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過去にアスベスト工場で働いたことのある方はご相談を

昭和33年から昭和46年までの間にアスベスト工場で働いたことのある方へ~被害救済のために当事務所までご相談ください~

2015年3月31日
弁護士 谷 文彰

1 アスベスト被害と救済制度

日本で大量に使用されてきたアスベストは「静かな時限爆弾」といわれ、曝露から数十年を経て、石綿肺や肺がん、中皮腫などの極めて深刻な病気を発生させます。このようなアスベスト被害については労働災害として補償を受けることができるほか、雇用主に対して安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求をすることなども考えられます。

そして今回、アスベスト工場(原料としてのアスベストを加工する紡織工場など)の元労働者やその遺族の方々について、一定の条件を充たした場合に国から賠償金を受け取ることができる制度が創設されたので、ご紹介します。大阪の泉南地域などに存在したアスベスト工場で働いたご経験のある方やそのご遺族の方々は、一度当事務所にご相談いただければと思います。


【参考】 石綿(アスベスト)工場の元労働者やその遺族の方々に対する和解手続による賠償金のお支払いについて(PDF)

2 賠償金を受けることができる要件

賠償金を受けるためには、国に対して訴訟を提起し、一定の要件を充たすことを確認した上で、訴訟の中で和解手続きを経る必要があります。

(1) 和解の要件は、次のとおりです。

① 1958(昭和33)年5月26日から1971(昭和46)年4月28日までの間に、局所排気装置を設置すべきアスベスト工場において、石綿粉じんにばく露する作業に従事したこと
  * すでに労災からの給付などを受けている場合であっても、対象となります。

② その結果、アスベストによる健康被害(石綿肺、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚など)を被ったこと

③ 提訴の時期が損害賠償請求権の行使期間内であること

(2) 賠償金の額は、次のとおりです。

① じん肺管理区分の管理2で合併症のない場合  550万円
  (じん肺管理区分についての説明は、末尾に記載しています)

② 管理2で合併症がある場合              700万円

③ 管理3で合併症がない場合              800万円

④ 管理3で合併症がある場合              950万円

⑤ 管理4、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚の場合  1150万円

⑥ 石綿肺(管理2・3で合併症なし)による死亡の場合 1200万円

⑦ 石綿肺(管理2・3で合併症あり、または管理4)、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚による死亡の場合 1300万円

3 おわりに

アスベストによる健康被害は見過ごされやすく、本当は石綿肺なのに単なる「じん肺」と診断されてしまったり、肺がんになっても「タバコのせい」とされてしまうこともあります。詳しい検査でアスベストが原因と判明した方もおられますので、アスベスト工場で働いたことのある方やそのご遺族の方々は、病名が違うからとあきらめるのではなく、まずご相談ください。

* じん肺管理区分とは、じん肺法の定める健康診断によってじん肺の症状などを分類したもので、管理1から管理4まで5つの段階に分かれています。数字が大きくなるほどじん肺の症状が進行しているということを意味し、管理区分2以上などの場合は健康管理手帳の交付を受け、じん肺健康診断を無償で受けることができます。

じん肺管理区分じん肺健康診断の結果
管理1じん肺の所見がないと認められるもの
管理2エックス線写真の像が第1型で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの
管理3エックス線写真の像が第2型で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの
エックス線写真の像が第3型又は第4型(大陰影の大きさが一側の肺野の、3分の1以下のものに限る。) で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの
管理41 エックス線写真の像が第4型(大陰影の大きさが一側の肺野の3分の1を超えるものに限る。)と認められるもの
2 エックス線写真の像が第1型、第2型、第3型又は第4型(大陰影の大きさが一側の肺野の3分の1以下のものに限る。) で、じん肺による著しい肺機能の障害があると認められるもの