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三度国の責任を断罪 ~泉南アスベスト国家賠償訴訟・二陣高裁判決

三度国の責任を断罪 ~泉南アスベスト国家賠償訴訟・二陣高裁判決~

谷 文彰2013年12月26日
弁護士 谷 文彰

はじめに

京都アスベスト被害救済事件の早期全面解決をめざし、全国の同種事件にも連帯支援の活動を行っています。その一環として泉南アスベスト訴訟の判決行動に参加してきました。

1 高裁レベルで国の責任を認める初判断

当事務所も全面的に支援する大阪泉南アスベスト国家賠償請求・二陣訴訟において、大阪高等裁判所第13民事部は、2013年12月25日、アスベスト被害について国の責任を認め、国に対して総額3億5000万円近くの損害賠償を認める判決を言い渡しました。

石綿被害についての国の賠償責任を高裁レベルで認める判決は、全国でも初めてです。

2 アスベスト被害の原点、大阪泉南地域

大阪泉南地域には、戦前から石綿原料から糸や布を作る石綿紡織工場が多数立地しており、戦前の軍需から戦後の高度経済成長に至るまで、我が国の産業をまさに下支えしてきました。しかしその陰では、石綿紡織工場で働く労働者や周辺住民、その家族らが大量の石綿粉塵に曝露し続け、地域ぐるみの深刻なアスベスト被害が発生してきました。国は、被害の重大性を認識していながら、対応することが可能であったにもかかわらず、あえて何ら対策を取ることなく放置し、被害を拡大させてきました。国が国民の生命・身体・健康をないがしろにし続けてきた大阪泉南地域は、我が国のアスベスト被害の原点であり、国の加害の原点なのです。

その国の責任を問うべく、2006年には国家賠償請求・第一陣訴訟が、2009年には二陣訴訟が、それぞれ提起され、闘われてきました。その中で今回の判決は、一陣地裁判決、二陣地裁判決に続いて三度国の責任を認めたものであり、高裁レベルでは全国で初めて、石綿被害についての国の責任を正面から認める判決となりました。

3 アスベスト被害を正面から見据えた高裁判決

高裁判決は、これまでの判決と同様に局所排気装置の設置や濃度管理について国の責任を断罪しつつ、新たに防塵マスクの義務付けや石綿関連疾患に関する特別安全教育の義務付けなどについても厳しく国の責任を認定しました。さらには損害賠償額についてもこれまでの判決よりも増額し、喫煙による減額を否定した上、「国の責任は被害者に対する直接の責任である」として、被害額に対する国の責任の割合を、これまでの趨勢であった「3分の1」から「2分の1」へと高める判断をも行いました。

高裁判決はアスベスト被害に関するこれまでの判決を各方面で大きく前進させる画期的なもので、大きな意義を有しています。このような結論に至ったのは、裁判所がアスベスト被害を正面から見据え、真摯に向き合ったからにほかなりません。裁判所を動かした弁護団、支援者の方々、何よりも原告の方々には、心からの敬意を表するものです。

4 アスベスト被害の早期救済・根絶を

しかし、国が責任を認めようとせず、いたずらに長期化してきた裁判の間、6割近くの被害者がこの世を去るという悲痛な結果となっています。「命あるうちに解決を」は切々たる全員の願いであり、一日でも早く完全なる救済を実現させなければなりません。

また、アスベスト被害の本丸と呼ばれる建設労働者のアスベスト被害についての裁判も各地で継続しています。今回の判決行動には、京都から原告団長を始め大勢の原告・弁護士・支援者が駆けつけました。「あやまれ、つぐなえ、なくせアスベスト被害」を合言葉に、アスベスト被害を根絶するため当事務所はこれからも各所と連携して全力で取り組んでまいりたいと思います。

高裁判決を受け、笑顔で「勝訴」・「三度国を断罪」の旗を掲げる原告ら代理人
高裁判決を受け、笑顔で「勝訴」・「三度国を断罪」の旗を掲げる原告ら代理人