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事件報告 京都水族館を巡る今後の取り組み

事件報告 京都水族館を巡る今後の取り組み

藤井 豊弁護士 藤井 豊

裁判までの経過

京都駅の西、徒歩で15分程度の距離にある緑豊かな都市公園である梅小路公園に「京都水族館」がオープンして、すでに1年が経過をしました。

梅小路公園は、市街地の中心にありながら人が緑と花で憩える空間として、また災害時には市民が避難できる広域避難場所として、1995年から開園している面積約11.7ヘクタールの都市公園です。

公園内には、広々とした「芝生広場」、水と親しめる「河原遊び場」、賑わいのあるイベントが開催される「七条入口広場」、フィールドアスレチックのある「ふれあい広場」などがあり、建都1200年記念の日本庭園「朱雀の庭」や、自然がいっぱいのビオトープ「いのちの森」があります。

この緑豊かな公園に、内陸型水族館の計画が突如持ち上がったのは、2008年9月のことでした。京都市は、市民意見の募集を行うと、市民から寄せられた声の結果は、「なぜ海のない京都市に水族館が必要なのか」「歴史都市京都に相応しくないのではないか」など反対・どちらかと言えば反対の両方を合わせると約7割に達する結果でした。しかしながら、京都市は水族館の計画を強行し、オリックス不動産に対し、水族館の設置許可を出したのでした。

2つの京都水族館訴訟

そこで、市民の声を無視した京都市の強引なやり方に対し、市民から抗議の声が上がり、二つの訴訟が提起をされました。

一つ目の訴訟は、京都市が行った設置許可の取消しを求める行政訴訟です。梅小路公園の良さは、その広々とした空間、緑豊かで平穏な環境そのものでした。地元の住民が、気軽に散歩や運動を楽しめ、また自主的に花壇を整備したり清掃を行うような地域に根を張った公園でした。そして、梅小路公園は下京区民において唯一の大規模災害時の広域避難場所となっていました。京都水族館は、こうした都市公園の機能を阻害する。これが争点となったのが一つ目の訴訟です。

二つ目の訴訟は、京都市がオリックス不動産に対して賦課した公園使用料の割引についての違法性を争う住民訴訟です。本来、京都市の基準では、本来1㎡あたり378円として計算すべきところ、水族館が「教養施設」に該当するとして1㎡あたり214円として計算し、月額約135万円、年間約1620万円も減額しているのです。水族館の実態はイルカショーを中心とした設計がなされ、大型商業施設としてオリックス不動産が収益を上げる目的で計画をしたものです。

裁判所の不当な判決

京都地方裁判所は、本年2月、いずれの訴訟についても、請求を棄却する判決を出しました。

一つ目の訴訟については、昨年6月に中間判決がなされ、そもそも単なる公園の利用者については水族館の設置について争うことが許されないと判断し、争点は広域避難場所の問題に絞られていました。裁判所は、終局判決において、広域避難場所としての機能が減少することを認めましたが、一方で、公園施設の充実という効能が増大していることを理由に、請求を棄却しました。このような判決は、住民の生命・安全を軽視するものであり、厳しく批判されるべきものです。

また、二つ目の訴訟についても、「教養施設」に該当するかは価値観の相違により判断がわかれるものであるとして「教養施設」の概念を広く解釈し、他の水族館との比較から使用料が低額過ぎるとは判断できないことを理由に、請求を棄却しました。この判決も、「教養施設」の名の下に、市民の公共財産が安易に営利目的に利用されることを許しており、財政難の理由に市民に多くの負担増が押し付けられている昨今、到底市民の理解を得られないものです。

一つ目の訴訟については原告らの協議の結果、控訴をしないこととなり、現在、二つ目の訴訟のみが控訴審での審理を待っています。

京都水族館は、当初の予想を超えるペースで入場者数が伸びています。また、梅小路公園に新たな公園施設の設置も計画をされています。今後、大きな収益を上げるであろうオリックス不動産から適切な使用料を徴収させること、また、都市公園に集客施設を設置する場合に住民意見を反映させる手続保障の確立が求められています。

(当事務所からは、大河原・秋山・藤井・谷が弁護団に参加しています。)

「まきえや」2013年春号