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離婚のその後

離婚のその後

大島麻子弁護士 大島麻子

弁護士が扱う事件の中で、離婚事件というのは、それなりの割合を占めるものです。弁護士は普通、調停や裁判という法的手続きについて受任しますから、調停や裁判で離婚が成立すれば弁護士の仕事は終わりです。ただ、現実には、法律的に離婚が成立したからといって、夫婦間の問題がすべて解決するわけではありません。

どうやって分ける?

離婚の時に、夫婦でつくってきた財産を分けることがよくあります。これを財産分与といいますが、調停や裁判の中で決められるのは、貯金や車など、財産としての価値の高いものに限られるのが普通です。そのほかの日用品などは当事者で話し合って分けるしかないのですが、これがなかなか大変です。離婚後は互いの連絡先を知られたくないということもあるので、場合によっては弁護士が仲介して話し合いをまとめることがあります。

洋服など、どちらの物かがはっきりしている物はよいのですが、共有して使っていた物で、特に思い入れのある物は取り合いになってしまいます。逆に、どちらも引き取りたくないという物もあります。以前に、ひな人形の押し付け合いになったことがあります。どちらも欲しくないのであれば、粗大ごみか何かで処分するしかないのですが、それはそれで「たたられそうで怖い」というのです。最終的には、専門の業者にひきとってもらうことで何とか解決しました。

どうやって受け取る?

弁護士が扱うケースでは、離婚が成立する前に、夫婦の一方が自宅を出て別居していることが普通です。自宅に残してきた荷物をどう引き取るか、も実は難問です。かつての我が家とはいえ、離婚が成立した後は、「他人の家」ですから、勝手に入るわけにはいきません。相手の了解を得て元の自宅に入る必要がありますが、当事者だけではトラブルになりそうな場合は、弁護士が立ち会うこともあります。多いときでは、引き取りの荷物の確認、引っ越し業者との見積もり、引っ越しと、3回に渡って立ち会ったこともあります。

もちろん、弁護士が立ち会ってもトラブルがさけられないこともあります。ある時は、相手の了解を得て依頼者とともに自宅に入らせてもらったところ、ある一室に依頼者の荷物が片っ端から放り込まれていて、呆然としたことがあります。

どうやって会わせる?

離婚すれば、夫婦は他人に戻りますが、子どもとの親子の関係は変わりません。個人的には、子どもにとって大切な親との関係は壊さない方がよいのではないかと思うのですが、相手と子どもとは絶対に会わせたくないという人もいます。離婚した相手とはもう関わりたくないという気持ちもわかるので、最終的にはご本人の判断にお任せすることになります。

ただ、子どもとの面会を離婚の条件とされることもあるので、この場合は、具体的な面会の条件を調整します。問題はお子さんがまだ小さくて、1人では面会に行けない場合です。誰かが付き添って会わせてあげる必要がありますが、当事者双方は会いたくないということが多いのです。代わりに親族に頼もうと思っても、離婚を巡るやりとりの中で、親族との関係も険悪となっていることもあります。仕方がないので、お二人が結婚式をあげた教会の神父さんにお願いして、付添と場所の提供をしてもらったこともありました。

どうやって変える?

日本では夫婦で同じ姓を名乗るのが原則ですので、結婚する時には、一方の配偶者が姓を変えます。離婚の時には、姓を変えた方の配偶者は、元の姓に戻るのが原則ですが、希望すれば結婚中の姓を名乗ることもできます。時々、離婚後に自分の姓を名乗るのは許せない、相手が旧姓に戻るのが離婚の条件だ、という方もいます。これも気持ちは分かるのですが、姓の問題はやはりその当事者本人の選択に任せるしかないものと思います。

問題はお子さんの姓です。日本では、離婚後はお母さんが子どもを引き取り、自分は旧姓に戻ることがよくあります。ただ、お子さんの姓は自動的にお母さんと同じになるわけではなく、結婚時の姓のままです。お子さんの姓を変えるためには、姓の変更を家庭裁判所に申し立てねばなりませんが、まず離婚の届け出をし、その後さらにお母さんの新しい戸籍が出来るのを待ってからでないと申し立ができないので、かなり時間と手間がかかるのです。離婚時にお子さんの姓も変えるというのは、特に珍しいことでもないのだから、離婚と一緒に手続きができないものかなあといつも思うところです。

このように、離婚というのは、法律を当てはめたらすぐに正解が出て解決、というわけにはいかないものです。私としては、離婚の後のいろいろな問題も含めて、依頼者が納得のいく解決となるようにお手伝いするのが弁護士の仕事だと思っています。

「まきえや」2008年春号