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賃貸住宅の更新料特約~無効として返還を命ずる二つめの高裁判決

賃貸住宅の更新料特約
~無効として返還を命ずる二つめの高裁判決出る!~

荒川 英幸弁護士 荒川 英幸

更新料-何が問題か

更新料特約は、1年や2年と定められた賃貸借期間が満了する時に、更新にあたって借主が貸主に支払うように定められた金銭です。これは、京都、滋賀、首都圏などの限られた地域に存在する制度といわれています。

更新料特約があると、あたかも更新するかどうかは家主の自由で、更新してもらうために更新料が必要であるかのように思ってしまいますが、実際には、そうではありません。アパートやマンションなどの借家の場合、借地借家法26条により、期間満了の1年前から6か月前までの間に、家主が借主に対して更新拒絶の通知をしなければ、前の契約と同一の条件(但し、期間の定めはなくなります)で契約更新したものと扱われ(法定更新)、しかも、同法28条で、家主は、正当な事由がなければ更新拒絶できないからです。

このように、借家人の居住権は法律で厚く保護され、法定更新にあたっては1円も支払う必要はありません。他方、家主が更新を拒絶することは極めて困難です。それなのに、契約書に書いてあるというだけで、家主に高い更新料を払わねばならないのでしょうか。

消費者契約法10条

法律が適用される場合と比較して、消費者の権利を制限したり、消費者の義務を重くする契約条項で、信義誠実の原則に反し、消費者の利益を一方的に害するものは無効と定められています。

消費者契約法は、2001年(平成13年)4月1日から施行されましたが、それ以前から存在する借家契約でも、更新を繰り返してきたものについては、上記の施行日以降に支払った更新料については、消費者契約法が適用されます(但し、店舗のテナント契約などの場合は、消費者ではないので、同法の適用はありません)。

消費者契約法違反を理由とする裁判と無効を認めた2つの高裁判決

以上の理由から、京都敷金・保証金弁護団を中心に、更新料特約は消費者契約法違反で無効であるとして、過去に支払った更新料の返還を求める訴訟が次々と提起されました。

そして、昨年8月27日、大阪高裁において、高裁レベルで初めて無効を認める判決が出たのに続き、先月24日にも2つめの判決がありました。高裁判決の理由は実に詳細なものですが、要点は(1)家主側は、更新拒絶権の放棄や借家権の強化の対価というが、家主は賃料収入を目当てにしているのだから、更新拒絶は考えにくいし、仮に拒絶しても正当事由は通常考えられない、(2)家主側は、賃料の補充というが、そうであれば、更新後の期間途中で借家人が退去した場合は、更新料の一部を返還すべきなのに、そのような規定はない、(3)家主と借家人間では、情報収集力に大きな格差がある。(4)更新料は、かなり大きな経済的負担なのに、一見安い月額賃料を示して借家人を誘引する効果があり、借地借家法で保護されていることから目をそらす役割を果たしている、というものです。

判決の積み重ねが必要

2つの高裁判決以外にも、無効を認めた京都地裁判決が4件ありますが、他方、昨年10月の大阪高裁判決は有効としました(昨年8月判決とともに最高裁に上告中)。また、無効とした2つの高裁判決は、1年契約で2か月分という重い負担の更新料だったという要素もあります。この問題は、マスコミでも大きく取り上げられ、最高裁の動向が注目されていますが、無効の流れを定着させるには、判決を積み重ねることが必要です。

2010年3月