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事件報告 平安女学院による2回続けての不当解雇を断罪

事件報告 平安女学院による2回続けての不当解雇を断罪

村山 晃弁護士 村山 晃

はじめに

平安女学院は、御所のすぐ隣にあり、烏丸通に面した教会の建物が古くからのシンボルになっている京都の伝統校の一つです。

その学校で、ひどい人権侵害が起こっています。

同じ職員に対し、わずか2年間で、2度の解雇事件が起こり、2度とも、京都地裁で解雇された職員が完全勝訴した事件が起こりました。マスコミも、珍しい案件として着目し、この事実を報道したため、市民の耳目を集めることになりました。

1度目の不当解雇と裁判の勝利

この職員は、1974年から学校に勤務し様々な事務業務をこなして、学校を支えてきました。その業務内容に何も問題はなく、むしろ学校に強い愛着を持ち、学校のために尽力され続けた方でした。

ところが、2011年4月、学校は、この職員に執拗な退職勧奨を行い、従わないと見るや、一方的に解雇を強行してきました。職員の方は当事務所を訪れ、解雇の無効を裁判で争うこととなりました。そして、2012年3月、裁判所は、解雇には合理的な理由がなく無効、と断罪し、職員の職場復帰が認められました。

問題は、その後も続きます。学校は、控訴できず、判決は確定しました。しかし、判決には従わず、職員の職場復帰の手続きを全く行おうとしませんでした。私たちは、職場に復帰させないことが人権侵害にあたるとして、訴訟を提起し職場復帰を求めたところ、2012年8月になり何とか職場に復帰することとなりました。

しかし、学校はこの職員に対し職場復帰後も仕事らしい仕事を与えなかったことから裁判は続きました。

2度目の不当解雇と裁判の勝利

ところが、2012年9月、学校は、職員が朝礼にて唱和を怠り業務に支障を生じさせた等と不当な理由をつけ、職員を再び解雇しました。私たちは、すでに提起していた裁判の中に、この解雇が無効であることも付け加え、裁判を続けました。

そして、2013年7月26日、裁判所は、「男性の行為により業務に支障が生じたとは認められない。解雇は合理的な理由を欠き、無効」と認定して、学校の不当解雇を再び断罪したのです。

放置できない解雇を平気で繰り返す体質

毎年、一人の職員に対し解雇を繰り返したことは異常としか言いようがありません。しかも、地裁が完璧に断罪し、学校は、控訴すらできないのです。にもかかわらず、やはり職場へは復帰させようとしません。

このように明らかに理不尽なことが、どうして教育を担う学校で起こるのでしょうか。それは、経営を担う理事長らと、それに従わざるを得ない取り巻きに問題の所在があります。そして多くの私学の中には、こうした傾向を持つところが結構あります。

この学校も、全くコンプライアンスが欠如しています。それは深刻な問題だと思われます。

今回、解雇の引き金になった朝礼唱和も、かつては、建学の精神や理念を中心としたものでしたが、現在の理事長が就任後は、「理事長の元に固く結束し」という文言が入りました。理事長から苦しめられ、いじめられてきた職員に、他の職員が大勢いるところで唱導する役割をさせようとしたのです。この職員の方は、どうしても、そのような唱導はできなかったと仰っていました。

職員唱和の強要は、思想信条の自由の侵害にもつながる

この事件は、新聞に紹介された後、最近の唱和には、目に余るものがあり、企業等の社員洗脳の場として利用されている面もある。拒否をする自由があるはずだ。ということがインターネット上で広く議論を呼んでいます。

二度にわたる解雇といい、職員唱和といい、異常なことなのですが、この学校では、この職員に反省を迫る全学集会なるものまで開かれています。もっと自由な学校を取り戻すため、職員の闘いは続きます。

(担当弁護士:村山 晃、寺本 憲治)

「まきえや」2013年秋号