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便利?危険?「マイナンバー制度」とは

便利?危険?「マイナンバー制度」とは

2015年11月17日
弁護士 尾﨑 彰俊

1.はじめに

最近、「マイナンバー」という言葉をよく耳にするようになりましたが、マイナンバー制度についてどのような制度なのか不安を感じる方も少なからずおられると思います。
 マイナンバー制度は、「社会保障・税制度の効率性・透明性の確保」と「国民にとって利便性の高い公平・公正な社会の実現」を目的としており、マイナンバー制度が導入されれば、社会保障や税の分野で便利になると政府は説明しています。
 しかし、実際は、国民の生活が便利になるどころか、国民の重要な個人情報を国家が管理するというプライバシー権侵害の危険性があるとともに、事業者の方は様々な負担を課されることになります。
 以下では、マイナンバー制度がどのような制度か、どのような問題点があるのかについて記載します。

2.マイナンバー制度はどんなもの?

(1)マイナンバー制度

日本に住民票を有する全ての個人に12桁の「個人番号」が付与されます。法人には13桁の番号が付与されます。
 「個人番号」は一人一人異なる番号で、原則として番号の変更をすることはできません。また、「個人番号」が付与されることを拒否することはできません。

(2)通知カードが届いた際に気をつけること。

2015年10月以降、日本に住民票を有するすべての人に、マイナンバーが記載された「通知カード」が、自治体から簡易書留で送付されます。この「通知カード」に記載された12桁の「個人番号」は、法律で定められた場合にしか他人に教えることはできません(番号法19条)。また、他人に知られると悪用される場合もありますので、法律で定められた場合以外には、他人に教えないようにしてください。
 例えば、「役所の職員です。あなたの番号が間違っていないか確認したいので教えてください」という電話がご自宅にかかってきた場合には、絶対に教えないようにしてください。
 「通知カード」は紛失した場合、再発行手続が複雑なため、絶対になくさないよう大切に保管してください。
 「通知カード」と一緒に、「個人番号カード」の申込書が届くことが予定されています。「個人番号カード」は、自治体の窓口へ申し込みをすることで取得できる顔写真つきのICカードです。「個人番号カード」は「通知カード」とは異なり、身分証としての役割を持ちますが、必要なければ、申し込みをする必要はありません。

(3)「個人番号」はどんな時に使うの?

事業所が源泉徴収票を税務署に提出する場合や、個人事業主の方が確定申告書を税務署に提出する場合に「個人番号」を記載する必要があります(国税通則法124条)。
 例えば、「役所の職員です。あなたの番号が間違っていないか確認したいので教えてください」という電話がご自宅にかかってきた場合には、絶対に教えないようにしてください。
 「このため、職場から「個人番号」を聞かれることになりますが、教えなければならない法律上の義務はありません。マイナンバーが重要な個人情報である、若しくは、マイナンバー制度に反対である等の理由により、マイナンバーを教えないという従業員の方もおられることが予想されますが、このような場合、事業所では混乱が予想されます。
 この点について、国税分野におけるFAQにおいては、「記載対象者が個人番号を持たない場合は個人番号を記載することができないので、法定調書等に個人番号の記載がないことをもって、税務署が書類を受理しないということはない」と記載されているだけで、個人番号を持つ個人から取得できない場合については、明言を避けています。このことからも、国も自治体もどのようにマイナンバー制度を運用するのか具体的な準備が進んでいないのが実情であることが良くわかります。
 事業者は、取得した個人番号について、厳重な秘密保持義務を負い(番号法25条)、違反した場合には、重い罰則があります(番号法69条)。

3.マイナンバーの真の狙いは・・・

このように、マイナンバー制度は、事業者に重い負担を課すものであって、便利になることは一つもありません。
 むしろ、マイナンバー制度が導入されているアメリカや韓国では、マイナンバーを使った「なりすまし」によるクレジットカードの作成や税金の還付金をだまし取るといった犯罪が多発しているなどの報道もあります。
 このような、国民にとって大きな不利益を課すマイナンバー制度の目的は、国家による国民監視です。
 特定個人情報(マイナンバー制度で得られた情報)の提供範囲について破壊活動防止法など、いわゆる公安活動におけるマイナンバー情報の利用が可能となっています(番号法19条12号、同法施行令26条、同施行令別表)。このことは、警察や税務署等の国家権力が、常にマイナンバー制度によって得られた情報にアクセスし国民を監視することができることを意味しています。
 2015年9月3日、番号法の一部が改悪されました。この改悪により、2018年1月以降は、マイナンバーが預金口座にも適用されることになります。今のところは、任意ですが、いずれは、強制的にすべての預金口座に適用され、国民の財産まで国家が把握するという制度になる危険性もあります。
 本来、私たちは、他人に知られたくない情報を秘匿する権利である「プライバシー権」を日本国憲法により保障されています。マイナンバー制度は、国家権力による個人情報の強制的な取得であり、個人情報の流出と拡散、個人情報の不法利用をもたらすものです。このような危険な制度は早期に中止されなければなりません。