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京都市屋外広告物条例について

京都市屋外広告物条例について ~条例の完全実施迫る~

飯田 昭2013年6月1日
弁護士 飯田 昭

1.新景観政策の施行に伴う大幅な改正・強化

京都市屋外広告物条例は、1956年からありましたが、2007年9月の新景観政策(※下記注)の施行に伴い、大幅に改正・強化されました。

ドイツなどでは営業用広告と表現の自由に関わる意見広告では、規制基準に差を設けています(ダブル・スタンダード)が、同条例が一律に規制対象としていることには問題が残ります。

また、屋外広告物は景観を形づくる重要な要素ですから、歴史都市である京都市において、これに対しきめ細かな規制・誘導を行うこと自体は必要なことですが、広告物の撤去等の費用について補助制度が不十分なことも課題です。

2007年の改正では、①規制の強化とともに、②優良な屋外広告物の誘導、③違反指導の強化が、改正の3本柱とされました。改正にあたっては、最長7年の猶予期間が認められていましたが、これも2014年8月で終了することになりますので、条例の完全実施が迫っています。

※注釈 新景観政策とは
 新景観政策とは、高度地区(高さ制限)の大幅な基準引き下げとともに、6つの条例からなります。6つの条例とは、①高さ規制の特例許可の手続きを定める条例、②市街地景観整備条例の改正、③風致地区条例の改正による風致地区の拡大、強化、④自然風景保全条例の改正、⑤眺望景観創生条例の創設による眺望景観や借景の保全。⑥屋外広告物規制条例の改正です。

2.屋外広告物とは

屋外広告物とは、①常時又は一定の期間継続して、②屋外で、③公衆に表示されるものをいいます。

具体的には、看板や広告塔、ポスターだけでなく、建物の壁面に直接表示するものも含みます。表示内容には、文字、商標、シンボルマーク、写真など一定のイメージを与えるものや、商業広告以外の営利を目的としないものも含みます。

3.規制される区域は

京都市では、市内全域が屋外広告物禁止区域又は屋外広告物規制区域になっており、規制区域で屋外広告物(但し、自家用屋外広告物で敷地内の総面積が2m2以内のものを除く)を表示するには、市長の許可が必要となります。

京都市内は21種類の屋外広告物規制区域に分かれており、規制区域によって広告物の面積や高さ、色(マンセル値で色相、明度彩度を規定)などの各規制の基準が異なります。

あなたの居住(営業)地域がどの地域にあたり、どのような規制を受けるかについては、京都市都市計画局のリーフレット「屋外広告物の制度」や担当部署(京都市都市計画局屋外広告物適正化推進室/電話075-708-7690)、京都市ホームページhttp://www5.city.kyoto.jp/tokeimap/において規制地域を検索できます。

◆高さ基準の例◆
袖看板や壁面平付け看板などの屋外広告物が表示できる高さは、それぞれの地域に応じて定めた基準と表示する建物等の高さの2/3以下のどちらか低い方。

※下記画像をクリックすると大きな画像がご覧いただけます。
図表出典/京都市都市計画局のリーフレット「屋外広告物の制度」から
図表出典/京都市都市計画局のリーフレット「屋外広告物の制度」から

4.屋外広告物の種類と規制内容の概要

規制を受ける屋外広告物の種類と規制の内容について、下記図を使って一部ですがご紹介します。

※下記画像をクリックすると大きな画像がご覧いただけます。
全ての屋外広告物について、広告物の面積(大きさ)の制限、色彩の規制があります。(※地域により基準が異なります)。
全ての屋外広告物について、広告物の面積(大きさ)の制限、色彩の規制があります。
(※地域により基準が異なります)。

図出典/京都市役所ホームページ/「屋外広告物制度の解説」から
http://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/page/0000056450.html

5.撤去費用も補助金の対象にすべき~条例改正の必要性

京都市は、良好な都市景観の形成に寄与する屋外広告物を誘導することを目的として、優良な屋外広告物の設置や設計等に掛かる費用の一部を補助する補助金交付制度を設けています。平成25年度は4月15日から受付が開始されていますが、予算措置を超えた場合は受付終了となりますので、全てがカバーされる訳ではありません。

また、補助金は、新設・取替えなどで屋外広告物(看板)を設置した個人・事業者が対象で、設置工事費用や設計費用等を最大50万円まで補助していますが、補助率は地域によって3分の1~3分の2と段階的に設定されており、設置にかかった費用の全額が補助される訳ではありません。

現在問題となっているのは、看板の撤去費用です。これまで使用していた看板が規制基準に合わないということで撤去をする場合に、撤去費用だけで数十万円もかかる場合がありますが、撤去費用についての補助はなく、完全に事業者の個人負担です。

これに対し、神戸市では、2011年4月から景観形成助成金交付要綱の一部を改正し、助成の対象を①整備に関連して必要な運営コストや②屋外広告物の撤去費用(上限額 500万円、広告物は100万円)に拡充しました。

また、全国的にも観光都市である高山市や那須町等は、屋外広告物の撤去、改修及び移設まで広告物改善事業補助金の対象としています。

京都市も条例の完全実施のための看板撤去費用の負担を業者個人に押しつけるのではなく、撤去費用等も助成の対象とするように条例を改正すべきです。

2013年6月