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上高野葬儀場建築審査請求事件 ~風致地区での脱法的建設は許されない~

[事件報告]

上高野葬儀場建築審査請求事件 ~風致地区での脱法的建設は許されない~

飯田 昭弁護士 飯田 昭

突如始まった葬儀場建設工事

左京区・上高野の白川通り沿いの閑静な住宅・店舗地域に2009年5月20日より、葬儀場計画であることを周辺住民に秘密にしたまま、突然工事が始まりました。住民が葬儀場の建設であることを知ったのは、京都市建築指導課に問い合わせて初めて判ったものです。

都市計画法では、建物の用途による規制をしており、例えばパチンコ店などは、この地域では建てられません。ところが、「葬儀場」については用途規制が不備なため、「集会場」の名目で閑静な住居地域でも建てられてしまいます。これに対し、下鴨地域での葬儀場問題を契機に京都市は、「葬祭場の建築等に関する指導要綱」を策定し、まだまだ不十分ながら、葬祭場を新築する事業主に対し、市長との事前協議義務(5条)、標識の設置義務(6条)、周辺関係住民等への周知、協定締結等の義務(7条)、さらには隣地境界線から葬祭場の外壁までの距離を4メートル以上とすること等の建築計画上の措置義務(8条)、管理運営上の措置義務(9条)などの義務を課しています。

ところが、「指導要綱」は、葬儀場の用途に供する床面積が100・以下の場合には適用除外になっています。これは、営利を目的とした葬儀場がこのような小規模な場所で継続的に行われることまでは想定していなかったためです。

今般の葬儀場計画は、延べ面積を99.73・と記載することにより民間確認機関で建築確認を受け、「指導要綱」を一切スルー(脱法)して、隣接住宅地からわずか2メートル数十センチしか離さないで、営利を目的とした葬儀場営業が「やわらぎ」という業者により計画されたものです。

地域ぐるみの住民運動

本件葬儀場の如き脱法的葬儀場が、近隣家屋に近接して認められるとすれば、全ての市民は、普通に隣家が売却されただけで、突然営利を目的とした葬儀場に転用される危険にさらされることになってしまいます。これでは、平穏な精神生活を送る権利が奪われることにつながりかねません。

地域住民は、「宝が池周辺の環境を守る会」を結成して立ち上がり、2009年6月25日、京都市議会議長に対して、本件葬儀場建設について、・「京都市葬祭場の建築等に関する指導要綱」を葬儀場の用途に供する床面積が100・以下のものについても適用の対象とすること、・周辺住民への十分な説明・完全な合意が出来るまで、建築の延期をするよう行政指導を行うこと、を求めた請願を行い、7月9日、同請願は、全会派一致で採択されました(京都新聞記事参照)。葬儀場計画反対署名は既に7500筆を超えています。

建築審査請求の取り組みと今後の運動

住民・建築士との検討の結果、異様に突き出た庇の下を葬儀場の用途に使用するにもかかわらず、床面積に算入していないことが判明し、実際には100・を大きく超え、指導要綱に基づけば、抜本的に設計を見なおさなければ建たないことが判明しました。そこで、2009年8月4日、地域住民204名が、建築確認の取消を求め京都市建築審査会に審査請求書を提出しました。

8月11日には京都会館会議室で公開口頭審理が行われ、9月16日には現場検証が大勢の住民の注視の中で行われました。

現場検証

京都市建築審査会は、9月24日、「建築物の形状からは庇の下が葬儀場の用途に供するものと断定することはできない」とのあまりにも形式的な理屈で、建築確認の取消請求を棄却してしまいました。

運動は第2ラウンドに入ります。

現在、抜本的解決を求めた住民運動が展開されています。

地域の住環境を守るとともに、葬儀場規制条例の制定、さらには都市計画法の改正という将来展望もふまえ、支援していく決意です。

京都新聞の記事

「まきえや」2009年秋号