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違法な派遣切りを許さない!労働者11名がジヤトコを提訴

[事件報告]

違法な派遣切りを許さない!労働者11名がジヤトコを提訴

大河原 壽貴弁護士 大河原 壽貴

2009年10月7日、全日本造船機械労働組合三菱重工支部工作機械栗東分会に所属する労働者11名が、ジヤトコに対して、雇用の継続などを求めて京都地裁に提訴しました。

ジヤトコは、自動車の変速機にあたるオートマチック・トランスミッションの開発や製造を行っている会社で、京都には京都工場と八木工場があります。

ジヤトコ八木工場
ジヤトコ八木工場

違法な偽装請負

11名の原告らは、派遣元の会社であるプレミアラインとサーミット工業から、三菱自動車京都工場の敷地内にあるジヤトコの工場に派遣され、オートマチックの部品の製造や組立を行っていました。原告らは、早い人では2000年から三菱自動車京都工場でオートマチックの仕事を始めていますが、製造業への労働者派遣が解禁される2006年までは、いわゆる「業務請負」という形で仕事をしていました。しかしながら、その実態は、違法な「偽装請負」だったのです。

「業務請負」という場合、請負会社とそこで働く労働者は、注文主であるジヤトコ等から完全に独立して仕事をしなければなりません。ジヤトコの社員から指示を受けたり同じラインで共同して働いたりということになると、「請負」とは言えません。まさに、「請負」であると「偽装」して、実際は、禁止されている「労働者派遣」を行い続けていたのです。

そして、2006年に労働者派遣法が改悪されて、派遣が製造業に解禁されると、仕事の中身や職場の様子など、実態は何も変わらないのに、原告らの契約の形だけが、請負から派遣に切り替えられたのです。

派遣労働の実態

原告らは、派遣社員としてジヤトコで仕事をしていましたが、その仕事の中身は正社員と全く変わらないものでした。同じラインで製造や組立を行い、ラインでミスが出ると、正社員と派遣社員が一緒になって問題解決のための「なぜなぜ会議」を行っていました。また、業務成績がすぐれていたことから、派遣先であるジヤトコから、原告ら派遣社員に対して直接、金一封が支給されることもありました。

また、原告らに対しては、「ジヤトコの正社員になれるかも知れない」「みんな(派遣社員)を正社員にしたい」「3年間頑張ったらいいことあるからな」などと、頑張れば正社員になれるかのような話が折に触れてされていました。原告らは、それを聞いて、正社員が嫌がるようなきつい仕事にも耐えていたのです。

突然の派遣切り、解雇

2008年12月から2009年1月にかけて、ジヤトコは、契約上、派遣期間がその年の3月末まで残っていたにもかかわらず、原告らの労働者派遣契約を、契約途中で一方的に打ち切りました。それと同時に、派遣元のプレミアラインとサーミット工業も、やはり契約途中であるにもかかわらず、原告らを解雇したのです。

労働局の是正指導にも従わないジヤトコ

原告らのほとんどは、「偽装請負」の期間をあわせれば3年以上同じ仕事をしています。労働者派遣法では、同じ職種について3年以上派遣社員を使用してはいけないことになっており、3年を経過したときには、その派遣社員に直接雇用を申し入れなければならないとされています。ですので、ジヤトコはこの期間制限に違反している上、原告らに対して直接雇用を申し入れなければならなかったはずなのです。

この点について、原告らは組合とともに、京都労働局へ是正指導を行うよう申告を行いました。そして、調査の結果、京都労働局は、ジヤトコに対して、原告らの雇用の安定を図るよう指導したのです。

ところが、これに対してジヤトコは、偽装請負であったことや労働者派遣法の期間制限に違反していたことを認めながら、原告らの直接雇用を拒否しました。その後行われた、京都府労働委員会のあっせん手続でも、ジヤトコは原告らの直接雇用を拒否することの一点張りでした。

自ら法違反を認めながら、開き直って直接雇用を拒否するようなことが許されてはなりません。原告ら、そして、全国で派遣切りにあっている派遣労働者の雇用を守るたたかいへのご支援をお願いします。

「まきえや」2009年秋号