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京都の山 標高ベスト10を登る 第8回 天狗峠

京都の山 標高ベスト10を登る

第8回 天狗峠(928m)
浅野 則明弁護士 浅野 則明

京都府下の奥深い山-天狗峠

今回は、京都府下第9峰である天狗峠を紹介します。この山は、地形図では「天狗岳」と記載されていますが、昭文社のエリアマップ「京都北山2」では、「天狗峠」と記されています。一般的には、天狗峠と呼ばれることが多いと思われます。この北山(特に芦生研究林付近)では、峠という言葉は山頂を意味することがあり、この天狗峠も山頂のことです。

天狗峠の位置する場所は、前回紹介した三国岳(959m)と小野村割岳(931.7m)の間にあります。三国岳が朽木村(現高島市)と美山町(現南丹市)と京都市(左京区)との境にあり、小野村割岳が美山町(現南丹市)にあることからすると、天狗峠は美山町(現南丹市)に入ります。

この山も、三国岳と同様、奥深い山で、京都府下でも最も登りにくい山のひとつであると言われてきました。大正15年9月三高山岳部のパーティが三度も失敗した天狗岳に登頂した記録(三高山岳部報告)があります(内田嘉弘著「京都丹波の山(下)」163頁)。

「6日久多入り。天狗岳へは、これまで能見から尾根通しに2回計画したが、いずれも失敗したので、今回は久多から三国岳に登り縦走する計画。三国岳へ登る岩屋谷と滝谷の出合の破れ小屋に泊まる。

7日、天気がよくないので停滞していると炭焼きの男が二人やってきた。『天狗岳』に登ると言ったら驚いて、『そんな靴なんぞでは川は渡れんから駄目だ』という。それでも大きな滝や天狗岩という岩壁があることなど、谷の様子を教え、途中まで案内してくれた。この偵察で三国岳から天狗岳への縦走は取り止め、滝谷から挑むことに変更。

8日、快晴。滝谷を詰め猛烈な薮漕ぎになったが、突如として切り開きに出た。ついに演習林の境界に達した。切り倒されたままの木が前途を阻む中を進み、午後1時10分、天狗岳の頂上とおぼしき地点に着いた。展望はよくないが、二本杉の古木が10間ほど隔てて聳えていた。そばの立木を削って墨で林界測量者の名が書いてあった。」

このように奥深い山なのですが、現在では、アクセスルートは、(1)小野村割岳から尾根伝いに縦走してくるコースと、(2)三国岳から縦走してくるルートがあります。さらに、(3)久多川を遡り岩屋谷と滝谷との分岐から滝谷沿いの林道終点から西尾根に取り付き三国岳からの尾根に合流してくるルート(三高パーティが登ったルート)があります。

私が登ったことのあるルートは(1)と(2)なので、これを紹介します。(1)はバスでも可能ですが、かなりのロングランとなるので健脚者でないと難しいルートです。(2)は前回紹介した三国岳に登るルートからの縦走なので、バスなどの公共交通機関の便はなく、マイカーによるアプローチとなります。

小野村割岳から縦走して天狗峠へ

昭文社のエリアマップ「京都北山2」を見ると、小野村割岳から尾根伝いに、P951-P927-P921を経て、天狗峠に至るルートは破線になっています。エリアマップの破線は、登山道のうち、難路を意味しています。しかも、時間が12時間と書いてあるので驚きました。もちろん、これは印刷ミスのようで(あるいは昔は困難な藪こぎがあったのかも知れません)、実際には3時間程度です。

小野村割岳まではすでに紹介したルートですので割愛します。小野村割岳から東方向に見える小ピーク(P951)をめざします。山頂から右手に続く尾根に進みます。テープがあるのでこれを目印に進みます。すると、台杉(アシウスギ)が点在しているのは目に入ってきます。これを観察しながら進むと、少し下りになるところで、右手の方向に道が回っていますので注意して下さい。再び道は登りとなりながらも、点在する台杉を後にします。やがて、道が少し下りになったところで、今度は左手に分岐します(右にそのまま進むとP951に至り、コウンド谷に下るルートになります)。この分岐を間違わないように注意して下さい。登山道は、左に大きくカーブして北東に向かうことになりますが、尾根伝いの道なので、尾根を外さないように注意すれば難しいことではありません。

P951
P951

この尾根道にも、台杉が点在しています。また、所々では東方面が開けた場所があり、ここからはすぐ手前に経ヶ岳やイチゴ谷山、そしてその向こうには武奈ヶ岳などの比良連山が見渡すことができます。やがて、登山道が少し下り、右手が伐採されたような場所に出て、ここを登るとP927のある尾根に出ます。P927地点は、登った箇所より少し右手にあります。この尾根はほぼ真っ直ぐ北上しているので、これに乗って進みます。数回小さなアップダウンを繰り返しながら進むと、P921を通過するのですが、登山道は左に巻き道になっています。このあたりから、ブナの巨樹も見られるようになります。

台杉1
台杉1
台杉2
台杉2
台杉3
台杉3
P927の台杉
P927の台杉
P921
P921
ブナの巨樹とともに
ブナの巨樹とともに

やがて三国岳からの縦走路(尾根)と合流する地点に出合います。合流地点には大きな台杉があるので目印になります。右手に行けば三国岳に向かいますが、ここでは左手に進むことになります。天狗峠に至る中間地点に、かなり巨大な台杉があります。これをやり過ごして、少し登っていくと原生林に囲まれた天狗峠の山頂に到着します。

天狗峠直下の巨大な台杉1
天狗峠直下の巨大な台杉1
天狗峠直下の巨大な台杉2
天狗峠直下の巨大な台杉2

天狗峠山頂は静かな憩いの場

天狗峠の山頂は、あまり山頂らしくありません。よく周囲を見渡すと、山頂であることが分かりますが、それほど分かりにくくなっています。独標ですが、三角点もありません。それでも、山頂の樹木には天狗峠の山頂を示すプレートがいくつか架けられています。山頂は樹木に覆われていて展望はほとんどありませんが、北方向が少し開けていて、三国峠や百里ヶ岳を垣間見ることができます。

天狗峠にて
天狗峠にて
天狗峠山頂のプレート
天狗峠山頂のプレート

しかし、実は、この山頂から少し西の斜面に下ったところに、ブナの巨樹がたくさん林立していて、何とも言えないほど素晴らしい斜面が開けています。こんな場所があるんだとしみじみと感じ入り、暫し時間を忘れて、シャッターを切り、映像を保存しました。私のお気に入りの場所のひとつになっています。訪れる人も少ない静かな山中で昼ご飯を食べ、食後のコーヒーを飲んで、瞑想に耽るという、ある意味では至福のときを過ごすことができます。

天狗峠西側斜面のブナ
天狗峠西側斜面のブナ
天狗峠西側斜面1
天狗峠西側斜面1
天狗峠西側斜面2
天狗峠西側斜面2

三国岳からの縦走

今度は、三国岳からの縦走を紹介します。三国岳への道は前回紹介しましたので割愛します。

三国岳山頂から南へ少し戻り、岩屋谷からの登山道と南の尾根に延びる道との分岐点に出ます。ここから南尾根に下ることになります。尾根道には所々に目印のテープがあるので、確認しながら進みます。尾根道にはブナが点在していて、気持ちのよい道が続きます。やがて、伐採された場所に出ます。ここからは東方向の展望が開け、正面に経ヶ岳、その向こうに武奈ヶ岳の姿を見ることができます。

手前に経ヶ岳、向こうに武奈ヶ岳(P936付近から)
手前に経ヶ岳、向こうに武奈ヶ岳(P936付近から)

すぐにP936の小ピークに至りますが、ここから少し下ると踏み跡が少し不鮮明になっており、しかも右手にカーブしているので注意しなければなりません。さらにアップダウンしながら進むと左に直角に曲がる箇所があり、また次のピークでは右に曲がることになります。しかし、尾根道を外さないように注意すれば問題はありません。やがて、小野村割岳からの縦走路との合流地点で出合います。あとは右手の道を天狗峠まで進むことになります。

帰途は滝谷へ下る

さて、帰り道は往復ではおもしろくないので、今回はバリュエーションルートを取ることにしました。天狗峠から三国岳への分岐点まで戻り、ここから南へ延びる尾根道を進みます。つまり、小野村割岳からの縦走路を進むことになります。数回のアップダウンを繰り返しながら、P921を巻きながら進み、P927の四角柱の石標があるところまでやってきます。この小ピークの東にあるコル(鞍部)から滝谷の源頭付近をめざして、斜面を滑り降ります。道がないので少し不安を感じながらも、どんどんと下っていくと、小さな沢に出合います。この沢に沿って下っていくと、沢は次第に大きくなり、二俣に出合います。

手三国岳分岐点
三国岳分岐点

この二俣になってからは、右岸にはっきりとして山道が現れてきて、登りになっています。目印のテープも所々についています。少し高巻きになりながら進むと、右手に下の谷底に二段の滝が見えてきます。これが馬尾の滝と呼ばれている滝のようです。さらに、高巻きの道が下りになり、一気に谷底近くまで降りてくると、落差のある立派な滝は現れます。これが一の滝と呼ばれているようです。この滝では滝壺の近くまで降りていくことができます。これらの滝があることから、この谷は滝谷と呼ばれているようです。一の滝からは、滝谷を右岸、左岸と渡渉しながら進むと、やがて林道に抜け、岩屋谷との分岐まで戻ることができます。

一の滝(落差約30m)
一の滝(落差約30m)

【コースタイム】

  • (1) 下の町バス停(70分)林道終点(15分)▲小野村割岳(40分)P951(40分)P927(30分)P921(30分)三国岳分岐(10分)天狗峠(10分)三国岳分岐(30分)P921(30分)P927(30分)P951(30分)▲小野村割岳(70分)下の町バス停(7時間15分)
  • (2) 岩屋谷・滝谷出合(20分)一の岩屋(80分)▲三国岳(45分)P936(45分)天狗峠分岐(10分)天狗峠(45分)P927(70分)二俣出合(15分)馬尾の滝(5分)一の滝(40分)滝谷・岩屋谷出合(6時間15分)

これまでの登山履歴

(1)2004.10.17下の町バス停-林道終点-▲小野村割岳-P951-P927-P921-三国岳分岐-天狗岳-三国岳分岐-P921-P927-P951-▲小野村割岳-林道終点-下の町バス停
(2)2004.12.18岩屋谷・滝谷出合-京都府立大学演習林管理舎-一の岩屋-二の岩屋-三の岩屋-大杉-▲三国岳山頂-P936-天狗峠分岐-天狗峠-P927-二俣出合-馬尾の滝-一の滝-滝谷口-滝谷・岩屋谷出合
(3)2006.10.9下の町バス停-林道終点-▲小野村割岳-P951-P927-P921-三国岳分岐-天狗岳-三国岳分岐-P921-P927-P951-▲小野村割岳-林道終点-下の町バス停
「まきえや」2010年春号