まきえや

平和憲法を守る音楽と講演の集いのご案内

平和憲法を守る音楽と講演の集いのご案内

当事務所では、定期的に市民の皆様に向けて憲法の集いを行って参りました。今年は、盲目の中国笛奏者でありテノール歌手でもある楊雪元さんと、元「赤旗」「女性のひろば」の記者であり、現在はアメリカに拠点をおきながら精力的に活動しておられる薄井雅子さんのお二方による、「平和憲法を守る音楽と講演の集い」の企画をお届けいたします。

福田前首相辞任でも、海外派兵に固執

9月1日、福田前首相は、臨時国会を前にして突然辞任を表明しました。政権についてわずか1年、前任の安倍内閣に引き続いての政権投げ出しです。

福田前首相を辞任に追い込んだのは、お年寄りいじめの後期高齢者医療制度の問題など、様々な要因がありますが、中でも、自衛隊の海外派兵への批判は大きな一因です。

現在、海上自衛隊はインド洋でアメリカなどの艦船に給油を行っています。こうした日本の給油活動は、アメリカの戦争を支援するものに他ならず、平和主義を定めた憲法9条に反するものです。しかしながら、自衛隊の給油活動の根拠となる新テロ特措法案は来年1月に期限切れを迎えますが、与党は法案延長に必死です。

与党が追随するアメリカの軍事活動に対しては、世界中からも批判の声が上がっていますが、アメリカはイラクへの攻撃をやめようとしません。いったいアメリカという国は何を考え、アメリカ国内では何が起こっているのでしょうか。

アメリカ社会で何がおきているのか

今回皆様にお届けする講演は、そんなアメリカ社会への疑問にお答えするものです。講師の薄井雅子さんは、本年3月、『戦争熱症候群 傷つくアメリカ社会』を新日本出版社から上梓されました。薄井さんは、平和憲法を守る在米日本人の会の呼びかけ人でもあります。その薄井さんの目から見れば、戦争熱に浮かされているとしか思えないアメリカ社会、そして実は戦争によって深く傷ついていくアメリカの人々の問題が、家族・友人などの身近な人たちのエピソードを織り交ぜながらレポートされます。

「きょうのバーゲンセール」と同じ感覚で「きょうの戦況、戦死者」の情報がメディアに流れるアメリカの生活。政治・軍隊とメディアが一体となって、戦争を日常化しているのです。

イラクに派遣されている兵士の問題もあります。アメリカは徴兵制をやめ、志願制となっていますが、志願者の多くは少数民族や移民、シングルマザー、低所得層出身の若者です。国を守る、というより、安定した収入や教育の資金を得るという切実な思いで軍隊に入っているのです。

本書のレポートで何より驚かされるのが、戦争請負業者の存在です。現在、アメリカには戦争請負業を行う民間企業が多数存在し、世界中から「契約社員」を募集し、彼らを傭兵としてイラクに「派遣」しているというのです。本書の帯に書かれた「戦争はやくざな金もうけだ」という言葉のリアルな内容に背筋が凍りつく思いがします。

本講演では、著書の内容に加え、スライド等も利用して、より具体的にアメリカ社会の実情をお話いただけることとなっています。政治とメディアの依存問題、志願兵の背景にある貧困問題などは、日本の問題に通じるところがあります。アメリカ在住の著者に直接お話いただける貴重な機会ですので、ぜひご参加下さいますようお願いいたします。

中国笛とテノールの調べ

さて、今回の企画では、もうひと方、楊雪元さんをお招きしています。楊雪元さんは、様々なコンクールで賞を受賞し、精力的にコンサート活動を行っておられる方です。本講演でも、すばらしい演奏・歌声を披露していただけるはずです。ぜひ皆様に、楊雪元さんの奏でる妙なる調べも楽しんでいただきたいと思います。

「まきえや」2008年秋号