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最高裁で逆転勝訴 丹後リゾート公園事件

[事件報告]

最高裁で逆転勝訴 丹後リゾート公園事件

奥村一彦弁護士 奥村一彦

最高裁で逆転!

2008年1月18日、最高裁は、丹後リゾート公園事件で、宮津市が行った土地開発公社に対する土地先行取得の委託契約につき、この委託契約が私法上無効かどうか、無効でないにしても公社からの購入が適正かどうか検討し、もし無効あるいは不適正な場合、土地購入のための市の公金支出命令は違法になるとして、大阪高等裁判所に差し戻しました。京都地裁、大阪高裁と敗訴しましたが、ついに逆転勝訴し、宮津市の違法公金支出を追及できるスタートに漸くたどり着きました。この間、6年という歳月が流れました。

丹後リゾート公園事件とは?

丹後リゾート公園というのは、京都府の公園計画事業で、宮津市の天橋立のある海岸から内陸に大規模公園を建設し、その中にさまざまな大型集客施設を建設するという計画でした。もっともこの計画自体はバブルの崩壊とともに破綻し、今は縮小されたものが残っているだけです。

事件は、この公園計画をめぐり、まだ内々の計画段階で情報を得たK氏が、宮津市に対し、公園外の土地の買取を強要したというものです。京都府の事業であるにもかかわらず、宮津市はこれに屈し、1990(平成2)年、不動産協同組合を急遽設立して、公園外の10筆の土地を約3500万円で買わせます。ところがこの売買が91年、国土利用法違反で刑事事件となりこれらの土地はいったんK氏に戻ります。それを宮津市は、再び96年に上記の10筆とさらに5筆を加えた15筆の土地を、K氏から土地開発公社に約3900万円で取得するよう委託契約を締結しました。その際の理由は、他の地権者が、代替地を求めているからというものでした。

しかし、それらの土地はばらばらに存在し、公道にも面していないものもあり、利用価値はほとんどゼロに近いものがほとんどでした。また購入に際しては、竹木の補償をしていますが、補償対象となる植林がされていた事実はありませんでした。しかも、京都府の定めた補償額の5倍を超える金額を付けていたのです。

第一審、二審はどうして敗訴した?

敗訴理由は、土地の先行取得を土地開発公社に委託した場合、市が公社から再購入するのは義務であり、高額であるとか不要なものの購入とかは理由にならない、市が委託したのだから損害など考えられないという、いたって乱暴で味も素っ気もない理由からです。このような理由で税金の無駄遣いが許されるのか!市民は誰も納得できないところでしょう。最高裁はこれを断罪したのです。代替地のために購入を指示する委託契約が、市のもつ行政上の裁量権を逸脱・濫用してなされた場合は私法上無効であるから、市の買い取り義務はない、よって再購入してはならない。また、仮に委託契約が私法上無効でないとしても、その土地の再購入が市の予算執行の適正確保上、問題を生じる場合、これを執行すると違法となる、と明確に示しました。

最高裁判決の意義

最高裁判決は、市が公社に委託して先行的に土地を取得させる手法に厳しく釘を刺したと言えるでしょう。これまで、自治体は将来、土地が必要となる場合に、自らは購入せず、公社に買うようまず委託します。それを受けて公社が買います。その後、自治体において、その土地が必要となった時点で公社から再購入するのですが、この公社からの再購入について「宮津市長である被告としては、公益的自然林整備事業のために本件15筆を取得する必要があろうとなかろうと、上記の買取金額がその時点における本件15筆の取引価格としては不当に高額であろうとなかろうと… 買い取るほかない」(第一審判決)いとされていたのです。

しかし、最高裁は、(1)そもそも委託契約をした時点で、その委託契約が市長の裁量権を濫用・逸脱して行われ、地方自治法にいう財政健全化の趣旨を没却する結果となる特段の事情が認められれば、委託契約自体が私法上無効となる。そうすれば、市は買取義務がなく、購入代金も支払う必要がない。(2)仮に委託契約が私法上は無効とならない場合でも、委託契約が著しく合理性を欠き、予算執行の適正確保の見地から看過し得ない問題が生じる場合は、これを顧慮しないで漫然と公社と再購入契約を締結した場合、違法となる。これらの2点を基準として示しました。

このように、市が公社に取得を委託したものであっても、公社からの買い取り義務を免除することを一定程度拡大したと言えます。バブル期に大量の土地を買い込んで苦しんでいる自治体(これを塩漬け土地といいます)が全国にあります。これらの自治体を救済する宝刀として活躍するかも知れません。また、これまでは、破綻が明らかになった場合でもさらなる税金をつぎ込んで当面は住民には知られないようにする不正なやり方をチェックできるようになったわけです。

今後は?

今後は、大阪高等裁判所で再度審理されますが、元宮津市長の巨額の税金の無駄遣いの責任が明らかとなるでしょう。長年追及を続けてきた馬谷さんや福井元議員さん、地元の応援してくれている皆さんともどもまずは最高裁で逆転したことを喜んでいます。そして高等裁判所でははじめての勝訴判決を取れるようがんばります。

宮津市のこの例のように、市長が特定の人物の脅しに屈したり、通じ合ったりして税金を私的に使う不正が後を絶ちません。このようなことが起きないよう、監視を続けていきます。

丹後リゾート公園区域と宮津市が不当に購入したバラバラで利用価値のない土地

「まきえや」2008年春号