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新春座談会 平和を求める気持ちは自然

新春座談会 平和を求める気持ちは自然

平和を求める気持ちは自然
座談会
「へいわ屋」
河村さやか
Kawamura Sayaka
弁護士
渡辺輝人
Watanebe Teruhito
弁護士
糸瀬 美保
Itose Miho

糸瀬 明けましておめでとうございます。

河村渡辺 明けましておめでとうございます。

糸瀬 さっそくですが、今、河村さんはどんな活動をされているのでしょうか。

河村 家業の自営業の手伝いとは別に屋号「へいわ屋」というお店を、非営利でやっています。平和が大事だというメッセージ、思いを込めた雑貨類、いわゆる「平和グッズ」を皆さんに提供しています。

糸瀬 平和の大切さを伝える方法はいろいろあると思いますが、こういったグッズで伝えようと思ったきっかけは?

河村 私はもともと雑貨類も好きですし、良いなと思うことや物を言葉で人に伝えることが大好きだったんです。物心ついた頃から商業に携わっている両親を見ていて、人と物をつなぐことは楽しいことだとずっと思っています。武器商人のことを「戦争屋」と軽蔑して言うことがありますが、戦争屋というものにはすごく憤りを覚えますので、じゃあ、私は平和を頒布しようかと思って。なるべく安いお値段でおわけしたいので、缶バッチなどは一個100円にしています。小さいお子さんにもそれなら買ってもらえるので。「絶対つけてくれる? 約束する?」ときいて、あげてしまうこともあります。

糸瀬 渡辺さんは弁護士を目指したきっかけに平和への思いがあった?

渡辺 はい。司法試験の受験中に、友達ともあまり話ができないし、社会に対しても意見が言えない間に勝手に憲法を変えられたら、泣くに泣けないという思いがありました。九条改悪をさせないために、弁護士としていろんな人に九条の意義を伝えたかったのです。

糸瀬 平和の問題では、今、イラク戦争が深刻な状況ですが、河村さんはこれをどう思ってらっしゃいますか?

河村 私は、アメリカという国が自国の利権を追求して、また軍需産業みたいなことをのばして経済的な目的のために始めた戦争だと思っていますので、本当にひどいなというふうに思います。

糸瀬イラクで何が起こっているのか、マスメディアはあまり報道しませんが、河村さんはどうやって情報を得ているんですか?

河村 私の平和仲間とか平和友達という言い方をしているのですが、イラクの現地に行って取材してきたドキュメンタリー映画の監督の方などを招いて話を聞いたり、作品を見たりする機会を企画をしている友人達が周りに沢山います。現地に行って本当に見てこられた人と話をしたり、作品をみせてもらったりして、その度ごとに考えを深めていったりはしますね。ただ、マスメディアの方でも、職業上の制約があって公にはなかなか伝えられないけれども、何とか良心的な報道をしようとしている人の存在を確かに感じますので、その方たちを最大限サポートして、また私たちの考えもオープンにしていきたいなっていうふうには思っています。

渡辺対談風景 イラク戦争って、法律的に考えても目茶苦茶な戦争なんですよね。武力行使の可能性に関しては、戦争放棄の日本国憲法より国連憲章の方がハードルが低いのですが、国連憲章で武力行使が容認されるのは、自国の領土が侵略されたときと、国連決議があったときだけなんです。イラク戦争って国連憲章の要件すら満たしてないのですから、九条を持つ日本がイラク戦争に参加できるわけないんですよね。

糸瀬 ところで、渡辺さんは憲法九条についてはどういう思い入れを?

渡辺 僕が最近強調したいのは、憲法九条は死文化なんかしてなくて、実際に規範、決まり事として機能してきたんだということです。たとえば、アメリカやイギリスはイラク戦争に行ってイラクの市民をたくさん殺しています。一方、日本の自衛隊もイラク戦争には参加していますが、彼らはサマワの基地に閉じこもっているだけで、イラクの人々に対して銃を向けなくてすんでいます。これは憲法九条があるからなんです。九条のおかげで、私たち日本国民はイラクの人々を直接的には殺さずにすんでいるのです。他にも、たとえば、非核三原則があるから日本は核兵器を持てない、とか、武器輸出禁止の原則があるから武器を輸出できないわけです。日本のような技術大国が武器を輸出しないだけでも、世界平和に大きく貢献していると思うんですよね。

糸瀬 河村さんが周りの人に憲法の話をするとどういう反応ですか?

河村 TVの中で、誰か偉そうにみえる人が難しい言葉でしゃべっていると、自分とは関係ないものだと思ってしまう人が多いと思うんです。でも、私が自分の言葉で「九条がかわると当然徴兵制っていうことも、とても身近になってくることやし、そんなことになったらどうなると思う?」というふうに等身大の言葉でしゃべっていったりすると、自分に近いものとして考え始めると思います。また、納得してもらうためには私の人間性も問われてくるので、普段の行いとかよくして、かつ自分の言葉で怖がらずにしゃべっていこうかなと思っています。平和グッズってものすごく便利なんで、身につけるだけでもその人の意志っていうのを表明できるように思うんですね。そこから話がはずむというか、仮にはずまなくても(笑)、少なくともこの人はこう思っているんだなと、無言のうちに伝わります。

糸瀬 渡辺さんも、若い人の中で憲法九条の意義を伝えていきたい?

渡辺渡辺輝人 僕は法律家という立場になったので、規範、決まり事としての九条の意義を、自分と同じ年くらいの、もっと若い人の間にわかりやすく伝えていくっていうそういう活動をしたいんです。自由法曹団に、いろいろなところから憲法学習会の講師の依頼が来るのですが、若い人たちから依頼が来たときは、おじさんでなく(笑)、「私が行きます」と積極的に手を挙げていきたいです。あと、待ちの姿勢で依頼が来たらやるっていうのではなくて、自分で積極的に講師になる機会を作っていきたいと思うのです。「若い」のと「法律家」というのが重なるのはあと何年もないので(笑)、気安く法律の話をできる場をどんどん作っていきたいなと思います。

糸瀬 平和や九条の問題について、今年はすごく大事な年になると思うんですが、今年の抱負を。

河村河村さやか 今以上に、自分の意志、憲法九条を守りたいし、そのことによって平和を享受するだけでなく平和を作っていきたいと思っていることを、いろんな人に伝えたいですし、必要な知識も深めたいです。「平和を求める気持ちっていうのはすごく自然で美しいことだから、怖がらずに意思表示しましょうよ」と皆さんに勧めているのですが、それは当然自分にもあてはまることなんで、改憲派っていわれる人たちの語気の荒さ、乱暴さに圧倒されることなく、堂々と対峙していけるようにしたいと思っています。

渡辺 法律という観点から九条の価値を若い人に広めていく足がかりを作る年にしたいです。今、国民投票があったとして、世論調査を見ると、現時点では九条を守れという人のほうが多いんですよ。でも、同世代以下の人たちを見ると、このまま10年、20年たって私たちの世代が中堅とか社会を引っ張っていく世代になったときに、果たしてこういう世論を維持できるのかな、とよく思います。だから、平和や九条の問題に一緒に取り組める仲間を作って、さらにその先の仲間になるべきまだ未知の人への働きかけも怠らずに、ずっと絶えずやっていくそんな一年にしたいです。

河村さやか(かわむら さやか)氏のプロフィール

1979年京都生まれ
自営業手伝い
平和グッズセレクトショップ「へいわ屋」主宰
趣味 何かをつくること。人と出会うこと。

「京都第一」2006年新春号