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事件報告:生存権の侵害を許すな

事件報告:生存権の侵害を許すな ─ 新・生存権裁判と年金裁判 ─

はじめに

新・生存権裁判は2014年12月に生活保護の基準の引き下げの違憲無効等を求めて、年金裁判は2015年5月に年金額の引き下げの違憲無効を求めて、いずれも京都地裁に提訴しました。

新・生存権裁判は全国25の地裁・原告約850人、年金裁判は全国45の地裁、原告約3000人(いずれも提訴予定含む)となっており、全国規模での空前の裁判運動となっています。

新・生存権裁判の意義

今回の生活保護基準の引き下げは全ての世帯を対象としたため、これに抗する取り組みには、高齢者、障害者、ひとり親家庭など様々な立場から参加しており、連帯して運動と裁判を進め、あるべき生活保護基準の確立を求めています。

また、生活保護基準は、就学援助、最低賃金、住民税の非課税基準、国民健康保険の保険料や窓口負担の減免、介護保険料の軽減基準、保育料の徴収基準など国民生活の様々な基準となっているため、その引き下げは、生活保護受給者のみならず、多くの低所得者層に影響する問題であり、私たちの問題であるといえます。

年金裁判の意義

年金裁判については、安心できる最低保障年金制度の確立や「マクロ経済スライド」に抗する闘いと一体のものとして取り組まれています。年金裁判に対しては、世代間格差を煽る立場からの批判があるようですが、「マクロ経済スライド」により、30年後には基礎年金部分が約30%も削減されることになるため、私のような現役世代も、安心できる年金制度を作るという共通の目標を持って、裁判の意味を理解し、連帯することが求められていると思います。

さいごに

いずれの裁判についても、引き下げの原因は政府による社会保障の削減政策にあります。また、大きな背景として、新自由主義経済政策による貧困と格差の拡大、大企業や富裕層に対して応分の負担さえ求めない現在の税制度や社会保険制度の歪みがあります。2つの裁判は、憲法25条を活かした社会保障制度の実現に向けて、大きな意義を持っています。

 

新・生存権裁判には、当事務所の谷、藤井らが、年金裁判には、森川(弁護団長)、高木(事務局長)、谷、尾﨑、藤井らがそれぞれ弁護団員として取り組んでいます。

弁護士 藤井 豊

「京都第一」2015年夏号