。私はといえば、日本のビールは苦手なくせに、ドイツの生ビールを楽しみにしていました。前半はそれなりに自制していました。が、調査が一段落した後半は、「旅で暴飲暴食は慎むべし」という、経験を積まなければ得られない教訓も忘れ、これまで生きてきた中で最大といえる量のビールを摂取したように思います。記憶はちょっと定かではありません。もっとも、「これで通算●リットル!」と、日々大記録を更新していた酒豪には及びませんが。

一度も雨に降られることなく、大きな事故もなく、最終日には、お日様に燦然と輝くモンブランを拝むことのできたラッキーな旅でした。が、最後の最後にハプニングが。帰りの飛行機で、一行全員、預けた荷物を乗り継ぎの空港に置き去りにされたのです。もちろん、翌日には航空会社が自宅に届けてくれるのですが、それぞれ、「家族への豪華土産」とか「パソコンの電源」とか「換えの下着全部」とか、微妙に困るものが入っていました。私は「ヤギのチーズ」。ヤギのチーズは、独特の匂いがします。熟成したものは、うっかり手で触ると、しばらく手がヤギになったかと思うくらい強烈だったりしますが、非常に美味です。日本では手に入りにくいので、最終日に約300グラムの塊を購入し、スーツケースにVIP並の大切さで納めてあったのです。明日帰国するなら大丈夫と言われていましたが、到着の遅れでどうなることやら。スーツケースごとヤギになるのを覚悟しました。

翌夕荷物は無事届き、丸一日の陰干しでヤギを退治し、「帰国後1週間で報告書を仕上げよ。」という最後の指令も何とか遂行し、ほっと一息。次のヨーロッパ行きは、今度こそ遠い未来でしょう。

「ねっとわーく京都」2013年11月号