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コラム:成年被後見人選挙権裁判

コラム:成年被後見人選挙権裁判 ~これで私も選挙に行ける!!~

「日本国民は正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」─言わずと知れた、日本国憲法前文の冒頭部分です。憲法の一番最初に謳われるように、選挙権は民主主義社会で最も重要な権利です。

その権利が、これまで成年被後見人には与えられていませんでした。公職選挙法11条1項1号が後見開始の審判を受けたことを選挙権の欠格事由としていたためです。しかし、成年後見制度は本人の権利を護るための制度なのに、なぜ選挙権という重要な権利を奪われるのでしょう。憲法は能力によって選挙権の有無を区別することを許容しているのでしょうか。

100年以上も放置されていたこの問題に光を当て、成年被後見人に国民として当たり前の選挙権を認めてほしい、社会に参加したい、そんな裁判が東京や京都など全国4か所で提起され、支援の輪がどんどん広がっていきました。そうして2013年5月14日に下された東京地裁判決は、選挙権の重要性を確認し、成年被後見人など様々なハンディキャップを負う者も我が国の主権者たる「国民」であると宣言して、公選法の規定を違憲としたのです。成年被後見人であった原告に、初めて選挙権が認められた瞬間です。

判決言渡し後に裁判長は、本人に対し、「どうぞ選挙権を行使して、社会に参加してください。どうぞ胸を張って、いい人生を生きてください。」と声をかけたといいます。この言葉には、今回の裁判の意義が凝縮されているといえるでしょう。

法令が改正されましたが、京都で提起された同様の裁判はまだまだ続いており、法廷はいつも支援者であふれています。国は法令が改正された今になっても「規定には合理性がある」と強弁していますが、自らの非を認めようとしない、いかにも国らしい不当な対応ではありませんか。みなさまにもより一層のご支援を頂き、押し込んでいきたいと思います。

また、高齢者の権利擁護の取り組みはこれからも続きます。もともとこの裁判も権利擁護の一環として始まったものであり、高齢者への虐待や消費者被害、相続や遺言の問題なども、高齢者の権利擁護活動として重要な分野です。当事務所としては、今回の裁判も1つの契機として、高齢者の権利擁護の活動に一層取り組んでいく所存です。

なお、京都での裁判の代理人は、当事務所からは藤井豊と谷文彰が務めております。

「京都第一」2013年夏号