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アスベストによる健康破壊 国とメーカーを相手に損害賠償請求、6月提訴

[事件報告]

アスベストによる健康破壊 国とメーカーを相手に損害賠償請求、6月提訴

村山 晃弁護士 村山 晃

はじまったアスベストとの闘い

今、私たちは全京都建築労働組合(京建労)と一緒になって新しい裁判を提起しようとしています。それは、建築に携わる人たちが長年吸引し続けてきた「アスベスト」による健康破壊との闘いです。

建築現場で多用されてきたアスベストは、発がん性があり、それを吸引すると肺がんなど、重い肺の病気にかかるのです。しかもたちが悪いのは、すぐには発症せず、長いものだと30年・40年という潜伏期間があるのです。だからなかなか自分の病気がアスベストによるものかどうか分かりにくいという特徴まであるのです。

早くから分かっていた危険性

アスベストは、かって「奇跡の鉱物」と言われ「安価」で「耐火性」に優れていることから重宝されてきた歴史を持っています。しかし、同時に健康に有害な物質であることも戦前から明らかになっていました。特に、多く使われるようになってから、諸外国では、アスベストの被害が広がり、肺がんにかかるリスクの大きいことが1950年から1960年代にかけて、明らかにされてきていたのです。そして、諸外国では、次第に使用規制を強め、1980年代に入って、使用禁止にしてきたのです。

しかし、日本は、逆に、1990年に、第2の消費のピークを迎えています。それは、国と産業界が一体となって、安価なことから、代替品の開発を怠り、アスベストへの依存を強めてきたためです。そのため、被害は広がり、今、多くの患者が現れてきているのです。被害者総数は、数十万人に達するとも言われています。

原発と瓜二つ

こうしてみてきますと、「アスベスト」は、放射能に良く似ているとも言えます。毎日報道される東京電力の原子力発電所事故について、誰もが大きな不安を抱えています。姿を見せない放射線は、その影響が分かりにくく、被害の予測が難しいのですが、最大の特徴は、何よりもその与える被害がとてつもなく大きいことと、一過性ではなく将来に大きな影響を与え続けることにあります。そして、人間の力ではコントロールできない領域に踏み込んでいることも大きな特徴でしょう。

にもかかわらず、国と産業界は、一体になって、原発を推進してきました。

原発の安全神話が崩れた時、「想定外」という言葉がよく使われました。もちろん、このような事故は、想定内のことでした。その時の準備が出来ていないだけのことです。それをしようとすると、とてつもなく費用がかかり、「原発はローコスト」と言って開発することが出来なくなるためなのです。

さらに広がる被害

安価な開発ほど大きな被害を生むことは、これまでの歴史が繰り返し教えてきたことでした。そして、アスベストは、まさにその象徴的な物質でした。そして今被害が顕在化してきているのです。

建築に従事していた多くの人たちは、今、その不安と闘っています。そして、今なお、アスベストを使った建物はあちこちに林立しているのですから、とりわけ解体作業などの時には、大量のアスベストが空中に飛散することとなります。

なお進行形で起こり続けている事件なのです。

1日も早い完全勝利と救済を

この6月、京都地裁では十数名の大工さんや左官屋さんが原告となって、国と建材メーカーを相手に損害賠償請求訴訟を起こします。今、京建労では、そして弁護団も、多くの被害者の人に一人でも多く、この裁判への参加を訴えています。被害者の皆さんは、ご高齢で、救済にこれ以上の時間を費やすことは出来ません。

国とメーカーが、その責任を認め、被害者の救済と、今後アスベストによる被害の拡大を防ぐこと。早期決着を目指し、いよいよその闘いが始まります。

京都建設アスベスト訴訟団結式

「まきえや」2011年春号