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欠陥住宅+不適切排水路工事 ~業者と京都市の連帯責任を認める判決~

[事件報告]

欠陥住宅+不適切排水路工事 ~業者と京都市の連帯責任を認める判決~

飯田 昭弁護士 飯田 昭

事件の概要と京都地裁判決(2007年10月18日判決)

伏見区の田圃を造成して建築・販売(2002年1月~3月)された住宅の住民11世帯が、業者(信和住宅)と、住宅に隣接して排水路工事(2003年3月~5月)を行った京都市の双方を被告として総額3億3600万円の損害賠償を求めていた裁判で、京都地裁は2007年10月18日、原告全員について業者の責任を認めるとともに、9世帯については京都市の連帯責任を認め、総額8200万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。

業者は軟弱な地盤の改良を十分に行わないまま住宅を建設、販売しており、販売直後から不具合が生じ始めていました。そこへ、京都市が隣接して排水路工事を行ったため、工事が行われた側(田圃側)への擁壁及び住宅の傾き、ひび割れが激しくなり、工事終了後も進行していました。

そこで、住民は業者に対して欠陥住宅問題として瑕疵担保ないし不法行為責任の追及をするとともに、京都市に対しては軟弱な地盤であるにもかかわらず、十分な対策を行うことを怠ったまま工事を行ったとして、連帯して不法行為責任を追及しました。これに対し、業者は「工事が問題で京都市のみに責任がある」と主張し、京都市は「欠陥住宅なのだから業者のみに責任がある」と主張しました。

裁判は土木・建築の専門家(タウン測量設計・幸陶一氏)と協力・共同して進め、判決では、「信和住宅が軟弱な地盤の状態を把握しないまま各建物を建築したため、不同沈下を起こし、損傷を受けていたところ、更に京都市がウオータージェット工法により近接して排水路改良工事を施工したため、各建物の損傷が拡大した」として、信和に対しては全世帯に対し不法行為責任を認めました。そして、うち9世帯については、軟弱地盤であるにもかかわらず、採用したウオータージェット工法は不適切であったとして、京都市の連帯責任を認めました。

被害の回復方法については、ジャッキアップによる薬液注入の方法による補修額相当の損害や慰謝料(10戸につき各150万、1戸のみ50万)、修復中の住居費用(各30万)、専門家調査費用、弁護士費用は認められましたが、建替による地盤改良までは認められませんでした。

控訴審(大阪高裁)の概要と争点

一審判決に対しては、住民側、信和住宅、京都市がそれぞれが控訴し、専門家の意見書を提出しました。

信和住宅は裁判途中で競売になった一戸を薬液注入工法で修復して、「369万で全面補修できる」と主張・立証してきました。

これに対しては、薬液注入工法で表層を水平化できたとしても、軟弱地盤が改善されていない以上、一定以上の荷重がかかれば、再び不同沈下を起こすことを主張・立証しました。

審理は、現地進行協議と、薬液注入工法に関する信和側専門家証人の証人尋問が行われて終結しました。その後、和解協議が何度か繰り返されましたが、結局、京都市が譲歩を示さなかっため、決裂し、判決に至ったものです。

大阪高裁2009年12月17日判決の概要

大阪高裁判決は、業者と信和の連帯責任を認めた原審を維持したうえ、競売になった一戸を除く10名のうち9名に各約190万円、1名に約290万円の追加支払い(総額約1990万円の増額)を命じました。

原審を損害額において増額した最大の理由は、ジャッキアップとこれにともなう基礎の補修費用として、各戸あたり原審の倍額の約532万円を認容したことです。他方、信和住宅の主張する薬液注入工法は表層部より下の地盤は改良されないことから不適切であると退けました。

長い道のりでしたが、あきらめずに、最後までたたかってよかったというのが、住民の皆さんの感想でした。

担当弁護士 飯田 昭
秋山 健司

読売新聞の記事
2009年12月18日読売新聞

「まきえや」2010年春号