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「特定秘密保護法」を廃止させよう!!

「特定秘密保護法」を廃止させよう!!

弁護士 大河原 壽貴2014年1月8日
弁護士 大河原 壽貴

2013年12月6日、多くの市民が反対の声を上げ、世論調査結果においても反対ないしは慎重審議を求める意見が多数を占めていたにもかかわらず、政府与党により「特定秘密保護法」の採決が強行され、可決成立しました。「特定秘密保護法」は公布後1年以内に施行されるとされていますが、同年12月13日にはすでに法律の公布が行われており、このまま進めば、遅くとも2014年12月には「特定秘密保護法」が現実に施行されることになります。

しかしながら、「特定秘密保護法」が日本国憲法を骨抜きにし、日本を戦争ができる国にする第一歩という危険な法律であることは国会審議やこの間のマスコミ報道から市民の目にも明らかになっています。

「特定秘密」を市民が知ろうとする行為も処罰の対象に

「特定秘密保護法」のもとで、行政機関が、ある情報について「特定秘密」であると指定すれば、その情報は私たち市民の目からは完全に隠されてしまいます。それだけではなく、「特定秘密」と指定された情報を漏らしてしまった場合はもちろんのこと、その情報を知ろうとする行為ですら「特定取得行為」として処罰の対象になる可能性があります。そして、その処罰の対象は公務員だけではありません。一般市民も処罰の対象になっており、記者の取材行為やオンブズマンなどNPOの調査行為ですら、処罰されかねないのです。しかも、その法定刑は最大で懲役10年以下、罰金1000万円以下と定められ、これまで公務員が守秘義務に違反した場合に定められていた法定刑(自衛隊法では懲役5年以下、国家公務員法では懲役1年以下)よりもずっと重い法定刑が定められています。

「特定秘密」の範囲はあいまい ~どうして処罰されるのかわからない~

「特定秘密保護法」は「特定秘密」の指定の範囲について、①防衛、②外交、③特定有害活動の防止、④テロリズムの防止としていますが、その範囲はあいまいで、政府がいかようにでも解釈できるもので、「特定秘密」の指定の範囲は国政のあらゆる場面に及ぶものと言えます。例えば、原子力発電所の設置や再稼働に関する情報、TPPの交渉事項に関する情報、オスプレイの配置や訓練に関する情報など、私たちの暮らしや営業、平和に関する事柄がすべて「特定秘密」に指定されて、私たちの目から隠されてしまいかねないのです。

そして、「特定秘密保護法」では、「特定秘密」の指定期間を5年間としていますが、何度でも更新できます。「特定秘密」の指定が30年を越えるときには内閣の承認が必要とされていますが、自分たちが指定したものを自分たちでチェックするに過ぎず、外部から「特定秘密」の指定が適切であったかどうかをチェックする仕組みは全くありません。一度「特定秘密」に指定されれば、永久に情報隠しができてしまうのです。国会での審議の中で、「特定秘密」の指定を最大60年とする修正もなされましたが、そもそも60年という期間自体があまりに長すぎるものですし、この期間制限についても7項目にわたって広く例外が認められています。また、同じく国会審議の中で盛り込まれた「第三者機関」についても、あくまで検討するとされただけであって、行政機関から独立した機関が設置されると決まったわけではありません。決して「特定秘密」の広範な指定の歯止めになるようなものではないのです。情報隠しは、処罰の場面でも徹底されます。私たち市民にとっては、どのような情報が「特定秘密」に指定されたのかは分かりませんので、たまたま、ある情報を調べようとしていたところ、その情報が「特定秘密」であったために、突然逮捕されることさえあります。しかも、刑罰を決める裁判所でも、自分が一体どのような情報を調べようとしたために刑罰を受けるのかを知らされないまま、処罰されることになりうるのです。これでは十分な弁護活動も受けられません。

たくさんの人が身元調査の対象に ~適性評価制度~

「特定秘密保護法」のもとでは「適性評価」として、公務員のみならず広く一般市民も含めて行政機関や警察が身元調査を行うことを定めています。しかも、身元調査の対象は、「特定秘密」を取り扱う本人だけではなく、家族や親族も含めて身元調査の対象になります。そして、調査される内容は、住所歴、学歴、職歴はもちろんのこと、海外への渡航歴、犯罪歴、懲戒処分歴、借金や返済の状況、薬物やアルコールの影響、精神的な問題での通院歴などにも及びます。しかも、身元調査にあたって、行政機関や警察は、対象となった公務員や市民、その家族らの情報について、関係する機関(行政機関、病院、銀行、職場など)に対する調査も可能になってしまうのです。まさに、個人のプライバシーが丸裸にされてしまいます。

「特定秘密保護法」では、あくまで同意を得て「適性評価」を実施するとしていますが、実際には同意を強制されることは明らかです。例えば、原子力発電所に関する情報が「特定秘密」に指定されれば、原発で働く派遣労働者や原発に出入りする業者は「適性評価」の対象になります。ここで「適性評価」に同意しなかったらどうなるでしょう。派遣労働者には派遣切り、出入り業者には取引の中止が待っています。労働者や出入り業者、その家族・親族は「適性評価」に同意せざるを得ないでしょう。そしてこれは原発だけの話ではありません。「特定秘密」の対象は国政のあらゆる場面に及びます。

このようにして、市民のプライバシーを侵害するのが「特定秘密保護法」です。

「特定秘密保護法」は戦争できる国づくりの第一歩。廃止の声を!

「特定秘密保護法」は、市民の目から重要な情報を隠し、マスコミからは取材の自由を奪い、一方で、行政機関や警察が広範な市民のプライバシー情報を取得するという、日本国憲法を骨抜きにする非常に危険な法案です。

そして、この「特定秘密保護法」は、現在、自衛隊とアメリカ軍との共同行動が進められ、集団的自衛権を認めようとする動きがある中で、アメリカと情報を共有するために、アメリカからの圧力でつくられてきた法律です。まさに、アメリカと一体となって世界中で戦争を行うことができる国づくりの第一歩です。いったん成立してしまいましたが、実際に施行されるまではまだ期間があります。世論を盛り上げて、改めて「特定秘密保護法」を廃止させなければなりません。ぜひ「特定秘密保護法」廃止の声をあげて下さい。