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事件報告 仰木の里・幸福の科学学園進出問題~地域住民が建築確認の取消を求めて提訴

事件報告 仰木の里・幸福の科学学園進出問題~地域住民が建築確認の取消を求めて提訴~

寺本 憲治弁護士 寺本 憲治

1.地域の状況

 「仰木の里」はUR(旧住宅都市整備公団)が開発した滋賀県最大規模の閑静な住宅地です(施工面積188.8ha、計画人口1万6,000人)。

 その北側部分の公園に隣接する「谷埋め盛土」の一帯(学園建設予定地)は、地盤が軟弱であるため、住宅開発には不適当であり、未利用地として売れ残ってきました。

2.「幸福の科学学園」進出計画

 ところが、URは7万9,000・、5区画の学園建設予定地を大川隆法氏が率いる「幸福の科学グループ」の「幸福の科学学園」に売却し(但し、買戻特約あり)、同学園は、全国から信者の子弟を集めた大規模(学生510名、教職員100名)な全寮制(1部通学)の中高一貫の「エリート校」を建設しようと計画しています。

3.8,209名による審査請求

 2011年12月12日、仰木の里及び近辺の地域住民8,209名が、幸福の科学学園に対し、民間確認機関がおろした建築確認の取消しを求めて、大津市建築審査会に対し審査請求書を提出しました。「建築審査請求」が8,000人を超える規模で行われるのは、全国的にも例がありません。

 また、弁護士も、仰木の里弁護団(19名)を結成して、地域住民の方々を支援しています(当事務所から飯田、谷、寺本)。

4.大津市建築審査会による不当な裁決

 2012年6月1日、地域住民の審査請求について、大津市建築審査会は、建築審査請求を棄却するとの裁決を行いました。

 もともと地域住民側の主張は、大津市やUR都市機構、建築住宅センターの判断に異を唱えるものです。これに対して、建築審査会の裁決の根拠は、大津市やUR都市機構、建築住宅センターの判断の引用だけで、建築審査会独自の判断が示されていませんでした。そればかりか、住民側が提出した地盤の危険性を示すデータや専門家の見解を否定する検討結果すら示されていませんでした。建築審査会の職責を放棄したものと言わざるを得ず、裁判の判決書きでいうと、明らかに理由不備な判決です。

5.建築確認の取消を求めて大津地裁へ

 2012年8月6日、学園建設予定地周辺の地域住民らは、「滋賀県建築住宅センター」を相手取って、同センターが学園建設に際して行った建築確認処分の取り消しを求める行政訴訟を大津地方裁判所に提起しました。

 もっとも、現地では工事が進み、2013年3月頃には学園は開校予定であるとされています。裁判の結論が出る前に学園が完成し、開校してしまう可能性があります。

 そこで、地域住民側は今回の訴訟と同時に、判決が確定するまで、既に出された建築確認処分の効力の停止を求める「執行停止」の申立てを大津地裁に行いました。これは民事訴訟の「仮処分」の申立てに相当するものです。

6.最後に

 8月6日、大津地裁に訴訟提起を行った日は、太陽が照りつける真夏日でした。にもかかわらず、訴訟提起後の記者会見では、滋賀弁護士会館の大会議室をいっぱいに埋め尽くすほどの地域住民の方々が駆けつけていました。私も「仰木の里」には何度か足を運びましたが、自然が豊かで、静かで、小さい子供を育てるにも最適の閑静な住宅地です。地域住民の方々が、この閑静な住宅地を守ろうと熱意をもって取り組まれていることがひしひしと伝わってきました。

 記者会見後、私たち弁護士も、大津地裁と琵琶湖の湖上に昇る真夏の太陽に照らされ、そして、地域住民の方々の熱意に触れて、あらためて強く支援していく決意を誓い合ったそんな夏の暑さを感じる一日でした。

 現時点で、行政訴訟の裁判と執行停止の申立事件は、10月11日、11月8日に期日が予定されており、執行停止の申立については11月末までに結論が出る予定です。早期解決に向けて、全力を尽くしていく所存です。

建築審査会による不当裁決
建築審査会による不当裁決
「まきえや」2012年秋号