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憲法問題学習会の講師をします

憲法問題学習会の講師をします

奥村 一彦弁護士 奥村 一彦

「わくわく憲法らんど」ついに完成

今年の3月16日、改憲論を斬る冊子「わくわく憲法らんど」を作りました。これは総勢26名の豪華執筆陣で64ページに及び、学者、弁護士、活動家、作家など多彩で、しかも日本国憲法全文に読み仮名と語句の注釈までついて、たったの300円という凄い値段です。表紙はプロの作家さんに平和をテーマに無料で描いてもらいました。この値段については激論をしました。500円では普及が進まないだろう、しかし、26名の執筆者で64ページというのは印刷代がばかにならず、ではどうすればいいということになり、まず、あの手この手で原価を下げる、次に売り切ることを目標にしようと言うことになり、値段を300円に押さえました。合宿までやり、原稿を徹底的に点検して、トップレベルのものにしました。

第9条があぶない

一口に憲法問題と言っても、今あれこれ大問題になっており、まさに八面六臂の奮闘が必要です。

今最大の問題は、テロ事件に関して「報復戦争加担法」という第九条「戦争の放棄」の条項と正面から衝突する法案が問題となっており、憲法が空洞化される大きな危機が迫っています。

我が国は、米国の占領が終了した後、ほとんど米国との二国間関係だけで外交・安全保障を進めてきましたので、アジアとの友好関係が築かれていません。二国間関係と言っても沖縄の米軍基地のように実際には米国への従属関係ですので、米国の指揮する冷戦体制に深く組み込まれ、独自の平和外交をほとんど放棄してきました。

また、アジアに対し戦争被害の補償をせず、国内でも日本人による国内での戦争責任を追及する機会を失してしまいました。

そのように、アジアとの関係を改善せず、米国に軍事的に強く従属する体制に組み込まれたまま、自衛隊を他国領土に派兵することには強い反発が国内外から起こるのは当然です。

また、憲法九条の解釈からしても、他国の戦争に加担することは認められません。今戦争が正当化されるのは、二つしかありません。一つは国連が認める戦争で、二つは自衛権の行使が認められる場合の戦争です。米軍のアフガニスタンへの攻撃は前者でもなく、また、後者の自衛権の行使とは到底認められません。自衛権の行使は、緊急性(不正の侵害が急迫していること)、必要性(他に手段が選べないこと)、相当性(侵害の排除に足りる必要な程度)の厳しい三要件があり、いすれも欠けています。これに対し、政府は米国の攻撃は自衛権の行使で正当であるといっていますが、仮に米国の攻撃が自衛権の行使であったとしても、日本がこれに加担してアフガニスタンを攻撃するのは正に集団的自衛権の行使となり、政府解釈でも集団的自衛権の行使はできないのですから、日本が加担することはできません。集団的自衛権というのは、日本以外の日本の同盟国に対する攻撃があった場合、その同盟国が自衛として行う軍事行動に一緒に行うというものです。

「わくわく憲法らんど」を発行した時点ではテロ事件は起こっていなかったのですが、追録を作りましたので、配布します。ぜひ学習会で使って下さい。

教科書問題

次は教科書問題ですが、これまで「教科書で教えない日本史」とかマンガ「戦争論」などの出版物を出したり、「自由主義史観研究会」という名称の団体を結成して戦争美化、戦後民主主義否定、憲法改悪の活動を続けてきた人たちが、「新しい歴史・公民教科書をつくる会」に集まって、2002年度から中学校で使用する歴史・公民教科書を作り、それぞれ137箇所、99箇所という文部省教科書検定の修正意見をすべて受け入れて検定を合格させ、全国的には8月15日以降の、各地の採択地域での採択に向け、活発な活動を行いました。全国各地で、表では地方議会に「公正な採択」をさせる名目で決議をあげさせ、裏では議員を使って採択委員を訪問して彼らの教科書を採択するよう圧力をかけたりしました。彼らの目的は、公教育の場を利用して戦争賛美、国家主義の普及を図ろうとしているのです。結果は、東京都知事と愛媛県知事が採択に直接かかわれる障害児の養護学校といくつかの私立中学での採択に終わり、彼らの採択率10パーセント、14万冊は阻止しえました。これは、国民の広範な運動が採択委員の良識を発揮させたと評価できます。

「わくわく憲法らんど」には、これらに含まれる論点を網羅しており、是非活用して下さい。

靖国問題

小泉首相は、首相として靖国神社に参拝することを公約し、8月15日の敗戦の日に参拝しようとしました。首相が公式参拝をするのは13年ぶりで、日本国内外の厳しい批判を浴びました。国内では、戦争責任の観点と政教分離原則の観点から問題が取り上げられ、外国では中国、韓国が靖国神社が戦犯を合祀していることを強く批判しました。

靖国問題も、やはり戦争責任を日本がどうとるのかを問われる問題で、それが政教分離問題の基礎にあります。これらを考える上でも「わくわく憲法らんど」は非常に役に立つ冊子です。

以上の通りですが、実は、普及はなかなか進まず、今のところ1300部です。今後は、テロ問題を挟み、大々的に普及する予定ですので、どうかこの文章を見られた方はすぐにご注文いただき、また、学習会を組織される方は、全員に普及していただけるようお願いします。

「まきえや」2001年秋号