あなたのために全力で 暮らしと人権を守って48年 京都最大の法律事務所(弁護士19人、事務スタッフ25人) 法律でお悩みの方はお気軽にご相談ください。0120-454-489

携帯電話解約料のぼったくりをやめさせよう

[事件報告]

携帯電話解約料のぼったくりをやめさせよう

糸瀬 美保弁護士 糸瀬 美保

携帯電話の解約には9,975円かかることをご存じですか?

社団法人電気通信事業者協会の統計によれば、2011年3月末の日本における携帯電話の契約数は、約1億2,000件にも上ります。まさに、国民1人に1個の計算になります。

NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクといった大手携帯電話会社との契約では、ドコモの「ファミ割MAX50」「ひとりでも割50」、auの「誰でも割」、ソフトバンクの「ホワイトプランN」といった2年間の定期契約について、契約期間中に解約した場合、9,975円(消費税込み)の解約金が徴収されることになっています。

しかも、契約は2年ごとに自動更新されることになっているため、例えば、2年6ヶ月目に携帯電話を解約する場合も、9,975円の解約料がかかるのです。

解約料は不当に利用者を囲い込むものであり、消費者契約法違反です

ところで、2006年10月に導入されたMNP(モバイル・ナンバー・ポータビリティ)によって、電話番号を変更することなく携帯電話会社を変更できるようになりました。MNPの趣旨は、消費者が携帯電話各社を比較検討し、電話番号の変更を気にすることなく携帯電話会社を選択することの自由を確保し、それを通じた自由な競争を促進することにあると考えられています。

しかしながら、携帯電話を解約したり、他社へ変更する場合に、解約料として9,975円を支払うことは、解約や他社への変更を思い留まらせる要因として働きます。つまり各携帯電話会社は、解約時に9,975円もの解約料を徴収することによって、利用者の解約の意欲を削ぎ、さらに継続使用することを間接的に強制して、消費者を半永久的に契約に拘束し、囲い込みを行っているのです。

このような仕組みは、自由に携帯電話会社を選択する消費者の権利を不当に侵害するものであり、消費者の権利を制限し、消費者の利益を一方的に害する条項を無効とする消費者契約法10条に違反しています。また、解約料条項は解約時の違約金を徴収しているも同然ですが、携帯電話会社には、契約の解約によって9,975円もの損害が発生しているという根拠はありません。したがって、契約解約時の違約金条項が事業者に生じる平均的損害を超える部分を無効とする消費者契約法9条にも違反していることになります。

携帯電話解約料弁護団が提訴

そこで適格消費者団体(*)京都消費者契約ネットワーク(KCCN)は、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクに対して、消費者契約法に基づき、このような解約料条項を使用しないことを請求しました。そして携帯電話解約料弁護団(http://www.keitai-kaiyakuryou.com/)の弁護士が、KCCNの代理人となって、上記3社に対して解約料条項使用の差し止めを求める裁判を京都地方裁判所に提起しました(2010年6月16日NTTドコモ、KDDI(au)を提訴。2011年1月19日ソフトバンクを提訴)。当事務所では、糸瀬・谷が弁護団員となっています。 また弁護団では、実際に解約料を徴収されてしまった17人の原告についても、2011年3月17日、9,975円の返還を求める集団提訴の第一弾を提起しました。

いまや携帯電話は、ほとんどの人の生活必需品となっています。ところが大手携帯電話会社が足並みを揃えて解約料を徴収していることから、利用者には携帯電話を自由に解約したり、他の携帯電話を選ぶ自由はないに等しい状況です。

本件の訴訟の結論は、携帯電話を利用する全ての消費者に影響を与えます。大手携帯電話会社のぼったくりをやめさせるため、力を尽くしたいと考えています。

*適格消費者団体とは、消費者契約法に基づき、消費者全体の利益擁護のために差止請求権を適切に行使することができる適格性を備えた消費者団体として、内閣総理大臣の認定を受けた団体をいいます。(消費者契約法第2条第4項)
「まきえや」2011年春号