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特集:今こそ日本国憲法を守り活かしましょう!

特集:今こそ日本国憲法を守り活かしましょう!

「立憲主義」を否定する危険な自民党改正草案

2012年4月、自由民主党は「日本国憲法改正草案」を発表しました。この自民党改正草案の一番の問題は、憲法の根本的な考え方である「立憲主義」を変えてしまうという点です。

「立憲主義」とは、権力を縛ることによって国民の権利・自由を確保するという考え方で、権力が国民の権利・自由を侵害してきた歴史的事実への反省を踏まえて確立した、各国の憲法に共通する基本的な考え方です。自民党改正草案はこの「立憲主義」の原則を転換し、権力によって国民の権利・自由が制限を受けていた過去の時代に逆戻りしようとしているのです。

憲法によって国民が縛られる?

日本国憲法は、天皇、摂政、国務大臣、国会議員、裁判官、その他の公務員に憲法尊重擁護義務を課していますが、国民にはこの義務を課していません。これらの公務員等は歴史的に国民の権利・自由を侵害してきた事実があるため、権力を縛るという立憲主義の考え方に基づいてわざわざ列挙されたのであり、他方で権力を縛る憲法だからこそ国民はわざわざ除かれているのです。これに対して自民党の改正草案では、天皇、摂政が憲法尊重擁護義務の対象から外されてしまっています。逆に、国民に憲法尊重義務を課し、さらには国旗、国家を尊重する義務をも課しており、内閣総理大臣が緊急事態の宣言を発すると、国民は、公の機関の指示に従わなければならないということまで定められています。自民党は、日本国憲法が作られた歴史的経緯を無視し、国民を縛るための憲法へと変えようとしているのです。

平和な国から戦争する国へ?

日本国憲法は前文で、侵略戦争が政府の行為によって行われたことを反省し、二度と戦争を起こさないとして、非戦と平和主義を宣言しています。さらに9条は、「武器を持たない」「戦争をしない」ことを定めています。

これに対して自民党改正草案では、非戦と平和主義の決意を示した前文を全面的に削除し、9条には国防軍の規定を置き、集団的自衛権の行使も認めるとしています。非戦を決意する平和な国から、軍隊を持ち戦争への参加を可能とする国へと変容させる、危険な内容となっているのです。

国家のために私たちの人権が制限される?

普段生活していると、憲法が私たちの生活の役に立っているとは感じにくいかもしれませんが、日本国憲法では、思想及び良心の自由、表現の自由、職業選択の自由、学問の自由、等様々な自由が認められています。これらの自由が憲法で認められているからこそ、私たちは、自分の好きなことを考え、表現することができ、自分が就きたい職業にも就くことができます。私たちの暮らしの中での憲法の大切さは、様々な権利が制限されていた戦時中の暮らしを振り返ってみればお分かりいただけるのではないでしょうか。

もちろん、これらの自由が認められているからといって、何でも好き勝手にしていいということにはなりません。他の国民にも同じ自由が認められているからです。そこで日本国憲法は、他の国民の権利・自由を守るために、国民の権利・自由が最低限制約される場合があることを認めています。

しかし自民党改正草案では、「公益及び公の秩序」によって人権を制限することができるとしています。他の国民の権利・自由を守るためではなく、国家の利益のために国民の権利・自由を制限できるとしているのです。ここには、国民よりも国家を優先しようとする自民党の本質が現れているといえるでしょう。

憲法が権力者の都合の良いように変えられる?

日本国憲法では、憲法改正には、各議院の総議員の3分の2以上の賛成と、国民投票での過半数の賛成が必要とされていますが、自民党改正草案は、「3分の2」を「過半数」に緩和しようとしています。しかし、そもそも、憲法改正に各議院の総議員の3分の2以上の賛成が必要とされているのは、その時の権力者の都合によって簡単に憲法が変えられてしまい、国民の人権が侵害されることを防止するためであり、極めて重要な意義があります。自民党はこうした意義を否定し、権力者の都合が良いように憲法を変えようと企んでいるのです。

こうした企みに対し、改憲論者と呼ばれる人たちの間でも憲法改正要件だけは変更してはならないと反対の声が上がっています。ここからも、自民党改正草案がいかに危険であるかがお分かりいただけるかと思います。

今こそ憲法を守り活かすとき

このように、自民党改正草案は、日本国憲法の価値と立憲主義を否定し、国民を縛り、戦争をする国へ向かう危険な内容となっています。今こそ、憲法を守り活かすための活動を強めるときです。当事務所でも、自民党改正草案の危険性と日本国憲法の価値を多くの人に広めるための活動を続けていきますので、みなさまのご理解・ご協力をよろしくお願い致します。

「京都第一」2013年夏号