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あなたも裁判員として判決をくだす― 司法制度改革審議会の改革提言

あなたも裁判員として判決をくだす― 司法制度改革審議会の改革提言

焚き火のつもりが山火事になった

2年間にわたって審議を続けてきた司法制度改革審議会が、去る6月12日、最終意見を発表しました。「意見書」は、118ページにわたる膨大なものですが、主な改革点は次のようなものです。

(1)裁判員制度の創設

重大な刑事事件については、国民の中から無作為抽出で選ばれた裁判員が裁判官と一緒に同等の権利を持って裁判をすることにする。

(2)裁判官制度の改革

国民の代表が参加する「裁判官推薦委員会」(仮称)を設置し、裁判官の選任課程に国民の声を反映させる。裁判官に対する人事評価はあらかじめ基準を公表し、本人からの不服申立を認める。

判事補(見習い裁判官)は全員、弁護士などの他職経験をつませる。特例判事補は廃止する。弁護士から裁判官に任用する弁護士任官を拡充するなど。

(3)裁判官、検察官、弁護士の数を大幅に増やす。

(4)そのために法科大学院を設置する。

(5)被疑者に対しても公的費用で弁護士をつける。等々。

これらの改革提言は、長い間閉鎖的であった我が国の司法制度を国民の司法に大きく転換させ得るものであり、基本的に評価できます。とりわけ、国民が専門の裁判官と一緒に同等の権利をもって裁判をする裁判員制度は、国民の司法参加として画期的な意義を持つものです。

自民党の某議員が、 ”ほんの焚き火をするつもりで司法制度改革を始めたが、今や山火事になってしまった “と嘆いたとある新聞が報道しました。この言葉に自民党や財界、最高裁など反改革勢力の本音が出ていると思います。

3年かけて法律制定

政府は司法制度改革審議会の最終意見を受けて、これを積極的に推進していくことを閣議決定しました。秋の臨時国会で、内閣総理大臣を本部長とする司法制度改革推進本部を設置し、ここで必要な法律の制定と改正の準備をし、3年かがりで順次国会審議にかけていく予定だといわれています。司法改革は、いま第1ラウンドが終わって、いよいよこれから立法作業という第2ラウンドが始まることになるわけです。これからの3年間こそが本当の意味で正念場になります。

改革つぶしの策動を許さない大きな運動を

最高裁などは、審議会では自分たちの意見が取り入れられないので、審議の途中から、舞台が国会に移ってからが本格的なたたかいだと言って、自民党に一生懸命働きかけをしていました。自民党の議員たちも、審議会が何を言おうが、法律を作るのは我々だとうそぶいていました。国会の力関係を頼りに、せっかく審議会が出した改革提言をつぶして、自分たちに都合のいい司法制度(それは一口で言えば、強者の論理が速やかに貫徹する司法制度です)を作ってしまおうとする魂胆が見え見えです。

財政難を理由とする改革つぶしも始まっています。財務省は、裁判官や検察官を増やす金がないという理由で、日本の裁判官、検察官の数は諸外国を比べても少なくないなどと宣伝を始めています。

私たちは、こうした改革つぶしをいっさい許さないために、大きな国民的運動を起こして、政府に設けられる司法制度改革推進本部と国会の動きを監視するともに、「国民のための司法に変えよう」という要求を絶えず突きつけていくことが必要です。

弁護士費用の敗訴者負担制度にとどめを刺そう

国民が裁判することを萎縮させる弁護士費用の敗訴者負担制度は、国民の大きな反対の声で、「一律導入はしない」と明言させましたが、しかしそれでも導入の方針を撤回させるまでには至りませんでした。今後国民的な運動の中で、これに止めを刺すことが求められています。

「京都第一」2001年夏号