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子どもたちの笑顔を護るために~京都朝鮮学校ヘイトスピーチ事件控訴審判決~

子どもたちの笑顔を護るために~京都朝鮮学校ヘイトスピーチ事件控訴審判決~

弁護士 谷 文彰

控訴審で日本初の画期的判決

2014年7月8日、大阪高等裁判所は、「在日特権を許さない市民の会」(通称、「在特会」)らによる控訴をすべて棄却しました。これは、2013年、京都地方裁判所が、在特会らによるヘイトスピーチに対して日本で初めて違法性と人種差別性を認定し、約1220万円の損害賠償と学校周辺での街宣等の禁止を命ずる判決を下した事件の控訴審判決として下されたものです。学校は、再び護られたのです。

ヘイトスピーチを抑制し、人種差別を根絶し、何よりも子どもたちが安心して学ぶことのできる環境を護っていくために、今回の判決もまた、大きな意義を有していることは間違いありません。

被害の実情をまっすぐに見つめた大阪高裁

まず大阪高等裁判所は、在特会らの言動について、「人種差別撤廃条約1条1項にいう『人種差別』に該当する」と認定しました。高等裁判所レベルで「人種差別」に該当するとの判断がされたのは初めてのことで、非常に画期的です。そして、民族教育を行う朝鮮学校の実情とその被害を正しく認定し、裁判所としてはおそらく初めて「教育業務として在日朝鮮人の民族教育を行う利益」を認めました。民族教育について裁判所で認めてもらうことは、学校関係者の悲願だっただけに、ここは学校関係者がもっとも喜んだ部分です。

その上で、学校の受けた被害を金銭的に評価するにあたり、インターネット上に動画をアップロードしたことによって当該映像が保存され、今後も被害が再生産されること、「本件活動は、その全体を通じ、在日朝鮮人及びその子弟を教育対象とする学校に対する社会的な偏見や差別意識を助長し増幅させる悪質な行為であること」、「児童・園児には当然のことながら何らの落ち度がないにもかかわらず、その民族的出自の故だけで、控訴人らの侮蔑的、卑俗的な攻撃にさらされたものであって、人種差別という不条理な行為によって被った精神的被害の程度は多大であった」ことに触れ、高額の損害賠償を認容した根拠としています。正に、被害の実情をしっかりと直視する、被害者に寄り添った判断といえるでしょう。

弁護団としてのやりがいを感じた言葉

学校関係者は、弁護団に対し、「希望の一歩となった」、「子どもたちの未来のために、裁判をしてよかった」、「朝鮮人として学び、朝鮮の言葉を話すということを、日本の人たちは守ってくれるのだと子どもらに伝えたい」と述べてくれました。あの日、卑劣な街宣にさらされた子どもたちも、「私達を守ってくれてありがとう」、「私はこれからも朝鮮人として堂々と生きていきます」、「大人になったら、今度は自分が学校や仲間を守るためにがんばりたいです」とお礼を言ってくれました。

「日本人」によって受けた傷を「日本の」裁判所に訴えることには、周りからは想像もできないような苦悩と葛藤があったのではないでしょうか。その中で勇気を振り絞って立ち上がられたみなさんに、心から敬意を表したいと思いますし、そのような言葉を頂き、がんばってきた甲斐があったと本当にうれしく思います。

子どもたちは、事件から5年近くが経過した今でも当時のことを思い出して苦しむことがあるようです。今回の判決を機に、深く傷つけられた子どもたちの心が少しでも癒されることを改めて願うばかりです。

今後に向けて

在特会側は早々に上告しており、舞台は最高裁判所に移っています。裁判はまだ終わりません。残念なことに最近も新たなヘイトスピーチが行われています。ヘイトスピーチを日本社会から根絶し、子どもたちの笑顔と安心して学ぶことのできる環境を護るため、当事務所はこれからも全力を尽くしたいと思います。

最後に、みなさまのこれまでのご支援・ご協力に感謝申し上げるとともに、より一層のご支援・ご協力を改めて心よりお願い致します。


判決を受けて記者会見する学校関係者

 

「まきえや」2014年秋号