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事件報告 石鹸が原因で小麦アレルギーに!?

事件報告 石鹸が原因で小麦アレルギーに!?

谷 文彰弁護士 谷 文彰

「茶のしずく石鹸」による重大なアレルギー被害

近年の健康や美容への関心の高まりの中、多くの企業から様々な化粧品や美容液などが販売されていますが、含有成分には安全性が十分に確認されていないものも多く、その影響が心配されるところです。

そんな中で大きな問題となっているのが、株式会社「悠香」が長年通信販売の方法で販売してきた「茶のしずく石鹸(せっけん)」による重篤な小麦アレルギー被害です。各地の消費生活センターや弁護士会等には多数の相談が寄せられており、被害の深刻さが徐々に明らかになっていますが、購入者は延べ約467万人、販売個数は累計約4,600万個にも上ることからすると、被害に気付かずに苦しんでいる方はまだまだ存在すると考えられ、さらなる被害の拡大が懸念されるところです。

原因物質である「加水分解小麦」と小麦アレルギー

「茶のしずく石鹸」によってなぜ小麦アレルギーとなるのか。その原因は、石鹸に含まれる「加水分解小麦」にあります。「加水分解小麦」とは、小麦に含まれるタンパク質を化学処理した物質で、まず「加水分解小麦」をアレルゲンとするアレルギーとなり、さらに、分子構造が類似している小麦をも体がアレルゲンと認識し、小麦に対してもアレルギー反応を起こしてしまうのです。

悠香は「茶のしずく石鹸」を美容石鹸として売り出し、有名な女優を起用して大々的に宣伝を行ってきました。「加水分解小麦」は乳化性や保湿性に効果が高いと言われていることから、原材料として使用されたものと思われます。石鹸の外箱にも「皮膚の線状、にきび・肌荒れを防ぎます。」などの効果・効能が謳われ、「無農薬栽培茶葉」を美肌成分として使用しているとも謳っています。しかし、その物質が原因で、使用者は小麦アレルギーの被害に苦しむこととなってしまったのです。

重篤な被害の実相

「茶のしずく石鹸」を使用したことによるアレルギー症状は様々です。石鹸を使用したこと自体による症状としては、使用してから短時間のうちにまぶたの発赤・腫脹、くしゃみや鼻水、顔面のかゆみや膨疹、まぶた浮腫、鼻汁などを中心とするじんましん類似の症状が出現します。小麦を摂取した場合の症状はより重篤で、場合によっては、悪心、嘔吐、腹痛、下痢、血圧低下などの全身症状を呈し、意識を失って救急搬送されるなど生死をさまよった方も少なくありません。

また、日常生活も一変してしまいます。小麦の摂取によってアレルギー症状が現れることから、パンや麺類、パスタ、菓子類などの小麦製品は食べられなくなりますし、醤油などの調味料の中にも実は小麦の成分が入っているため、和食でも食べられないものが出てきます。食事の楽しみが奪われ、食生活が大きく制限されてしまうのです。加えて、小麦の接種後に身体を動かすことで症状が出るのも今回のアレルギーの特徴であるため、食後は安静にしなければなりません。スポーツに限らず、家事や軽いウォーキングでも症状が現れるため、日常生活全体に対して制限を受けることになってしまうのです。

全国レベルで団結して被害救済に向けた活動を

こうした重篤な症状は石鹸の使用中止後も続くことから、被害の救済も緊急の課題となっており、 全国各地で弁護団が結成され、活動を行っています。3月現在、弁護団では提訴に向けた準備を進めており、京都では20人以上、全国では数百人の原告が一斉に裁判所に提訴する方向で調整しています。

被告となるのは、「茶のしずく石鹸」を販売していた悠香の他、石鹸を製造していた2社です。被告らにきちんと責任を認めさせるとともに、危険性の周知徹底と被害の掘り起こしを目指して、全国で連携しながら取り組んで行く予定です。消費者が安心して製品を使用することができる社会をつくるためにも全力で活動して参りますので、みなさまのご支援・ご協力を心からお願い致します。

「茶の雫」表
「茶の雫」裏
「まきえや」2012年春号