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事件報告:財産をだましとられそうになったおばあちゃんの話

事件報告:財産をだましとられそうになったおばあちゃんの話

そのおばあちゃんは昭和13 年生まれ、今年78 歳です。2年前のこと。一人暮らしで、一人息子は転勤族で同居していません。

おばあちゃんは多趣味で、ある時ダンスを習い始めました。おばあちゃんは資産家で京都市内に沢山のビルや土地、銀行預金をもっていました。異変に気がついたのは不動産管理会社の担当者です。住所が書けない、通帳 やカードがなくなった、テナント賃料が口座に送金されていないなどの根拠のない訴えがありました。そこで息子がおばあちゃんに会うと必ず同席するのがダンス教室の先生でした。曰く、「管理会社はちゃんと管理していない、私が代わってやる」と言って、勝手に各ビルテナントに管理者と賃料振込口座の変更を張り紙しました。息子がこれに抗議すると、おばあちゃんが怒り出し、今後は息子とも思わんなどの対応をするようになりました。完全に取り込まれていたのです。そこで息子は地域包括支援センターに相談し、そこから当事務所に相談がありました。

明らかに認知症の初期症状です。後見人の選任申立を急ぎました。ところが外観は元気そうに見える上、ダンス教室の先生が大阪の弁護士を立てて、認知症ではないとして家庭裁判所に審判しないよう申出しました。また、ダンスの先生は、各銀行に連れて回り高額の預金を引き出しました。事態は重大です。息子は警察、銀行と病院を回り、認知症の状態を知らせ、連絡体制を取りました。そのころ、ダンスの先生は、おばあちゃんに養子縁組みを結ばせ、同時にすべての財産を譲るという書面におばあちゃんの署名をさせようとしていたのです。しかし、おばあちゃんがその時の恐ろしい声に怯え、逃げ出しました。逃げ出して近くの医院に駆け込み、その医院から私に電話がありました。すぐに医院に行き、その場にいたダンスの先生を警察と一緒に追い出し、おばあちゃんを救出しました。 鑑定の結果、認知症であることが証明され、後見人の選任までたどり着きました。引き下ろした預金やテナント賃料も回収しました。

認知症の境界線上が最も危険な状態と言えるでしょう。誰かに財産が取られそうだと思ったら、いち早く専門家のアドバイスを受けて下さい。

弁護士 奥村 一彦

「京都第一」2016年夏号