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被害急増 NOVA中途解約トラブル

[事件報告]

被害急増 NOVA中途解約トラブル

糸瀬美保弁護士 糸瀬美保

NOVAを提訴

2007年9月26日、「駅前留学」「NOVAうさぎ」の宣伝などで有名な外国語学校「NOVA」に対して、近畿在住の元受講生ら14名が、京都地方裁判所に、中途解約金の支払いを求める訴訟を提起しました。

中途解約とは

NOVAのような外国語教室・語学学校は、特定商取引に関する法律(特商法)が指定する特定継続的役務の提供事業者にあたります。そこで、受講生は、理由のいかんを問わず、学校との契約を将来に向かって中途解約することができます。その際、語学学校は、既に支払った受講料からそれまでに受けた授業料と中途解約によって通常生じる損害額(5万円と契約残額の20%のどちらか低い方の額)を除いた清算金を、不当利得として「速やかに」返還しなければなりません。

これまでNOVAは、解約金の精算をする際、既に消化した授業料(レッスン料)の計算について、契約時に支払った授業料の単価(レッスンを受講するために必要な1ポイントの額)で計算するのではなく、それよりも高額の単価で計算していました。従って、消化した授業料が高くなり、受講生に返還される清算金は低くなります。しかしながら最高裁判所は、2007年4月3日、これを無効と判断し、契約時の単価で計算するという判決を出しました。

行政指導

ところで、NOVAについては、過去に多くの苦情が全国の消費相談窓口に寄せられていました。

経済産業省は、2007年6月、契約書面等の記載不備、誇大広告、不実告知、中途解約によって生ずる債務の履行拒否又は不当遅延等の特商法上の違反行為を認定し、新規契約の締結等を6か月間、停止するよう命じました。東京都も、同様に、改善勧告を行いました。

解約金の支払い遅延事案

これらを受け、NOVAは、清算金の計算方法を一部改めました。ところが、解約後長期間にわたって清算金が支払われないという事態が発生しています。

2007年7月、この点を弁護団が質問したところ、NOVAは、解約件数が増加したことを理由に、清算金の支払いまでに2、3ヶ月かかると回答しました。ところが、実際のところ、8月に解約した受講生に対して年内の返還はできないと説明したり、代理人に対しても順番に処理をしているので、期限については答えられないとするなど、いつになったら支払われるのかが全く分かりません。そこで、今回のような裁判となりました。

買い増し事案

解約をめぐるトラブルには、最高裁判決でも解決されていない大きな問題があります。購入したレッスンポイントには、最長3年(ないし1年)の有効期限が設定されています。受講生が、当初のポイントの期限切れ前にポイントを買い増しすれば有効期限が延長になる、という勧誘を受けて、継続レッスンの契約をし、その後中途解約した場合、NOVAは、従前のポイントについてはもともとの有効期限が切れているとして、中途解約による払戻をしないという扱いをしているという問題です。

しかしながらNOVAは、実際の運用では、受講生が中途解約をすることなく受講を継続している間は、有効期間の経過を理由にポイントを失効させることはしません。この有効期限は、実質的に中途解約の際にのみ適用されるもので、中途解約権の行使を必要以上に制限するものであることは明らかです。しかも NOVAは、受講期間終了間際になって、約款上はそうなっていないにもかかわらず、未使用分のポイントを繰り越せるこという説明をして、買い増し契約を熱心に勧誘しているのです。当然、買い増し契約をすることによって、ポイントの買い増しの他に、従前のポイントを継続レッスン契約の有効期限まで持ち越すことについての合意が成立しているといえます。

そこで、今回の裁判では、支払いが遅れている精算金の他に、この従前のポイントについても中途解約による払戻を求めています。

中途解約権の不当な制限を許しません

語学教室や学習塾、エステティックサロン、パソコン教室といった特定継続的役務提供事業者との契約は、契約期間が長期にわたることが少なくない上、契約に基づいて提供される役務の内容が客観的に明確でなく、その効果も確実とはいえないことが多くあります。

そこで、役務の提供を受ける消費者が不測の不利益を被ることがないように、将来に向かって、契約を自由に解除することができなければなりません。NOVA との関係ではこの解除権が制限されていることになります。

消費者の利益を守るための自由な解除権の行使をめぐる今回の裁判にご注目下さい。

朝日・毎日・京都・読売の記事
2007年9月26日 朝日・毎日・京都・読売 夕刊

「まきえや」2007年秋号