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丹後リゾート関連土地不正取得事件

[事件報告 1]

丹後リゾート関連土地不正取得事件

奥村 一彦弁護士 奥村 一彦

荒巻前京都知事が進めた丹後リゾート計画は既に破綻し、現地は荒れ放題となっていますが、それにからみ土地買収の過程で奇怪な事件が起きました。裁判を提起しましたので報告します。

つまづいた土地取得

宮津市土地開発公社が問題の土地15筆を取得するきっかけになったそもそもの経緯は、平成3年、荒巻京都府知事が宮津市を含む丹後地域一帯に「京都府丹後リゾート公園」を計画したことによります。当初から土地取得は躓いています。公園計画区域内の土地を買収しようとして「丹後地域不動産事業協同組合」名で取得したところ、国土利用計画法違反を問われ、一旦所有者に返還されるという失態を演じています。これは一定面積以上の土地を売買する場合は今の国土交通省に事前の届け出が必要なのにそれをしていなかったという極めて初歩的なミスをしています。丹後リゾート計画にはそもそもの出発の時点で土地取得方法にこのような不審な動きがあったのです。といいますのは、国土利用計画法が存在するのは誰でも知っていることなのですが、これをあえて無視して土地売買を急いだ形跡があるのです。

その後、平成8年12月18日付けで、先に所有者に返還された土地を、改めて京都府土地開発公社及び京都府自身が購入し、最終的に平成10年9月18日までには全部京都府が購入しました。分散して購入したのです。

奇妙な土地売買

本件問題は、この過程で奇妙な土地売買が並行して行われた問題です。

宮津市土地開発公社が、丹後リゾート計画地ではない地域の土地15筆を平成8年12月24日付けで購入しているのです。後で議会で宮津市長が説明したところでは、丹後リゾート計画地内に土地を所有していた地主らが、自分たちが京都府に売却した土地の代わりに代替地を要求したということでした。

しかし、地主らが代替地を要求した事実はなく、購入の動機が著しく疑わしいものであることがわかってきました。地主に代替地として取得するよう働きかけたようなのですがいずれも引き取りを拒否されたとされています。

その後、公社が取得したまま放置されてきた15筆の土地につき、突然宮津市は、平成13年の9月議会において、「公益的機能保全森林整備事業」として、「山林等を公益的機能保全森林として取得し、国土保全をはかる」目的で公社から購入したいとし、そのために予算金4,214万8,000円を計上し、議会は承認しました。

なぜ?高額な土地買収

ところで、この15筆の土地は、登記簿によると全部、兵庫県朝来郡生野町のK氏の所有にかかっていたものであることがわかりました。また、宮津市土地開発公社の取得価格は、丹後リゾート計画による土地買収価格と比較してかなり高額であったこともわかってきました。例えば、公園計画地内の養老財産区の買収価格は1平方メートルあたり510円であるところ、この15筆の土地は2,960円もの価格で買い上げられていました。しかも、15筆はバラバラに存在しており、それぞれが小規模な「山林」で全く利用価値はありません。中には地滑りの危険が指摘されている土地もありました。

このような利用価値のない土地を公社が先行購入した裏には何かあるのではないかと地元の住民が疑問を持ちました。真に代替地が必要であったならば、候補地ごとに地主と協議し、土地を選定しなければならないのでしょうが、全く行っていない、また、地主らが公園計画によって土地を売却した平成8年12月18日のわずか6日後の同月24日に全部を購入していることは、当初から代替土地の要求があったので購入したとは説明できないと考えました。

市民が行政の監視役に

そこで、宮津市民である馬谷さんが、住民監査請求を行いました。驚くべき事に、宮津市監査委員は、2日後に却下の決定をして馬谷さんに通知してきました。曰く「まだ予算が執行されていないから」というものでした。予算執行がされていなくても監査請求できることは、地方自治法に規定があります。宮津市平成 13年度9月議会において議決されており、「当該行為がなされることが相当の確実さをもって予測される場合に該当する」ので監査請求は理由があるのです。請求却下は不当なものでした。そこで、裁判を提起しています。

先の選挙で、府知事はテレビで丹後リゾート計画はもう見直したなどと他人事のように発言していましたが、私たちの無駄に使われた税金について何の反省の弁もないのです。官僚というのは困ったもので、予算の使い方を間違っても平気なのです。選挙の結果は悔しいけれど、次のステップを築いた点では大きな意味があり、今後とも行政の監視役を続けていきたいと思っています。

京都民報の記事
2002年1月27日 京都民報
「まきえや」2002年春号