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有期から無期への転換・不合理な労働条件の禁止

有期から無期への転換・不合理な労働条件の禁止
~労働契約法一部改正法が全て施行されました~

糸瀬 美保2013年4月10日
弁護士 糸瀬 美保

1 有期労働契約法制の施行

非正規労働者は、全労働者の3割を超えていますが、契約社員、嘱託社員、パート、アルバイト、派遣など多くの非正規労働契約に期間の定めがあることが、非正規労働者の地位を不安定なものとしています。ところが、これまで有期労働契約については、1回の契約期間の上限を3年とする規定(労基法14条)、期間途中の解雇はやむを得ない事由がなければ解雇できないという規定(労基法17条)以外には、法律の規定がありませんでした。
2012年8月10日、有期労働契約に関する労働契約法の一部を改正する法律が公布され、以下のとおり、改正法の定めた3つのルールが施行されました。

  1. 雇止め法理の法定化 – 2012年8月10日施行
  2. 無期労働契約への転換 – 2013年4月1日施行
  3. 不合理な労働条件の禁止 – 2013年4月1日施行

2 無期労働契約への転換(労働契約法18条)

同一の使用者との間で、有期労働契約が通算で5年を超えて反復更新された場合は、労働者の申込みにより、無期労働契約に転換する。

■■ポイント■■

・通算契約期間のカウントは、2013年4月1日以降に開始する有期労働契約が対象。2013年3月31日以前に開始した契約については、通算期間に含めない。

・原則、6ヶ月以上の空白期間(クーリング期間)があるときは、前の期間は通算契約期間にカウントしない。

・申込みをすると、使用者が申込を承諾したものとみなされ、申込み時の契約期間の終了後、無期労働契約に転換される。この場合の労働条件は、別段の定めがない限り、契約期間を除いて従来の労働契約と同一。

・5年を超える日が含まれる契約期間中(契約期間の初日から末日までの間)であれば、申込みは可能なので、申込みの時点で5年を超えている必要はない。

・5年を超える日が含まれる契約期間中に申し込まなくても、その契約期間終了後に契約が更新された場合には、更新後の契約期間中に申し込むことが出来る。

3 雇止め法理の法定化(労働契約法19条)

判例上確立した雇止め法理により、下記(1) (2)に該当する有期労働契約については、使用者が雇止めをすることが、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」は、雇い止めが認められず、同一の労働条件で有期労働契約が更新される

(1)有期労働契約が反復更新されたことにより、雇止めをすることが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められる場合

(2)労働者が有期労働契約の契約期間の満了時にその有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的理由が認められる場合

■■ポイント■■

・雇止めを無効とする場合には、労働者から更新の申込みを必要とするが、この申込みは、契約期間中又は契約期間の満了後遅滞なく、使用者の雇い止めに対して、「嫌だ、困る」と言うなど、反対の意思表示が使用者に伝わるもので構わない。

4 不合理な労働条件の禁止(労働契約法20条)

同一の使用者と労働契約を締結している有期労働契約者と無期労働契約者との間で、期間の定めがあることにより不合理に(一切の)労働条件を相違させることを禁止する。

■■ポイント■■

・労働条件が不合理と認められるかどうは、(1) 職務の内容(業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度)(2) 当該職務の内容及び配置の変更の範囲 (3) その他の事情を考慮する。とりわけ、通勤手当・食堂の利用・安全管理などについては、特段の理由がない限り、相違させることは合理的とは認められない。

・不合理とされた労働条件の定めは無効となるので、無期契約労働者と同じ労働条件が認められることになる。

5 さらなる権利実現のために

本改正法には、無期契約に転換される期間が5年と長いことやクーリング期間が設けられたことなど不十分な点が多くあります。また、本改正法の施行により、5年を前に雇用を打ち切ることや、「更新は4年9ヶ月まで」「期間1年、更新4回まで」といった更新制限条項を契約に入れることが考えられます。

しかしながら、法改正の趣旨は、「有期労働契約を長期にわたり反復更新してきた場合に無期労働契約に転換させることなどを法定することにより、労働者が安心して働き続けることができる社会の実現を図る」ことにあります。

有期労働契約者の雇用の安定を図る法の趣旨を潜脱する条項や雇止めは許されません。

6 有期労働契約者のみなさんへ

有期労働契約者の皆さんは、契約更新の際には更新を制限する条項が新たに追加されていないかどうか注意し、仮にそのような労働契約を締結してしまった場合には、速やかに働き続ける意思のあることを使用者に通知するとともに、更新拒否を認めさせないたたかいが重要です。

また、無期労働契約に転換される5年間の通算カウントは、2013年4月1日以降に始まる労働契約が対象になっていますので、本格的な闘いはこれから5年の間に始まることになります。ご自分の契約期間が何年目であるのかを正確に把握し、無期労働契約への転換前に契約の打ち切りを許さない取り組みをすすめましょう。

*厚労省HP「労働契約法改正のポイント」参照

2013年4月