弁護士コラム

金融ADRをご存じですか?

金融ADRをご存じですか?

金融ADR イメージとは? 消費者にとってのメリットは?

「金融ADR」、見慣れない用語ですが、裁判外で金融機関と消費者の間のトラブルを解決する「調停」のような制度で、金融商品取引法の改正に伴い、昨年(2010年)末より設置された制度です。裁判に比べ基本的に短時間・低コストであり、金融分野に見識のある中立・公正な専門家が和解案を提示し解決に努めます。金融機関(銀行・生命保険会社・損害保険会社・貸金業社など)ごとにADRが設立されています。

例えば、京都信用金庫、京都中央信用金庫など地元の金融機関との紛争については、京都弁護士会に申し立てるとこの手続きを無償で利用できます。消費者問題に詳しい弁護士があっせん人になり解決に努めます。この制度の消費者側にとっての最大のメリットは、和解案について、消費者側は受諾するか否か任意に選択出来るのに対し、金融機関側は基本的にこれを受諾しなければならいとされていることです(但し、裁判にもちこむことはできます)。消費者側は費用を負担する必要がありませんので、ご利用をおすすめします。

金融ADR制度の内容

金融ADRには次のような特長があります。

  • 金融ADRの紛争解決期間が業者寄りにならないために、行政庁が紛争解決機関を指定・監督し、その中立性・公正性が保たれるようにしています。
  • 利用者から紛争解決の申立が行われた場合には、金融機関に紛争解決手続の利用や和解案の尊重等を求め、紛争解決の実効性が確保できるようにしています。
  • 金融分野に知見を有する者が紛争解決委員として紛争解決に当たることにより、金融商品・サービスに関する専門性を確保しています。京都弁護士会では、消費者問題に精通した弁護士を委員に選任する予定です。
  • 事案の性質や当事者の事情に応じた迅速・簡便・柔軟な紛争解決が可能になります。利用者(消費者)の納得感のあるトラブル解決が目指されています。

イメージ図は次の通りです。
※金融庁ホームページ金融ADR制度について(PDFファイル)より掲載

金融ADR制度のイメージ 金融ADR制度の趣旨
2011年2月