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京都会館再整備計画に建築審査会が異例の付言

京都会館再整備計画に建築審査会が異例の付言

弁護士 藤井 豊

京都会館の概要

左京区岡崎にある京都会館は、市民の文化芸術の振興を図るための拠点施設として、1960年4月にオープンし、長年、コンサート、集会、講演会や映画の上映会などに活用され、長年にわたり市民から親しまれてきました。

また、京都会館は、モダニズム建築における日本を代表する建築家・前川國男が設計監理を行った建築物です。日本建築学会賞などを受賞し、近年も近代建築の記録と保存を行う国際学術組織であるDOCOMOMO Japan(ドコモモジャパン)によって「文化遺産としての近代建築」として評価され、「日本におけるDOCOMOMO 100選」に選定されるなど、その文化財的価値が確認されていました。
※DOCOMOMOは近代建築の記録と保存を行う国際学術組織。

京都会館の文化財的価値の破壊

しかし、京都市は、京都会館の第1ホールの解体を伴う再整備計画を決定し、現在、第1ホールは解体され、また命名権も売却され、新たに「ロームシアター京都」として建築工事が進められています。

京都会館の再整備に関しては、日本建築学会やDOCOMOMO Japanが保存を求める意見を出し、さらには、ユネスコの諮問機関であるイコモスの「20世紀遺産に関する国際学術委員会」が、京都会館を「遺されるべき文化遺産」と評価し、「遺産危機警告」を作成する旨、京都市に通告を行いましたが、これを軽視する形で工事を強行しました。

新景観政策を軽視する「地区計画」の濫用

京都会館再整備に関するもう一つの大きな問題点は、都市計画法に定められた「地区計画」制度を利用して、建物の高さ規制を緩和したことです。

京都市では、新景観政策の施行以降、建物の高さ規制を緩和するには「特例許可」を受ける必要があります。この「特例許可」の要件は非常に厳しく設定されています。ところが、京都市は、「地区計画」制度によっても高さ規制の緩和ができるという法令上の抜け穴があることに着目し、「地区計画」制度を利用し、京都会館第1ホールに限り、高さ規制を緩和しました。

「地区計画」の制度は、ドイツの都市計画制度に由来し、住民による自主的なまちづくりを進めるために一定地域の住民が都市計画方針の条例化を京都市に求めることができる制度であり、運用上は反対住民がほとんどいない状況があって初めて認められてきたものでした。ところが、このような住民自治の制度を、京都市単独で利用するという濫用的手法を採ったのです。

京都市建築審査会が異例の付言

京都会館再整備計画に対しては、地元の住民を中心として、数百名規模での住民監査請求や解体差止めを求める住民訴訟に取り組んできましたが、「ロームシアター京都」の建築確認に対しては、建築確認の取消しを求めて京都市建築審査会に対して建築審査請求を行いました。

2014年5月9日、京都市建築審査会は、結論としては住民らの請求を斥ける不当な裁決を行いましたが、一方で異例の付言を付しましたので、その一部を紹介します。

「建築物の高さ規制は、土地所有者にとって厳しい私権の制限であるが、景観維持のためには、その制限は厳しくしなければならない。その規制を緩めると、結局のところ、景観維持はおぼつかなくなる。その維持には、意識的な努力が必要であり、地方公共団体には、重要な役割が期待されるのである。この点で、新景観政策は、多くの支持を得てきたものである。京都市は、その政策を維持し、推進する以上は、自らが建築する建築物には、より厳しく律する必要がある。そうであれば、可能な限りにおいて、自らが建築する建築物においては、例外的な扱いをするべきではないのはもちろん、新景観政策の理念を優先するということが求められる」。

京都市が付言を真剣に受け止め、新景観政策を後退させることが無いよう、また岡崎地域全体の再整備に関して地域住民を軽視することが無いよう、今後は建築確認取消訴訟を提起し、京都市を追及していきます。
(当事務所から弁護団に飯田、藤井が参加しています。)

 

「まきえや」2014年秋号