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在日コリアンに対する差別を許さない

[事件報告]

在日コリアンに対する差別を許さない
~京都朝鮮学校に対する右翼団体の違法行為に毅然とした対応を~

谷 文彰弁護士 谷 文彰

始まった差別

「ここは北朝鮮のスパイ養成機関」、「スパイの子どもやんけ」、「朝鮮学校、こんなものはぶっ壊せ」-2009年12月4日、京都市南区にある京都朝鮮第一初級学校の前で、突如、耳を疑うような内容の大音声の街宣が始まりました。彼らは旗や幟を持ち、拡声器を用いて「この門を開けろ」などと約1時間に亘り大声でシュプレヒコールを繰り返すなどしました。

学校関係者は対応に追われ、授業を行うことも出来ず、周辺一体は騒然となり、警察職員が多数出動する騒ぎとなりました。

エスカレートする活動

このような違法活動を行ったのは、在特会(在日特権を許さない市民の会)と主権回復を目指す会を中心とした人々です。彼らは会則上「いわゆる在日特権を無くすこと」を目標として掲げており、その大きな特徴はインターネットを利用することにあります。

彼らの活動は、概ね、・インターネットで街宣等を予告する、・街宣を行い、その様子をビデオ撮影する、・街宣等の様子をインターネット上にアップする、というもので、違法な街宣活動の様子は現在でもインターネット上に流され続けています。このように自分たちの活動をインターネットを通して誇示することで、支持者と支援を集めようとしているのです。

在特会らの活動はその後もエスカレートしており、2010年1月14日にも朝鮮学校の前で差別的な街宣を行い、2月10日には、彼らの行動を非難する声明を出した京都弁護士会にも押しかけ、当事務所の村井豊明京都弁護士会長(当時)を名指しで批判し、「土下座せよ!」などと罵倒しました。さらに、3月には在日コリアンのための高齢者施設などで街宣を行い、4月14日には徳島市の県教組事務所に侵入し拡声器を用いて怒号・脅迫を繰り返しました。

子どもたちの心に刻まれた恐怖

このような差別的街宣等が、在日コリアン社会に与えた衝撃は極めて大きいものがありますが、とりわけ、朝鮮学校の子どもたちへの影響は量り知れません。街宣活動に直接さらされ怒号や罵声を浴びた子どもたちは、甚大な恐怖を味わい、深い心の傷を負ったのです。この日を境に子どもが腹痛や頭痛を訴えたり夜泣きをしたりするようになり、両親に対し「学校には行きたくない」などと言う子も出てきています。

弁護団の結成

このような在特会らの違法行為に対して多くの弁護士が結集し、100名近くの弁護団が結成されました。当事務所からは、森川、飯田、藤澤、糸瀬、大河原、大島、藤井、谷の各弁護士が参加しています。

弁護団の活動もあり、2010年3月24日、京都地方裁判所は、朝鮮学校周辺での違法な街宣活動を禁止する旨の仮処分命令を下しました。しかし、そのわずか4日後、在特会らは再び街宣活動を行い、仮処分命令を無視して学校からわずか100メートルの地点まで接近したのです。

裁判へのご支援をお願いします

弁護団は、2010年6月28日、街宣活動の禁止や損害賠償を求めて京都地方裁判所に訴えを提起しました。また、京都府警による在特会幹部らの逮捕に向けた捜査活動も行われ、8月10日、在特会の幹部らが威力業務妨害容疑等で逮捕されるに至りました。弁護団が警察・検察に働きかけを続けた成果と言えます。

言うまでもなく、言論の自由・表現の自由は崇高な権利ですが、在特会らの活動は許容される範囲を完全に逸脱しています。このような違法活動に毅然と立ち向かい、マイノリティに対する差別を防止して権利を護ると同時に、子どもたちが安心して勉強に励める環境を護ることも極めて重要であるとの考えに立ち、弁護団は日々活動を続けています。また、裁判を支援する会も結成に向けて準備が進められており、傍聴席を埋めるための活動やカンパの募集などを行っていく予定です。

在特会の幹部らが逮捕され、民事裁判も始まりました。しかし、在特会らの存続基盤は、過激な活動を行うことによって集まる支持者と支援であり、今後もどのような活動を行うか予断を許しません。みなさまの熱いご支援を賜りますよう、よろしくお願い致します。

2009年12月18日 東京新聞
2009年12月18日 東京新聞
「まきえや」2010年秋号