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安倍「改憲」構想の危険な狙い

安倍「改憲」構想の危険な狙い

奥村 一彦弁護士 奥村 一彦

1 96条を改憲-憲法メルトダウン!?

憲法96条は改正手続き条項です。各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、改正案を発議することになっています。

自民党改憲案は、「衆議院又は参議院の議員の発議により、両議員のそれぞれの議員の過半数の賛成で国会が議決し」て「国民の投票において有効投票の過半数の賛成」との改悪案を提案しています。

日本国憲法の重要な意義は、国民主権のもとで、権力機構の具体的あり方を定め(三権分立、議院内閣制、予算・法案の議決方法など)、その行使の恣意性を抑制し(違憲立法審査権、人権の保障、刑事手続きになどおける法定手続きの保障など)、そして平和主義国家として戦争の放棄と軍備の不保持を世界に宣言したものです。これらは、国の成り立ちの重要な基本です。憲法は、制定時を超えても、これら重要な国の骨格は容易に変えられてはならないとし、あえて特別決議である3分の2という高いハードルを自ら定めたのです。

これを改悪して過半数で改憲を容易にするというのは、通常の法律の議決と同様になり、憲法が国の基本を固めたものとは言えなくなります。独裁者が現れると自分の好きなように変えてしまうでしょう。

憲法は本来固くあるべきです。変えにくいからと言って、まず改正方法を軟弱化させようとするのは順序が違います。何を変えるのかを隠して、憲法をメルトダウンさせ、容易に変える手段を先に手に入れるのは、許せません。

2 7月の参議院選挙は正念場です。

安倍自民党政権は、衆議院で改憲勢力が3分の2の議席を超えたので、次は7月の参議院選挙で改憲勢力が3分の2を超えれば、明文改憲案を衆参両院で発議する構えです。この7月の参議院議員選挙は改憲勢力を勢いづかせいないようにするために非常に重要な選挙です。

3 狙いは9条の改悪です。

自民党が発表した「日本国憲法改正草案」では、9条の改悪部分は際 立っています。条文数が現行1条(戦争の放棄)から案3条(平和主義、国防軍、領土等の保全等)になり、項数も2項から8項に増えています。

中身はさらに驚きです。案9条1項では、武力を保持して行使することを前提にする条文とし、9条2項は完全に削除、そして「国防軍を保持」し、[1]国と国民の安全を確保する活動、[2]国際社会の平和と安全を確保する活動及び[3]国内の秩序維持活動をするとされています。軍事裁判所も設置して命令違反や機密漏洩を処罰する憲法案です。

 

要するに戦争を海外で行う国にし、国民を狩り出そうとしているのです。

4 国民主権が侵害されます。

自民党改憲案が通れば、国民の言論の自由が大きく制限され、戦争に反対する者は処罰されます。表現の自由は「公益及び公の秩序を害する」活動や結社は認めないとし(案21条2項)、特に戦争に反対する言論や政党を憲法上抹殺しようとしています。

5 集団的自衛権の解釈拡大による憲法侵害

一方、明文の改憲が出来なくとも解釈で行使しようとしているのが集団的自衛権の問題です。集団的自衛権は端的に言うとアメリカの行う戦争を一緒にするという理論作りの用語です。「自衛」といいますが「米国を守る」ことです。ブッシュ前大統領は、攻撃される前に「先制攻撃」することまで「自衛」と言い、日本国は、米国の「自衛権」行使の際に、これを日本国への攻撃と見なし一緒に攻撃に加わるのです。要するにアメリカと戦争を始め、アメリカのために日本を差しだそうというものです。

6 京都に米軍基地ができる!!

安倍首相は、京都府京丹後市の経ヶ岬にある自衛隊分屯基地内に、米陸軍のXバンドレーダー設備を設け、アメリカの朝鮮半島、中国に対するミサイル防衛のレーダー基地にしようとしています。米兵など160名が常駐する施設です。地元では、地元が攻撃対象となるのではないか、電波による被害はあるのか、あるいは沖縄のような米兵・軍属による事件事故が起こるのではという大きな不安が拡がっています。事件事故に巻き込まれても地位協定や密約に阻まれて泣き寝入りしなければならないことになったらそれこそ大変です。

7 戦争の悲惨な反省から生まれた日本国憲法を改悪したり、米国の手先となって一緒に戦争をするのは断固拒否しましょう。

そのために7月の参議院選挙で憲法を擁護する議員をたくさん当選させるためがんばりましょう。

「まきえや」2013年春号