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新春座談会 新人弁護士に聞く

新春座談会 新人弁護士に聞く

座談会
貧困の克服にかかわる発信をしたい─
弁護士:藤井 豊
Fujii Yutaka
非正規労働者のために仕事したい─
弁護士:水野 彰子
Mizuno Akiko
憲法を活かしていこうと弁護士に─
弁護士:吉本 晴樹
Yoshimoto Haruki
司会
弁護士:奥村 一彦
Okumura Kazuhiko

奥村 明けましておめでとうございます。

藤井水野吉本 おめでとうございます。

趣味は映画にフラメンコ、「アキバ系」も

奥村 京都第一法律事務所に2008年入所した弁護士のみなさんに集まっていただきました。まず自己紹介をお願いします。

藤井 藤井豊です。だんじり祭で有名な岸和田で高校まで育ちました。大学から京都に来て法学部に入り、映画研究部に所属していました。
 弁護士は、依頼者と心を通わせながらよりよい解決方法を探るとともに、法律の専門家として社会制度にかかわるいろいろな発言や活動ができるのが魅力だと思っています。

藤井弁護士

藤井豊 弁護士

「日本でも社会派の映画が増えてきました。最近では『闇の子供たち』(阪本順治監督作品)がすごく衝撃的でした。当初はあまり受け入れられないと思っていたけどすごく反応がありました。日本も、貧困の問題が出てきたりして、そういう暗い話題にも問題意識をもって見る世代も社会的土壌も出てきているのを感じます」

水野 水野彰子です。生まれは岐阜ですが、父が転勤族で新潟、神戸、京都、横浜を転々としました。高校生の頃、弁護士に依頼したいけど「こんな敷居の高いところには行けない」という思いをしたことがありました。それで、自分が弁護士になろう、と思ったのがきっかけです。だから、近寄りにくい弁護士にはなりたくないと思っています。
 私は踊ることが好きで、いまはフラメンコをやっています。

水野弁護士

水野彰子 弁護士

「私がフラメンコをやったのは、法律とはまったく違うことをやるのが楽しかったからです。新しい風が私のなかに入ってくるような気がします。これからも弁護士をやりながらも傍らでフラメンコをやっていくことが、相乗効果でいいと思っています。上達したら表現の自由の活動のために踊れるように、がんばりたいと思います」

吉本 吉本晴樹です。京都生まれの京都育ち、立命館大学出身でロースクール(法科大学院)も立命館でした。大学時代に憲法のゼミに所属し、最初は憲法の研究者をめざして勉強していたのですが、理論だけでなく実際に憲法を活かしていこうと、弁護士になることに方針を変えました。
 読書が趣味で社会評論をよく読みます。もう一つの趣味は「アキバ系」の側面があります。

吉本弁護士

吉本晴樹 弁護士

「秋葉原はアニメやインターネットなどいろんな文化の混合都市です。インターネットは表現の場を一般の人々に開放しました。それが社会に与える影響力が大きくなってくると、国家の側からの介入・規制の動機が強くなってくる。これに対して自分が弁護士としてどう抵抗していくのかが、私のなかでは課題です」

弱い立場の人を支えることこそ

奥村弁護士 奥村 当事務所は社会的弱者の立場に立つ事件が多い事務所です。そういう観点から、この事務所を選んだ初志を聞かせてください。

吉本 私はロースクールなど新しい法律家養成制度で出てきた世代ですが、この世代は大規模事務所などどちらかというとスタイリッシュに仕事をするのがトレンドになっていて、言ってみれば地道な仕事は修習生に敬遠されていたように感じました。でも私はむしろ人々と手をたずさえた仕事がしたい。自分が何をしたいかを考えた結果、ここを選びました。

水野 私はずっと、社会的にあまり強い立場ではない人の立場に立つ仕事がしたいと決めていました。私は非正規雇用労働者の問題にすごく関心があります。まだ社会的に注目され始めたところで事件にするにはなかなか難しいとも聞きましたが、非正規労働者のための仕事をしたいという私の気持ちにすごく共感してくださった弁護士がいらしたのが、一番の決め手になりました。

藤井 強い側よりも、いろんな困難をかかえながら立ち上がった人たちを支えていくのは、自分自身が燃えるし使命を感じます。また、法律の改正も含めいろんな団体といっしょに取り組む活動にかかわれる事務所という意味では、すごく魅力があると思います。

積極的にやりたい憲法を守る活動

奥村 当事務所では弁護士の職業的な仕事以外にも「憲法を守ろう」という運動をずっとしています。憲法を守ることについてどうお考えですか。

水野 訴訟や相談など以外に社会的に貢献する活動は、弁護士にとって重要な仕事だと思っています。自分たちが問題だと思ったことを社会に広めていくのはとても重要だと思っているので、私も積極的にやりたいと思います。

吉本 私が憲法を学んで本質としてつかんだのは、憲法は国家の権力を縛るものだという点です。その憲法論の原理原則があまり理解されず、一部の改憲勢力から、いまの憲法は権利ばかりで義務の条文が少ない、改正して義務の規定を増やすべきという、近代立憲主義の原則からみて完全に誤った憲法論が流布されている現状に、すごく危機を感じます。私は、憲法は国家権力を規制する法律だという原理原則論から憲法の理解を広めていきたいと思っています。

藤井 僕は「9条」の背景にある平和主義の思想が一番大事ではないかと思っています。それも国民のなかにもっと浸透させないと、運動自体がなかなか明るい方向に広がっていかないんじゃないか。そういうことをもっと学んでいきたいと思います。

非正規雇用問題や弁護士過疎地域に注目

奥村 最後に、今後の抱負をお願いします。

藤井 非正規雇用の問題は3万人を超える人たちが何の保障もなく職を奪われる状況で、本当に法律家がきっちりサポートしていかないといけない仕事だと感じているところです。非正規雇用が企業収益を維持し続けるための調整に使われている状況が顕在化してきているので、大きく制度を変える運動に広がっていく土壌ができているし、どういう形の法律がいいのか、法律家として学んで発信していきたいと思います。

水野 まず一年目は、自分の興味のある労働問題以外のことにも興味をもってがんばりたいと思います。

私の母親も非正規の労働者です。もちろん男性もありますが、非正規の労働者には女性、それも離婚した母子家庭の女性が非常に多いと感じています。ここで首を切られたら次がない、どれほどひどい状態であってもがまんせざるを得ない状況です。労働組合すらないなかでどうやってそれを改善していくのか、どのように事件にしていくのか、どれほど「声をあげていってほしい」と働きかけられるのか、非常に難しい問題だと思っています。将来的にはそれが大きな流れになるような活動をしたいと思っています。

吉本 私は近い将来、京都の北部で活躍したいと思っています。京都は人口比では全国で3番目に弁護士が多い都道府県ですが、実は偏在しています。特に京都の北部では弁護士が八人しかいない状況がここ10年ずっと続いていました。でも事件はたくさんあり、膨大なリーガルニーズが眠っています。私は北部に行って労働者、市民側の弁護士としてそのリーガルニーズに応えていきたいと思います。

奥村 仕事はなかなか大変です。われわれ自身も肉体労働者という側面もあります。長く続けるために、健康を害さないよう配慮しながら、自分の趣味も活かしつつがんばってほしいと思います。みなさん方を待っている人はたくさんいますので、ぜひその期待に応えてほしいと思います。

「京都第一」2009年新春号