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憲法、いよいよ正念場

憲法、いよいよ正念場

奥村 一彦弁護士 奥村 一彦

改憲本流の登場

安倍首相が誕生しました。施政方針演説はまったく内容がありませんでしたが、それでも憲法改悪、集団的自衛権の研究、教育基本法改悪、消費税増税など重要な悪法の成立などには触れています。

この人、憲法を変えようという意欲は相当根強いと見なければなりません。その出自からして筋金入りです。安倍氏の母方の祖父が安保条約を強引に改定した岸信介、父は安倍晋太郎の政治家一家です。岸信介は戦争を遂行した東条英機内閣の大臣で、戦後連合国からA級戦犯(戦争指導者) として巣鴨プリズンに長期拘束され、その間に憲法ができあがってしまっていたという恨みを遺伝しているはず。その祖父を尊敬しているとなると、正真正銘の憲法敵視派であること間違いなしです。新聞記者に「今の憲法は占領時代の残滓(のこりかす)」、「新憲法が制定される日が真の日本の独立の日」、などと威勢のいい発言をしていますが、日本の独立を侵害している安保条約については一言も触れません。それもそのはず安保条約は、国民の猛反対運動を弾圧して祖父が「命がけで」通したのですから。

安倍首相のこれまでの活動

安倍首相は、国会議員になって13 年です。決して長くありません。また、その存在も北朝鮮拉致問題で大きくクローズアップされるまで大きくありませんでした。その短い期間に以下の通り、超右翼としての活動を続けていました。

1993 年8月、自民党靖国関係3協議会がつくった「歴史・検討委員会」に安倍氏は参加し、天皇が米国訪問した時、真珠湾攻撃で撃沈したアリゾナ号記念館に献花した事実を報道した報道機関を批判しました。

1994 年12 月、自民党議員の終戦50 周年国会議員連盟の事務局次長になり、翌年1995 年8月15 日に発表された村山首相の談話「植民地支配」によってアジア諸国民に苦痛を与えたことを認識し「深い反省の念を表明する」決議に反対して、棄権しました。

1996 年、歴史教科書に「慰安婦」問題が掲載されたことに反発し「明るい日本国会議員連盟」を結成して、幹事となり、さらに1997 年「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」を結成し事務局長となっています。

また、NHK が、昭和天皇の戦争責任を問う女性戦犯法廷を放映した際、事前に検閲し、昭和天皇に判決を言い渡す場面をカットした疑いがもたれています。その時、安倍氏と同様に行動したのは中川昭一政調会長です。

2001 年、北朝鮮の拉致問題が大きく国民の関心になりました。安倍氏は北朝鮮を攻撃する急先鋒としてマスコミに登場しました。しかし、安倍氏は官房副長官として小泉首相と北朝鮮を訪問し、日朝平壌宣言を支持して行動しているのです。

このような、ほとんど右翼活動しかしていない人物が首相として相応しいわけはありません。今後わが国が大きく右旋回することを食い止めなければなりません。それが憲法運動のひとつの意義となるでしょう。

集団的自衛権行使の「研究」??

安倍首相はさかんに集団的自衛権の行使を「研究する」といいます。この集団的自衛権というのは、軍事同盟のことです。わが国の同盟国が攻撃された場合、わが国が、攻撃国を攻撃する同盟です。わが国の自衛ではなく他衛です。要するに米国と一緒に(集団的)、先制攻撃(「自衛」)することです。戦争の名目はいつでもどこでも「自衛」です。アフガン・イラク戦争も米国では自衛戦争です。

これの行使を政府解釈では禁じています。その論理は、憲法9条2項により、軍隊を持たない、「国の交戦権は、これを認めない」として、戦争すること自体を禁じているのです。従って憲法は、他国のために戦争するなどおよそ想定していないのです。

これを「研究」の上、米国のために一緒に戦えるようにしようと宣言したのです。いったい研究といいながら、本当は憲法を侵害しようというのは言語同断です。平和憲法を葬ろうとしている首相は、首相としての資格はありません。

旺盛な憲法運動で反撃を!

2004 年6月10 日、「九条の会」が結成されて以後、全国各地でこれに賛同し、5000 を超える「九条の会」が地域や職場でできています。この勢いは止まりません。戦争はいやだの声は大きく広がりつつあります。これをもっともっと拡げなければなりません。

この京都でも、秋に一連のおおきな憲法集会が取り組まれます。私たち京都第一法律事務所では、事務所創立45 周年を記念して、11 月25 日京都教育文化センターで「未来につなごう平和憲法」と題して、写真家の森住卓さんと慶応大学の金子勝教授を招き講演とパネルディスカッションを開催します。是非とも皆様のお越しをお待ちしております。

「まきえや」2006年秋号