京都第一

高級ホテルで長時間の未払い残業

[事件報告]

高級ホテルで長時間の未払い残業

2011年5月16日、ホテルマンの男性が、元勤務先のミシュランガイド日本版にも紹介された高級ホテルに対して300万円余りの未払い残業代の支払いを求めて京都地裁に提訴し、現在も係争中です。深夜勤務も多く、退職するまでの約1年間の残業時間は少ない月で72時間、多い月では112時間を超えていました。

労働基準法(労基法)は、原則1日8時間、1週40時間の法定労働時間を超えて労働した場合や休日に勤務した場合には、割増賃金を支払わなければならないとしています。通常は25%以上、休日労働は35%以上、残業が深夜(午後10時~午前5時)に及んだ場合にはさらに25%以上の割り増しとなります。また、2010年の労基法改正により、1月60時間を超える時間外労働については、50%以上の割り増し賃金を払うこととされています。

生活の糧である賃金をきちんと払わせ、また過労死水準の長時間残業を追及するためにもがんばります。 当事務所では、給与第一という残業代計算ソフトを作成し、本訴訟にも活用しています。残業代の計算には、タイムカードなどの資料が必要となりますが、タイムカードがなくても、時刻記載のある業務日報やPCの立ち上げ・保存時間、Eメールの送受信時刻、通勤に使用したETCや電車のカードの利用時間などから時間外労働の実績を認定させることも可能です。長時間労働により健康や生活を害さないためにも、自分の労働時間については記録を残しておくことをお薦めします。

「京都第一」2012年新春号